軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

10.まだまだ続く……。

リーダーの案内で、一段高くなっている円の中に立つ。

これから何が起こるのか、ドキドキする。

「ここで、この階は終わりです」

……この階?

えっ、まだあるの?

そういえば、罠の数は6個だったっけ。

まだ1個目だったな。

それにこの洞窟は、シュリの巣を造る時に使う巣核を使っているんだ。

1階で終わるわけないか。

「次の階は闇です」

もうやだ、帰りたい。

闇って何!

「では、移動します!」

帰りたいなんて、言えないよな。

「はい、宜しく」

目の前の景色がスッと変化する。

ん?

あれ、もしかしてもう移動したのか?

足元を見ると、平らな地面が見えた。

「どうかしましたか?」

「いや、移動する時に感じる違和感が無かったから」

空間を移動する時に感じる、体が浮くような、沈むような感覚。

それほど気にするものでは無いけど、微かな違和感があったんだよな。

「あれを制御する術式を刻んだ魔石を、先ほどの円の地面に埋めてあるんです」

リーダーの説明に足元を見る。

いや、さっきの場所の地面だからここでは無いか。

「そうなんだ、凄いな」

「作成したアマガールとセブンティーンに、主が褒めていたと報告しておきますね」

アマガール?

……あっ、魔石を研究したいと押しかけて来た獣人国の魔術師だ。

「えっ、彼が関わっているのか?」

「はい」

彼が獣人国に戻ったら、知識が拡散するな。

これはちょっと問題かもしれない。

「あっ、アマガールは獣人国に戻る事はないそうです。この地で骨を埋めると言っていました」

「そうなのか?」

「はい、術式を扱う時に知識が外に漏れると危険だと判断し、アマガールには関わらせない事を言うと……それはもう、大変でした」

大変?

説得でもされたのか?

いや、それは大変とは言わないか。

「泣き叫ぶし、暴れるし」

あれ?

アマガールって、結構な高齢な男性だったはずだけど違ったかな?

「どうすべきか困っていると、この地を出たら術式の事を全て話せなくなる魔法を作りだし、自分に掛けて『これでどうですか?』と迫られました」

うわ~、なんか怖い。

「まぁ、そこまでするならと参加を認めました。そして術式の事を説明すると『生涯をこの術式に掛ける』と宣言し、研究室に籠りました」

「大変だったな」

「はい、とても大変でした。今は、人が生きるために必要な食事と睡眠を忘れて研究に没頭するので、農業隊のフォーが毎日研究室から彼を連れだして、世話を焼いています」

ここから出たら、フォーに会いに行って労いの言葉でも掛けよう。

かなり大変そうだから。

「主、先へ進みましょう」

あっ、やっぱり行くのか。

「ははっ。そうだな」

あれ?

闇と言ったのに、普通に明るい。

それにこの場所は……広場?

ところどころに木や池まであるな。

あっ、小さな小屋もある。

「どこが闇なんだ?」

闇の階に来て、そろそろ数分経つけど何も起こらない。

それがなぜか怖く感じる。

何も起こらない方が、良いはずなのに。

パッ。

「うわっ」

ビックリした。

急に灯りが消えて、真っ暗だ。

もしかしてこれが闇?

「まず、視界を奪います」

「そうだな」

リーダーの言う通り、光が全くないのかうっすらとした影すらも見えない。

本当に真っ暗な闇だ。

でも、これって灯りを付けたら解決するよな。

「あ――」

「ここで灯りの魔法を使用すると、一気に呪いに飲み込まれます」

セーフ!

よかったぁ、灯りの魔法を使う前で!

それより今、リーダーは呪いに飲み込まれると言ったのか?

「呪いも使っているのか?」

「はい。のろくろちゃん達が参加しています」

呪いの世界に移動してから、俺が目覚めるまでは姿を見せていなかったのろくろちゃん。

目が覚めてしばらくすると、俺が1人の時にこっそり会いに来た。

まぁ、見上げれば孫アリ達や孫蜘蛛達はいたんだけど。

たぶん、内緒で会いに来たんだと思う。

で、俺をしばらく見たあと、何も言わずに消えた。

それが数回。

桜や子供達が、呪いの世界にいるのにのろくろちゃんに会えないと悲しんでいたので、「子供達が寂しがっているから、会ってあげて」と伝えたら、翌日沢山ののろくろちゃんが襲来。

いや、遊びに来た。

それからは、子供たちと遊んだり、学んだり、特訓をしたりしている。

「そうなんだ」

まぁ、気兼ねなく色々な事に参加するのは良い事だろう。

ずっと苦しい思いをしていたんだ。

これからは楽しい事をいっぱい経験して欲しい。

ただ、これには参加してほしくなかった。

それにしても、呪いに飲み込まれるってどんな感じなんだろう?

……リーダーに聞くのは止めておこう。

「経験してみますか?」とか言われそうだもんな。

「しばらく待つと、道が浮かびあがります。そして正しい道を進めば、何も問題はありません」

正しい道?

俺が首を傾げると、目の前に3本の道が浮かびあがった。

凄い、光る道だ。

「この中に正しい道と、間違った道があるのか?」

「はい、そうです」

でも、どうやって正しい道を選ぶんだ?

あっ、それぞれの道を少し歩くと魔石が置いてある。

きっとあの魔石に意味があるんだろうな。

「主の魔力だけが、正しい道に導きます」

俺の魔力?

あっ、もしかして。

「俺の魔力が籠められている魔石を見つければいいのか?」

「はい」

なるほど。

でも、それなら簡単だ。

魔石の中の籠められた魔力を、ただ感じればいい。

自分の魔力だから、すぐに分かる。

魔石に近付こうとして、止まる。

……魔石に近付いて、大丈夫なんだろうか?

さっきは、暗くなったからと灯りを点けようとしたら、呪いに飲み込まれる罠が仕掛けてあった。

…………よしっ、近付くのは止めよう。

安全第一だ。

魔石の中の魔力なら、この場所からでも感じ取る事が出来るからな。

えっと、まずは右の道に置いてある魔石に、魔力を伸ばして……包み込む。

あっ、俺の魔力が感じられる。

という事は、この道が正解なのか?

なんだかちょっと簡単過ぎるような気がする。

「別の魔石も調べてみるか」

次は、真ん中の魔石にしよう。

……あれ?

この魔石からも、俺の魔力を感じるんだけど。

「もしかして」

やっぱり左の魔石もだ。

「3個の魔石、全てに俺の魔力が籠められている」

つまり、どの道を選んでも正解。

……いや、それは無いな。

もう一度確認してみるか。

右は、間違いなく俺の魔力だな。

あれ?

なんだろう?

……あっ、俺以外の魔力も感じる。

あっ!

そうだ。

さっきリーダーは「 主(・) の(・) 魔(・) 力(・) だ(・) け(・) が、正しい道に導きます」と言っていた。

という事は、俺以外の魔力が籠められている魔石は駄目なんだ。

「右は駄目、真ん中は……」

籠められている魔力は……俺の魔力と……無いな。

俺の魔力だけだ。

左にある魔石も調べてみるか。

「あっ、別の魔力が籠められているな」

正しい道は真ん中だな。

「真ん中の道を行こうか」

「はい」

ジッと俺を見ていたリーダーが、俺が出した答えに満足そうに頷く。

良かった、正解だな。

「はい、次は4つの道です」

「…………なるほど」

終わらない。