軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

03.森の違い。

「この果実は、大丈夫か?」

オレンジ色で甘い香りが、少し離れた場所まで届いている。

色も香りも、美味しそうなんだけど。

「強い毒があるので、一口でも食べたら死にます」

「死……そうか」

美味しそうなのに、毒があるのか。

沢山実っているし、お土産に良いと思ったんだけどな。

毒は流石に駄目だよな。

残念。

そういえば、この森は随分と色鮮やかだよな。

少し歩くと色とりどりの花が咲いているし、毒を含む物もあるけど果実も沢山の種類が生っている。

「こっちの森の方が賑やかだな」

「賑やかですか?」

リーダーの不思議そうな声に、花を指す。

「花がこっちの方が多くないか? 色もカラフルだし」

今いる場所から周りを見ても、赤に青。

オレンジに、あれは……明るい紫に、ちょっと不気味な紫と黒のマーブル模様の花まである。

確かに家の周辺にある森も様々な花があるけど、こっちの森ほど多くないと思う。

「確かに、こちらの森の方が花の種類は多いです。果実も半分ぐらいが毒を持っているので食べるのは無理な物が多いですね」

えっ?

こっちの森に生っている果実の半分は、毒の成分が含まれているのか?

さすがにちょっと多いような気がするんだけど。

「主。この果実は美味しいです」

リーダーが俺の前に持ってきた果実を見て、1歩後ずさる。

えっと、嫌がらせとかではなく本気だよな?

「これが、本当に美味しいのか?」

見た目がちょっと……怖いんだけど。

だって、果実の皮は真っ黒だし、なぜかちょっと発光しているし。

光っている果実なんて、初めて見たんだけど。

「はい。ここ最近見つけた果実の中では、1番です」

そんなに美味しいのか?

見た目からは、分からない物だな。

緊張しながら、リーダーから真っ黒な果実を受け取る。

ん?

表面が、凄く硬いみたいだ。

これは、果実を持っている感じはしないな。

「この果実、どこで生っていたんだ?」

「少し離れている場所ですが、ここからも見えると思います」

リーダーの指した方を見る。

確かに少し離れた場所に、真っ黒な果実があった。

「あの白いのは、もしかしてこの果実の花か?」

真っ黒い果実の傍に、少し大きめな花弁の白い花が見えた。

「そうです」

真っ白な花と、真っ黒な果実が成る木に近付く。

「綺麗な花だな」

花の時は、全く光って無いんだな。

あれ?

木になっている果実は光ってないな。

「どうかしましたか?」

「いや、光ってないから」

俺の言葉に頷いたリーダー。

「木から実を採ると、光り出すんです」

そうなんだ。

不思議な果実だな。

「そういえば、どうして光っているんだ?」

「すみません、まだ不明です。今、オウ魔神殿にこの果実を提供して調べてもらっています」

なんだか、オウには随分とお世話になっているみたいだな。

「これ、本当に食べて大丈夫なんだよな?」

発光原因が不明だと不安なんだけど。

「はい。子蜘蛛達が大量に食べましたが、問題はありませんでした」

んっ?

子蜘蛛達が既に食べているのか?

まさか、毒見じゃないよな?

……まさか、ね。

「そうか。問題ないなら、これに決定するか」

発光している果実なんて珍しいもんな。

「これを、子供達のお土産にするよ」

「分かりました。では、すぐに収穫を始めますね」

収穫を始める?

俺とリーダーが採っていくのではないのか?

リーダーが、スッと右腕を上げる。

すると、あちこちから子蜘蛛達が集まって、目の前の木から果実を採り始めた。

「あっ、本当に採った実から発光しだした」

凄いな。

あれ?

発光しない果実もあるみたいだ。

あっ、その果実は除外?

「美味しくないのか?」

「発光しない物は、渋みが凄いんです」

そうなんだ。

美味しいと発光してくれるなら、分かりやすくていいな。

それにしても、見事な連係プレーで収穫されていくな。

そういえば、この子達はどこにいたんだろう?

リーダーが片手を上げると集まって来た。

傍にずっといたって事だよな?

……全く気付かなかった。

子蜘蛛達が来た方へ視線を向けると、大木が目に入った。

この森の中で、一番の大木のようだ。

それにしても、周りとの高さがあまりにも違い過ぎる。

「あの木だけ、成長が早すぎないか?」

俺の見ている木を、リーダーが確認すると頷く。

「あの木は、この世界が安定した翌日から、凄い勢いで成長したと報告がありました」

「急成長したのか?」

「はい。報告を受けて見に来たのですが、私が見ている間も、どんどん成長していました」

「そうなんだ」

少し警戒しながら木に近付く。

「何かの力を感じるな」

そっと木の幹に掌をあてると、じんわり何かが伝わってくるのを感じた。

あれ?

この伝わってくるのは、力だな。

どこかで感じた事があるような気がする。

でも、力から感じる印象が違うような。

前に感じた力は、もっとドロドロしているような……ドロドロ?

「もしかして呪いの力か?」

あの核の周辺から感じた力に似ているような気がする。

手から感じる力と、思い出した力を比べてみる。

「間違いない、この木の成長を速めたのは呪いの力かもしれない」

呪いの力が変化したのは知っていたけど、まさか木の成長まで促すとは。

「呪いの力が、世界中に少しずつ変化を起こしているのかもしれないですね」

「そうかもな」

「主。しっかり監視しておかしな変化が起こった場合は、すぐに対応するのでご安心ください」

俺が出来る事は無いな。

下手に関わると邪魔をしそうだし。

「宜しくな。ただし、危険な事はしないように」

「分かりました」

そういえば、森に入ってから少し経ったな。

そろそろ家の案内は終わったかな?

「あっ! そういえば、オアジュ魔神の子供達がどうしたのか、聞こうと思っていたのに忘れていたな」

「オアジュ魔神の子供達ですか?」

リーダーを見ると、俺を見上げて首を傾げている。

相変わらず可愛いな。

「そう。今日はいなかったから、どうしたのかと思って」

「それぞれ恋人を説得中だそうです」

ん?

恋人を説得中?

「オアジュ魔神が自分で話すと言っていましたが、聞いていませんか?」

「あぁ、聞いてないな」

たぶん、言い忘れたんだろうな。

カーシャのことで、昨日は慌ただしかったと予想出来るし。

「とりあえず、オアジュ魔神達の下へ戻ろうか」

恋人を説得という事は、それぞれ妻、旦那。

旦那呼びでいいのか。

まぁ、なんでもいいか。

旦那も含めて、何人になるのか確かめないとな。

家が大きくてよかった。