軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

01.問題なし!

無事に呪いの世界に順応し、世界が動き出してから3日。

飛びトカゲに乗って世界を確認中。

「本当に問題は起きてないんだな」

人の国、獣人の国、エルフの国と見てきたが、どこにも呪われたような形跡は無かった。

「だから大丈夫だと言っただろう?」

飛びトカゲの言葉に、頷く。

ただ、大丈夫だとは言われても、呪いの世界。

ちゃんと自分の目で確かめたかったのだ。

それにしても本当に、呪いの力は呪うための力ではなく、世界を維持するための力に変化したんだな。

「新しい大地へ行くか? 時間が空いたら来て欲しいと言われていただろう?」

「そうだな。行こうか」

そういえば、前に見た時よりどの国も活気があったような気がする。

元気な事は良い事だけど、何かあったのかな?

あとで……一つ目のリーダーに聞けばわかるかな?

いや、国の事だからバッチュの方が良いか。

まぁ、覚えていたらだけど。

「方向を変えるぞ」

飛びトカゲの言葉と同時に、体が右に大きく傾く。

魔法で飛びトカゲから落ちないようにしているので、どんなに傾いても問題ない。

なので、ただただ楽しい。

「新しい大地が見えてきたな。前も思ったけど、広いよな」

新しく誕生した大地は、少し前までは広大な荒野だったけど、今では広い森へと変わった。

オアジュ魔神が魔力を安定させてくれたお陰だ。

元の大地と陸続きで行けるようにも、ちゃんとしてくれた。

「前に来た時より、花が多くなっているな。あっ、魔物だ」

陸続きにしたからなのか、既に新しい大地にも魔物がいるようだ。

あの何も無かった荒野がどんどん変わっていくので、ワクワクしてしまう。

「それより、神域にしなくて本当に良かったのか?」

飛びトカゲの言葉に苦笑してしまう。

「神域なんて、俺には必要ないよ」

神域がどんな場所なのか聞けば、魔物はもちろん、人や獣人、エルフ達まで許可がなければ入れなくなるそうだ。

この広大な森に、許可が無いと入れないなんて凄く残念だと思う。

だから、神域計画は止めた。

森の様子を窺いながら、飛びトカゲに飛んでもらう。

前より、花が良く咲いている。

それにあちこちに魔物がいるようだ。

既にこっちの森を住処にしている魔物もいるんだろう。

湖や川もあるという事は、精霊達もいるみたいだ。

「そういえば、オアジュ魔神の奥さんと子供達が、2日後に来るみたいだな」

飛びトカゲの言葉に、少し前に「これからよろしくお願いします」と挨拶に来たオアジュ魔神を思い出す。

「あぁ、オアジュ魔神がわざわざ挨拶に来たよ」

オアジュ魔神と奥さんは、もっと早くこの世界に来る予定だった。

でも、奥さんの妊娠が判明。

いつ壊れるか分からない世界では、安心して子供は産めない。

でも魔界でも安心して産めない。

かなり悩んでいたそうだ。

でもこの世界が安定し、壊れないと分かったので、来ることに決めたようだ。

そう不安定だったこの世界だけど、呪いの世界に移動した事で安定した。

もう力が集まり過ぎていつ崩壊するかという心配はない。

その事を知った時は、安堵した。

本当に心配だったから。

「あっ、一つ目達だ」

新しい大地のちょうど、真ん中あたり。

そこに一つ目達と農業隊が集まっているのが見えた。

ただ木々が生い茂っているせいで、何をしているのかまでは分からなかったが。

「こっちに気付いたな。降りてもらっていいか?」

一つ目達と農業隊が、上空にいる俺達に手を挙げた。

時間が空いたら来て欲しいと言っていたけど、森の中で何をするんだろう?

俺が出来る事と言えば、木を切る事ぐらいなんだけどな。

「主。ありがとうございます」

話し方から、一つ目のサブリーダーだと気付く。

話し方は丁寧だけど、時々過激な事をするので少しだけ注意が必要な子だ。

「何をしているんだ?」

「開拓です」

かいたく?

「オアジュ魔神の奥さんが、こちらの大地で生活したいと言っているんです。なので、すぐに開拓しないと時間が足りないんです」

そういえば、オアジュ魔神が「新しい大地で生活したい」と、言っていたな。

確か、奥さんが俺の傍は緊張するからとか……俺、そんな怖い顔してないよな?

それとも、呪いの世界のトップだからかな?

「主、こちらの大地で生活する事に問題はありますか?」

「いや、無いよ。奥さんは妊娠しているから、穏やかに過ごせる場所の方が良いだろう」

元気な子を産んで欲しいからな。

「そうですよね! という事で、この周辺の木を全て切って下さい」

んっ?

この周辺の木を…………全て?

「少し切る本数がいつもより多いですが、お願いします」

いやいや、見渡す限り大木が大量にあるんだけど。

この周辺という事は、本当に今見えている木々は全て切るはず。

今日中に全て切れるかな?

あれ?

オアジュ魔神は2日後に来る予定だったよな?

「2日間で完成させる予定なのか?」

「はい!」

本気か?

いや、本気なんだろうな。

だって、一つ目と農業隊の半数がここに集まっているから。

あぁ、もうやるしかないな。

「分かった。どこまで切っていいのか分かるように印はあるか?」

「木々の間から赤い旗が見えると思うのですが、見えますか?」

赤い旗?

……あぁ、確かに赤い旗があるな。

「遠くないか?」

「子供の遊び回る場所も必要なので」

まぁ、そうだな。

まだ、生まれてないけどな。

「特訓も、畑も、酪農もしたいそうなので」

酪農?

オアジュ魔神はいったいどこを目指しているんだろう?

「分かった。とりあえず赤い旗の辺りまで、木々を切り倒していけばいいんだな」

さてと、どうみても凄い数の木々を切らないと駄目だ。

単純作業は疲れるけど、頑張ろう。

「疲れた~」

身体強化をして、途中でヒールを何度も掛けて。

ようやく、最後の大木を切り終えた。

最後に切った大木が、親アリさんによって回収されていくのを見送る。

そういえば、いつの間にか親蜘蛛さんや親アリさんが参加していたな。

「主、ありがとうございました」

サブリーダーが、俺にそっとコップを差し出す。

お礼を言って、一気に飲み干すと息を吐き出す。

「美味しいな」

「こちらの大地でしか取れない果物を絞った、果実水です」

こっちの大地でしか取れない?

「そんな果実があるんだ」

「はい。不思議な事に、半分ぐらいの植物がこちらの大地だけで見られる物です」

多いな。

半分もあるんだ。

「という事は、この果実水で使った果実の様に、こっちの大地にしか無い果物も沢山あるのか?」

「はい。果実酒に向きそうな果物もありました」

果実酒か。

抜かりが無いな。

「美味しい物が増えるのは嬉しいな」

新しい大地を探索したら、楽しそうだよな。