軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

61.有能すぎ!

「皆、エルフの国で大活躍をしてきたんだね。すごい!」

桜の言葉に、皆がバッチュに拍手を送る。

俺も一緒に拍手をするが、今聞いた内容に正直戸惑ってしまった。

バッチュを送り出した翌日、報告があると言ったので話を聞いた。

が、まさかエルフ国がそんな大きな問題を抱えていたとは。

しかもそれに、バッチュが気付いていたなんて。

「それで、オップル一族はどうなったの?」

桜が興味津々で聞くと、バッチュが胸を張る。

「当然オップル一族は全員を捕まえましたので、一族は終わりです」

まさか、こんな事になるとはね。

確かに、バッチュにはエルフ国の王に協力するように言った。

けどそれが、エルフ国が長年抱えていた闇を解決することに繋がるとは、想像すらしなかった。

「オップル一族と関わった人は多かったんでしょ? そんなに多くの人を処罰しても、大丈夫?」

あぁ、それは俺も聞きたかった事だ。

国政に関わっていた者達が多く処罰されたみたいだけど、問題は無いのか?

エルフ国が、人材不足で傾いたりしたら大変だ。

「それは大丈夫。オップル一族を調査していて、国政に関わっている者達が多く協力している事に気付いたから、彼らが抜けた穴をしっかり埋められる人材を同時に探していたんだ」

えっ、そんな事までしていたの?

「デルオウス王には抜けた穴を埋めるエルフ達の一覧表を渡したし、それを元にグルア宰相が動いているから、数日後には元通りになると思う」

バッチュが有能すぎる。

いや、他の子達も皆すごく有能なんだけど。

その中でも、ちょっと凄すぎない?

「そうなんだ、それだと安心だね」

紅葉の言葉に、子供達が嬉しそうに笑う。

飛びトカゲ達も満足そうだ。

一緒に話を聞いていた、獣人達は呆然としているけどね。

そして悲しいが、俺もどちらかと言えば獣人達よりなんだよな。

「主、これで良かった?」

良かったも何も、想像以上だよ。

「ありがとう。最高の仕事をしてくれたと思うよ」

うん、本当に。

あっでも、オップル一族はかなり手広く協力者を集めていたんだよな。

全員を捕まえられたのだろうか?

「主、何か心配事?」

翼が不思議そうに俺を見る。

それに頷くと、バッチュに視線を向ける。

「オップル一族に協力した全ての者達を、捕まえられたのか?」

まだ、隠れている者達がいるのでは?

少しでも残すと、後々面倒な事になるかもしれない。

「それが……未だに全員を把握できていないんだ。そのせいで、失敗してしまったし」

えっ、バッチュが失敗?

今までの話を聞いていて、失敗するバッチュを想像できないんだけど。

「オップル一族には、本当に多くの協力者がいて、その全てを把握するのは至難の業なんだ」

そうだろうな。

調査中に接触しなかった者達もいたはずだ。

「そのせいで、デルオウス王に怪我を負わせてしまって」

「えっ! 大丈夫なのか?」

怪我?

命に関わるような怪我でもしてしまったのか?

「すぐに、テンがヒールを掛けてくれたから大丈夫だったんだけど。でも、デルオウス王の傍にオップル一族の協力者を近づけさせてしまったんだ。こんな失敗をするなんて……」

大丈夫だったのは良かった。

それにしても、落ち込んでいるバッチュにはどう声を掛けたらいいんだ?

「あっ、デルオウス王にはすぐに謝罪をして許してもらったから、問題にはならないよ。それと、見逃している協力者が確実にいるから、エルフの国で調査してもいいように権限を貰ったんだ。二度とこんな失敗をしないためにも、全員を潰さないと駄目だと思ったから」

ん?

調査してもいいように権限を貰った?

それに潰すって。

「今はトレント達に協力してもらって、捕まえた者達の尋問を行っているところだよ。そこから協力者を見つけて行こうと思って」

尋問?

「でもバッチュ、聞いても素直に答えてくれないかもしれないよ」

太陽の言葉に、バッチュが頷く。

「素直に答えてくれるように、トレントの舞を見せてから尋問しているから大丈夫。『暴露の舞』は、とても活躍してくれているよ」

暴露の舞?

トレントってナナフシの事だよな。

彼らの舞は確か「呪いの舞」だったよな……暴露?

秘密などを話してしまう呪いか?

「その『暴露の舞』を見たら、話してくれるの?」

太陽の不思議そうな表情に、力強く頷くバッチュ。

「もちろん。なんでも話してくれるようになるよ」

なんでも話すのか。

それをすごく怖く感じるのは、俺だけなのか?

子供達を見るが、興味津々の表情でバッチュの話を聞いている。

どうしてだろう。

子供達の未来にちょっと不安を感じるんだけど。

「バッチュ。王の怪我はヒールで治療したみたいだけど、どんな怪我だったんだ?」

とりあえず、怪我の大きさだけ確かめておこう。

大きな怪我だったら、次に会った時に俺からも謝った方が……。

いや、謝るのは止めて、治療した後に問題が無かったかだけ確かめようかな。

デルオウス王に神として認識されているみたいだから、謝ったら気にするよな。

「右の掌に、2㎝ほどの傷だよ」

掌に…………2㎝の傷?

えっと、20㎝ではなく2㎝とバッチュは言ったのか?

「深い傷だったのか?」

もしかしたら尖った物で、刺されたのかも。

「違うよ。2㎝ほどの数ミリの浅い傷だよ?」

2㎝は、聞き間違いじゃなかった。

しかも浅い傷なのか。

「そうか。ありがとう」

怪我の事には、一切触れないほうがいいだろうな。

「いえ。そういえば、テンがヒールを掛けたあとに、デルオウス王が驚いた表情をしていたんだよね」

それは、たった2㎝の怪我でヒールを掛けたからじゃないか?

俺だったら、驚くぞ。

「えっと確か『あれ? 体が軽くなった? 小さい時からの、あの苦しさが無い』とか、言っていたかな。まぁ、苦しさが無くなったのなら問題ないから、気にしなかったんだけど。大丈夫だよね?」

小さい時からの、あの苦しさ?

もしかして、デルオウス王は病気でも患っていたのか?

でもまぁ今の話を聞く限りでは、悪化した様子は無く苦しさが消えた感じだから、大丈夫だろう。

でも、少し気になるな。

「バッチュが家に帰って来る時に、デルオウス王に体調が悪そうな雰囲気はあったか?」

「まったく無かったよ。どちらかと言えば、前日より顔色も良くて元気だったかな」

「そうなんだ」

それは、悩みの種だったオップル一族の事が片付いて安堵したからじゃないかな。

あっでも、小さい時から苦しいんだったら、やはり病気だったのか?

ん~……まぁ、良いか。

「元気になったのなら、気にする事は無いな。まだ尋問は続いているみたいだけど、バッチュはご苦労様」

「はい!」

バッチュの嬉しそうな元気な声に、笑みが浮かぶ。

「バッチュに協力してくれた皆も、ありがとう」

今回、バッチュに協力してくれた蜘蛛達やアリ達にもお礼を言う。

きっとみんなも活躍したんだろうな。

ちょっと見てみたかったかも。