軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13.ズレがあるみたいだ。

教師の性別も人数も確認できたし、あとは……特にないな。

よしっ、帰ろう。

「邪魔し――」

えっと?

ダダビスもキミールもスワも真っ青な顔色になっているんだが、この短時間で何があったんだ?

コアとチャイを見ると、訝し気に3人を見ている。

ただ、2匹の様子から3人がこうなった原因が分からない事は理解出来た。

「大丈夫か? 顔色がかなり悪いが」

3人に、訊くしかないな。

いや、なんで心配したのにビビるんだ?

えっ、彼らのこの様子はもしかして俺のせいなのか?

無意識に魔力をぶつけたかな?

いや、してないよな?

「あのっ!」

「あぁ、何?」

とりあえず、何があったのか話して欲しい。

「森に何か仕掛けようなどと、考えているわけではないんです」

ダダビスの必死な形相にちょっと体が引く。

それにしても、なんの話を始めたんだ?

森に仕掛け?

えっと……コアを見ると首を傾げている。

良かった。

分かってないのは俺だけじゃない!

って、違う。

そんな事で喜んでどうする。

「そうか。分かった」

とりあえず、森という事は森に住む俺たちに何もしないという宣言でいいのか?

いや、何かしてくるなんて思った事は無いんだが。

待てよ、なんでわざわざ宣言する必要があるんだ?

……実は何かしますって事か?

「本当です!」

「おう」

あまりのダダビスの様子に、無意識に返事を返してしまったじゃないか。

えっと……やっぱりよく分からない。

聞いてもいないのに、わざわざ宣言するという事は、そうしないと駄目な原因があるわけで……。

門を抜けてからの事を振り返ってみるが、何も思いつかない。

「あのさ、なんでわざわざ宣言なんてしたんだ?」

「えっ?」

いや、びっくりしているけど、俺の方がビックリだから。

もしかして意味もなく言ったのか?

真っ青な顔で?

それは無いか。

「あの、魔石を集めているのは……その、ちょっと事情がありまして」

魔石?

あぁ、一つ目が言っていたな、「大量の魔石が置かれている建物がある」って。

それの事か?

「そうみたいだな。一つ目から聞いた。別に問題は無いと思うけど?」

魔石が集まったら何かあるのか?

家の一室を思い出すが、魔石が大量に積みあがっているが、それで問題が起きた事は無い。

だいたい、一ヵ所に集める事で問題が起きるなら、一つ目達が魔石専用の部屋を作るはずがない。

「あっ、そうなんですか?」

ん?

魔石についてはダダビス達の方が詳しいだろう?

それに、なんでそんな呆然とするんだ?

なんかダダビスと俺の間にズレがあるな。

魔石、魔石。

大量にある魔石。

「魔石を集めると何が出来るんだ?」

あっ、3人が固まった。

別にこの国の事情を説明してほしいとは、言ってないんだけど。

「あの……魔石を使うと、魔力切れを起こすことなく攻撃や守りが出来ます」

魔力切れ?

あぁ、体の中にある魔力が空っぽになるやつか。

俺も空っぽになっていく感覚は、味わった事がある。

あれは「死ぬとかないよな?」と、ちょっと心配になった。

俺の場合は、速攻で魔力が戻ったから心配は一瞬で済んだけど。

そうだ、魔力切れは最悪死ぬ事もあるんだったよな。

「魔石のお陰で死なずに済むんだ」

「はい」

ダダビスが神妙な表情で頷くのを見つめる。

で、それが何なんだろう?

「……」

「……」

えっ?

まさか説明は、お終いなのか?

今の説明で、何か分かるはずなのか?

えっと、ダダビスは何を言ったかな?

あっ、「攻撃や守りが出来ます」と言ったんだ。

攻撃や守りが必要な事って……戦争?

森に仕掛ける気はない。

つまり、他の国に戦争を仕掛けるという事か?

「他国と戦争でもするのか?」

それは嫌だな。

森にも影響しそうだし。

「違います!」

ビックリした。

いきなりスワが叫んだ。

「あっ、すみません。あの、戦争を起こす気はありません。本当です」

ダダビスとキミールも真剣な表情で頷いている。

その様子を見る限り、本当だと感じるが……嘘を見抜くの苦手だからな。

一つ目を見ると、ぐっと親指を立てた。

えっと?

それは、スワの話は信じていいという事でいいのか?

ダダビス達を見る。

3人とも真剣だな。

うん、信じていいだろう。

そしてこの話は、終わらせよう。

「分かった、信じるよ」

ダダビス達が少しほっとした表情を見せたが、まだまだなんとも言えない微妙な雰囲気だ。

話を変えよう。

「教師はいつ頃、迎えに来たらいいかな?」

「えっ」

ごめん。

急に話を変えたから、驚くよな。

「そうですね。2日後には最後の1人が決定すると思うので、準備をする期間を2日間設けてその翌日になる5日後には迎えに来てもらっても大丈夫です」

5日後か。

「分かった」

5日後の朝に出発すれば、昼頃には到着できるな。

それから合流して、すぐに出ればその日の夕方には家に戻れるな。

あれ?

教師達は、どうやって家まで来てもらうんだ?

……考えてなかったな。

走ってついて来てくれなんて、失礼だよな。

となると、コアの仲間に乗せてもらうか?

それとも飛びトカゲの方がいいか?

そういえば、コア達に乗る時は振り落とされないように魔法で安定させていたな。

飛びトカゲの時もそうだ。

「教師に選ばれた者達は、魔法を使えるのか?」

「はい、使えます。ただ、1人以外は魔力がそれほど多くないですが」

魔力が多くないなら、俺が安定するように魔法をかけた方がいいかな?

それとも、魔石を渡した方がいいのか?

「あの」

「なに?」

ダダビスに視線を向けると、決意を込めた表情をしている事に気付く。

一体、何を言われるんだ?

「教師達と共に、数名の獣人がっか……い、一緒に行っては駄目でしょうか?」

噛んだ。

悔しそうな表情をするダダビスに、つい笑ってしまう。

あんなに頑張って、気合を入れていたのに。

「あはははっ、えっと。数名の獣人が俺の家に来たいんだな? 特に問題は無いぞ」

一つ目を見ると、少し首を傾げているのが見えた。

あれ?

駄目だったのか?

「数名とは、正確には何人ですか?」

あぁ、そうか。

重要な事を聞かずにOKを出してしまったな。

「えっと、私とキミールとあと2名ほどを考えています」

つまり4名だな。

教師を入れて7名か。

「主、彼らの家を建ててもいいですか?」

ん?

一つ目の声が弾んでいるような気がする。

「家?」

あっ、久々の家作りになるからか。

「はい。主の家では7名の部屋の準備はできません!」

出来るような気もするが…嬉しそうだな。

「いいぞ。ただし、建てる場所は農業隊に確認を取るように」

「はいっ!」

うわ~、凄いやる気だ。

一体、どんな家が建つのやら。

ちょっとだけ、注意した方がいいかな?

「一つ目。建てるのは、定員10名ぐらいの、家だからな」

「もちろんです!」

本当に大丈夫か?

「ちょっと待ってください」

ん?

焦った表情のダダビスとキミールに視線を向ける。

なんだ?

「家なんて、すぐに建つ物でもありませんし、えっと、場所さえ貸していただければテントの準備をしていきますので」

「問題ないよ。すぐに建つから」

「えっ? すぐに建つ?」

「あぁ、5日もあれば建つだろう。それに久々の家造りで楽しそうだから、造らせてあげて」

俺の言葉に、何度も頷く一つ目。

既に、頭の中ではどんな家にするか考えているんだろうな。