軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

101.……はっ?

「何もしてないから、絶対に。そもそも核の事を知ったのも最近だから、出来るわけがないだろう?」

ここはちゃんと説明しないとな。

「そうか……」

フィオ神は頷くが、どう見ても納得していないようだ。

そんなに信用無いのか?

……ちょっと無理かな。

わざとじゃないんだが。

「フィオ神。送ってきた」

アイオン神が、フィオ神に近付きながらため息を吐いた。

そういえば、少し姿が見えなかったな。

どこかに行っていたのか?

あれ?

アリアス神がいなくなってないか?

「アリアス神なら、問題を起こしそうになったから縛り上げて、私の仲間の下へ送った。ここには二度と来させないから安心してくれ」

アリアス神は、何をしたんだ?

たいがいの事なら笑って許すアイオン神に、疲れた表情でため息を吐かせるなんて。

別に、知りたくはないけどさ。

「ありがとう。助かったよ」

問題が起こらなかったのは、2柱のお陰なんだろうな。

「いや。これ以上、この世界で問題を起こされたくなかったんだ。ここ、居心地がいいから」

アイオン神の言葉にフィオ神が頷くのが見えた。

居心地がいいか。

ちょっと嬉しいな。

「なぁ、やっぱりおかしいと思うんだが」

えっ?

落ち着いた声に一瞬誰の言葉か分からなかったが、どうやらオアジュ魔神のようだ。

いきなり、落ち着いたな。

「魔神力に酔ったと言ったが、その酔い方はおかしくないか? 普通は気分が悪くなったりするものだろ? ここに来た時、ただの酒に酔った風にしか見えなかったぞ?」

へぇ、そうなんだ。

酔い方が違ったのか。

だったら俺が、見間違っても仕方ないよな。

「たぶん、魔神力があまりに微量だった事と翔の力が影響していると思う」

また俺の力?

フィオ神を、ちょっと複雑な気持ちで見てしまう。

本当に俺の力が影響してるのか?

違うと言ったが、不安になってきた。

「だいたい、テフォルテがこの世界で普通にいる事が既に異常なんだよな。どんなにこの世界に危害を加えようとしてなかったとしても、彼女の力は100%魔界の属する力だ。普通、神力によって作られた世界に入ったら、最悪の場合は死ぬ可能性もあるのに」

えっ、そんなに魔界の力と神の力って相性が悪いのか?

「フィオ神、お主気付いていないのか?」

テフォルテがちょっと呆れた表情でフィオ神を眺める。

「えっ、なにを?」

「我がここにいる事以前に、我の子がここで生き残った事が既に異常だ。ここはお主も言った通り神力で造られた世界だ。そんな世界で、魔界の子、しかも我の子が生き残れるはずないだろう。見習い達が隠していた場所には、我が子を殺さない魔法が施されてあったのだろう。だが、そこから出した時点で本来なら死んでいたはずだ。それが生き残ったという事は、我が子を守る力がこの世界にあるという事だろうが」

ケルベロス達を守る力ねぇ。

3匹とも、キョトンとした表情でテフォルテを見つめている。

そして、なぜか俺に視線を向けた。

「えっ、俺?」

「まぁ、そうだろうな」

テフォルテの言葉に項垂れる。

本当に知らないって。

そうだ!

ロープに訊けば、何か分かるかも。

「ロープ、いるか?」

……あれ?

いないのか?

「ロープ」

「はいはい。ごめん。ちょっと核を調べてて」

元気な声が、庭に響き渡る。

興奮しているのか、いつもよりちょっと声が大きい。

「ロープ、ちょっと声を落としてくれ」

「ん? あぁ、楽しかったから」

楽しかった?

核を調べるのが楽しかったのか?

「これが、あの伝説の魔幸石」

フィオ神が複雑な表情で空を見上げる。

「そう。伝説の魔幸石、ロープです!」

やっぱり名前が残念だよな。

もっとかっこいい名前をつけたかった。

「軽い……」

フィオ神の小さな声が耳に届く。

まぁ確かに、ロープの喋り方はちょっと軽い性格に感じるかな。

「主、呼んだのはどうして?」

「そうだった。ロープなら知っているんじゃないかと思って」

「何を?」

「この世界で、魔界の者が生きられる理由を知りたいんだ」

「ん? 主がそうあるべきとしたからでしょ?」

「えっ? 俺が?」

どういう事だ?

さっぱり意味が分からないんだが。

というか、やっぱり俺なのか?

「だから、主が卵を守ろうとしたから、この世界は卵の中にいるケルベロス達を攻撃しなかったんだよ。で、ケルベロス達は魔族の者だったから、同じ魔族の者を攻撃対象から外したんだ。さっきオアジュ魔神が主の仲間達に攻撃して主が攻撃者に対して敵意を持ったから、次からはこの世界を害する者や主の大切な者を、この世界に属さない者が攻撃した場合は、容赦なくこの世界から攻撃もしくは排除されると思うよ」

マジで?

おい、なんで全員が「やっぱり」と納得した表情をしているんだ?

腑に落ちない表情なのは、オアジュ魔神だけじゃないか。

テフォルテもケルベロスも頷くな。

まだそんなに俺の事を知らないよな?

フィオ神とアイオン神は、なんだか偉く神妙な表情だな。

「ロープ、確認したいんだが」

「フィオ神か。どうぞ」

「この世界の核は、翔の意思に従っているのか?」

「そうだよ」

当然みたいに言い切られた。

えっと、

「なんで俺の意思が、そこまで核に影響を与えるんだ? 核は神力……あっ、核を動かしているのが俺の力だからか?」

「主と同じ考えだったんだけど、核を調べてちょっと違う事が分かったんだ」

違う?

「この世界の核には、神力の痕跡が全然残ってなかったんだよね。神力で作られたんだから、絶対に残っている筈なのに。これはかなり異常な状態だと思って、ちょっとだけ核の中に入ってみたんだ」

入ってみた?

そんな事が出来るんだ。

ロープ、すごいな。

あれ?

世界の核って直径100mの円じゃなかったか?

球体じゃなくて円……入れるのか?

「待て、入った? 意識を核の中に入れたのか?」

フィオ神が随分慌てているが、問題があるのか?

それより入れる事に違和感はないんだ。

つまり、円なのに入れるんだ。

「そう。普通は拒絶されるけど、入れちゃったんだよね。まぁ、核から主の力と光の魔神力しか感じなかったし、意識が核に触れても違和感も生まれなかったからこんな大胆な行動が起こせたんだけどね。で、入って分かった事なんだけど、主の力が核を乗っ取っちゃったみたい」

……はっ?

………………乗っ取る?

「核を乗っ取るなんて、そんな事は出来るはずがないんだが」

「フィオ神、異常を感じなかったから気付かなかったが、神力で生まれた核が神力に似ているとはいえ、異なる力で動いている事がおかしい状態だ」

アイオン神、気付くのが遅いって!

フィオ神も、全く気付いてなかった表情だな。

「そうだよな。神力にどんなに似ていても、違う力なんだ。なのに核が正常に動いていたのは……」

正常だったかどうかは分からないけどな。

「主の力が核を完全に掌握してるからだね。というか、神力の痕跡はどこにもないから、何も知らない者が今の核を調べたら、主の力と光の魔神力で作られた世界だと思うよ」

マジか。

「オアジュ魔神の魔神力から光の魔神力にスムーズに入れ替わったのも、主がそうなって欲しいと願ったからだと思う」

……確かに、祈ったな。

光の魔神力を受け入れろって……嘘だろ。

やらかした中で一番じゃないか?

この世界を動かす核を乗っ取るなんて……怖っ。

「でもロープ。俺は核を乗っ取った記憶は無いんだけど」

無意識で、そんな事が出来るのが一番怖いかも。