軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

70.呪いに違い?

子蜘蛛たちに確認を取ると、子蜘蛛たちもトレントに異変を聞いて集まったと言われた。

なんでも、森の中の異変にいち早く気付くのはトレントらしい。

「わざわざ来てもらって悪いな。さっきの呪われた魔物はどこから来たのか、わかるか?」

目の前に並ぶトレントたちに訊くと、皆首を傾げている。

……首でいいよな?

どう見ても、俺にはナナフシにしか見えないんだけど……大小さまざまなナナフシ。

「気付いたらいたよ」

えっ?

気づいたらいた?

「どこから来たのか、分からないという事か?」

急に現れるわけがないから、そういう事だよな?

「違う。今までいなかったのに、次の瞬間にはいた」

マジで!

えっ、本当に急に現れるのか?

それって、何処にでも現れるのか?

もしそうなら、森が一気に危険な場所になってしまう。

「呪われた魔物は複数いたが、同じ場所に現れたか? それともバラバラに現れたのか?」

俺の質問に、一番大きいトレントが腕を組んで考え出した。

すごい。

あの木のように見える腕って、曲げられるんだ。

真っすぐにしかならないと思っていた。

「2ヶ所に現れたと思う」

腕を、見つめていたら駄目だな。

話に集中しないと。

「2ヶ所か。その2ヶ所は近い場所か?」

「近いかな。……うん、近いよ」

急に現れる2ヶ所を思い出しているのだろうか?

それにしても、首を傾げながら考えている姿もナナフシにしか見えない。

まぁ、でも可愛いよな。

って、こんな事を考えている場合じゃなかった。

「どこか教えてくれ」

2ヶ所だけを警戒していたらいいか?

でも、まだ他の場所に現れる可能性も残っているよな。

「分かった、こっち」

トレントが木から木へと飛び移っていくのを追いかける。

見た目とは違い、速い。

「ここ!」

「トレント、その場所から離れて」

急に現れるなら、その場所の近くにいるのは危険だ。

少し離れた場所に移動して確認をする。

「あそこの、赤い花が咲いている場所だな?」

随分と綺麗な花が咲いているな。

「うん。それと白い花が見える? あの場所がもう1つの場所なんだ」

視線を向けると、確かに白い花が咲いている場所がある。

あそこに現れるのか。

赤い花と白い花。

何か関係があるのだろうか?

「あの花を、他の場所で見たことはあるか?」

周りに視線を走らせる。

付いてきた親玉さんとコアが花を見て首を横に振る。

「花に興味がないからよく分からないが、この花を森の中で見た事はないと思う」

コアの言葉に親玉さんや子蜘蛛たちが頷く。

珍しい花なのか?

呪われた魔物と、何か関係があるのだろうか?

でも、花と呪い?

「どこかで見たな……どこだっけ?」

ふわふわが白い花に近付く。

呪われた魔物は急に現れたとトレントが言っていたので、緊張する。

「あっ、この花! 人の国で咲いているのを見た事がある」

人の国で?

「また、あの国が何かをしているのか?」

親玉さんの言葉に、木の上からこちらを窺っていた子蜘蛛や孫蜘蛛が不穏な気配を纏う。

「落ち着いて、まだそうと決まったわけじゃないだろう?」

俺の言葉に、何とか不穏な気配は薄れたけど、警戒しているな。

でも、もし人の国が何か関わっているなら、今度はもっと厳しい処置が必要だろう。

ん~、駄目だ。

焦るな。

とりあえず、何が起こっているのか調べないとな。

それに花がある場所に呪われた魔物が現れると決まったわけじゃない。

「この周辺に何かないかな?」

俺の言葉にトレントと孫蜘蛛や子蜘蛛たちが四方に散る。

きっと周辺をくまなく調べてくれるだろう。

「主。さっきの浄化を我々も出来るだろうか?」

コアの言葉に少し考える。

魔力の消費が膨大だった。

あれに、コアたちは耐えられるだろうか?

コアたちの魔力量が分からない以上、下手な事は言えない。

「……無理だと思う」

コアや親玉さんが俺を見つめる。

「魔力の消費量がすごいんだ。一瞬で魔力がごっそり消えた感覚がした。俺は一瞬で元に戻るが、コアたちは違うだろう? 下手に手を出さないほうがいいだろう」

「魔力が……」

俺の言葉に眉間に皺を寄せるふわふわ。

皆の魔力量が見えたら、使えるかどうか分かるけどそんな事は出来ないしな。

「魔力が無くなると命に関わるから、危険は冒せないな」

親玉さんの言葉にホッとする。

下手に頑張られると、本当に危ないだろうからな。

「主! 何かある」

「ひっ!」

声と共に、目の前に1匹の孫蜘蛛が現れた。

本当に前触れもなく、目の前にぶら~んと。

孫蜘蛛から視線を上に向ける。

糸でぶら下がっているのか。

と言うか、ビビった。

「主?」

「あぁ、大丈夫だ」

いや、大丈夫じゃない。

心臓がすごい事になっているから。

と言うか、呼吸が止まっていたな。

息が苦しい。

「はぁ~。急に目の前に来るのは止めような」

「えっ?」

俺の言葉に不思議そうな孫蜘蛛。

あれ?

もしかして、声を掛けてくれていたのかな?

「気配は消してないよ?」

ははっ、気配か。

「そうか。でも、ごめんな。俺は気配を読むのが上手くないから」

上手くないというか、ものすごく下手だ。

たぶん、ほとんど読めてない。

前に気配を読めていると思ったが、それは勘違いだった。

ただ、耳がよかっただけ。

この世界に来て身体能力だけでなく、耳もよくなったみたいだ。

子蜘蛛が俺の言葉を聞くと、不思議そうに首を傾げる。

それを不思議に思って見ていると、ぶるぶると体を震わせた。

なに?

いったいどうしたら、そういう反応になるんだ?

「そうなんだ!」

うん?

声の調子から、喜んでいるように感じるが……何かあったか?

「今度からは、気を付けるね」

「あぁ。そうしてくれ」

よく分からないが、目の前にいる孫蜘蛛のテンションが上がっている。

まさか、気配を読めない俺が嬉しいのか?

えっ、それはちょっと性格が悪くないか?

「主? どうしたの?」

「いや、なんでもないよ」

気のせいだろう。

たぶん……きっと。

「あっ、何か見つけたのか?」

確か、「何かある」と言っていたよな?

何を見つけたんだろう?

「こっち。黒く光っている物がある」

黒く光る物?

孫蜘蛛の後を付いて行くと、落ち葉の隙間から黒く光る何かが見えた。

この気配、さっきの魔物と同じ印象を受けるな?

という事は、この黒く光る物は呪いに侵されているのか?

「近づかないほうがいい。呪いだ」

「やっぱり呪いだよね? そうかなって思ったんだけど、魔眼から感じた呪いと違うから分からなくて」

「確かに異なる呪いだな。魔眼の呪いより禍々しい」

孫蜘蛛に賛同するコアたち。

その会話に、首を傾げる。

魔眼から感じた呪いと違う?

……どう、違うんだ?

俺には、魔眼の呪いと目の前の呪いの区別がつかないんだが。

「禍々しい?」

黒く光る物に近付き、見つめる。

異なる部分を探すが、一向に分からない。

と言うか、不快感しか感じない。

駄目だ。

俺には魔眼から感じた不快感と、この目の前の黒く光る物から感じる不快感は一緒だ。

違いを見つけるなんて無理。

あっ、1つあった。

この目の前の物には、黒い影が無い。

今までの呪いには、黒い影が絶対にあったのに。

これで区別がつくかな?

そう言えば、魔眼の呪いの影とさっきの魔物が纏っていた影も違ったな。

「さっき戦った魔物を侵していた呪いと、魔眼の呪いはどうだ? 別物か?」

俺の言葉にコアが首を縦に振る。

「まったく違うものだ。魔眼の呪いが、先ほどの呪いの前では子供だましに感じたほどだ」

えっ、そんなに違ったのか?

もしかして影が増えると呪いが濃い証拠か?

そうなると、影を持っていないこれは……、

「これは?」

「これは、さっきの魔物が纏っていた呪いと一緒だな。少し異なる部分はあるが、気にならない程度だ」

そんなに細かく分かるのか。

と言うか、黒い影は関係ないみたいだな。

一瞬違いが分かったかと、喜んだのに。

影の量による区別は、諦めよう。

分からなくても、呪いだと分かれば大丈夫だ。きっと。

「そうか。ありがとう」