軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

68.核? 感じた事ないが…

「ロープ。聞こえる?」

光の魔力と闇の魔力。

どちらも平気な光の事をアイオン神に訊くとして、どう訊こうかな?

名前を伏せておく方がいいかな?

いや、気付かれるか。

この事が光の負担にならないように気を付けないと。

「主、どうしたの?」

「悪いんだけど、アイオン神に伝言を頼めるかな?」

「もちろん大丈夫だよ」

「ありがとう。アイオン神に『光の魔力と闇の魔力が……』」

どう訊けばいいんだ?

「えっと、『体内に2つの魔力が入っても……普通に……』。ごめん、どう言えばいいんだろう?」

光に起こった事を的確に伝えるには……。

「主、何があったの?」

ロープには話しても大丈夫だな。

「光は、光と闇の2つの魔力を必要とする体みたいなんだ」

あっ、これが言いたかった事だ。

難しく考え過ぎたな。

「えっ、それ本当? 光と闇は真逆の力だから、ありえない事なんだけど」

「俺もそれは分かっているが、実際不安定だった光の力が闇の魔力を取り込んで安定してきている」

「光は、神の実験の被害者だよね」

「あぁ、元が人間だったことは確認が取れていると聞いている。神が、光の体を 弄(いじ) ったんだろう」

言葉にすると、それだけで嫌な気分になるな。

「光のような存在が、今までにいなかったか知りたいんだ。あと、何をさせるつもりだったのか、アイオン神なら分かるかなと思ってな」

「分かった。光の名前は伏せたまま、訊いてみる」

「ありがとう」

ロープだったら、俺が考えるより上手にアイオン神に訊いてくれるだろう。

光の事は返答待ちだな。

光は、これまでの事が原因で話すことが出来ない。

最近になって、ようやくアイオン神にも震えなくなったのに。

元に戻らなければいいけど。

「あっ、ロープに相談があったんだった」

「なに! なんでも訊いて!」

んっ?

何だか、さっきより張り切っているような気がするな。

「自分の力の現状を知りたいんだが、調べる方法を知らないか?」

朝、コアたちに訊こうと思ったんだけど、既に森へ行った後だったんだよな。

詳しくは教えてくれなかったけど、魔物に異変が起こっているらしい。

混ぜ物かと思ったが、それとは別だと言っていた。

「自分の力? それなら内側に意識をもっていって、直に触れればわかるよ」

たぶんロープには、簡単なんだろうな。

でも俺は、初めてなんだよ。

しかも内側に意識をもっていくって何?

「ごめん。もう少し詳しい説明を、お願いできるかな」

俺の言葉に少し沈黙が流れる。

「体内に、力の核があるんだ」

そうなんだ。

「魔力を使うと、感じると思うんだけど」

えっ?

今まで1回も感じた事がないけど……。

「それに手を触れるイメージを作れば、内側に意識を持っていく事が出来るから、後は力の核に触るだけ。しっかり触れば、現状をしっかり把握できる」

つまり核が重要なんだ。

今まで、存在を感じた事はないが。

……俺にもその核はあるよな?

「核はどんな見た目なんだ?」

「決まっていないから、説明は出来ないな。それぞれその人に合った核が作られるんだ」

「そうなのか」

とりあえず、核がある物としてやってみるか。

「初めてだと、核に触れた時に魔力が不安定になるかもしれないから、気を付けてね」

「分かった。気を付けるよ。ありがとう」

ロープがふっと消えていくのが分かった。

あれ?

今まで、感じた事なかったんだけど、なんで今日は分かったんだ?

まぁ、いいか。

「それより核かぁ」

世界の中心にも核があったよな。

魔力を使うのに必要な物なのかもしれないな。

「魔力が不安定になるなら、家の中や庭では危険だよな」

闇の魔力を再現する必要もあるし、湖の方の広場でするか。

あそこだと、ちょっとぐらい魔力が不安定になっても、問題ないだろう。

闇の魔力を閉じ込める魔石を、忘れないように持っていかないとな。

リビングから庭に出ると、いつもと違う風景に首を傾げる。

特訓している子たちが少ない。

いつもだったら、庭のあちこちで特訓や遊んでいる姿が見られるのに。

「魔物に異変があったんだよな」

もしかして、大変な事になっているんだろうか?

少し森全体を調べるか。

数回深呼吸をして目を閉じ、意識して魔力を森全体にゆっくりと流す。

異変があった魔物がいたら、調べる事が出来るんだが……。

「んっ?」

何か嫌な気配を感じた。

なんだ?

気になった場所に意識を向けると、不快感を覚える澱んだ魔力を感じた。

「えっ? これって、呪いじゃないか?」

数日前にも感じた、この不快感。

間違いなく呪いだ。

でも、なぜ呪いが?

あっ、この呪い動いてる。

と言うことは、この澱みは魔物が発しているのか?

もしかして、魔物の異変って呪われた魔物が現れたという事か?

周りにいるのは……水色にアイ達だな。

他にも親蜘蛛や親アリたちの魔力を感じる。

「ここだけじゃ、ないみたいだな」

澱んだ魔力を調べると、6ヶ所で似たような魔力を察知することが出来た。

おかしい。

核の周辺から、外に溢れた呪いは浄化したはずだ。

森全体に浄化を掛けたから、魔物に掛かっていた呪いもとけたはずなのに。

なぜ、呪われた魔物がいるんだ?

あの後、地震は来ていない。

つまり、核を守る壁にはヒビは出来ていないはずだ。

もしかして、今も呪いが溢れている場所があるのか?

「呪われた魔物がいる場所は……それほど離れてはいないが、近くもないな」

呪われていると思われる魔物の距離は、近くもなく遠くもなく。

彼らの場所から、呪いが溢れている場所を特定するのは無理そうだ。

それに、呪いが溢れている場所が1ヶ所とも限らない。

「あちこちからにじみ出てきていたら、嫌だな~」

前の森みたいになりそうで恐ろしい。

まぁ、そうなる前に全力で浄化するけど。

「とりあえず、何が起こっているのか説明してもらわないと」

一番近くにいるのは、ふわふわかな?

ここだと、すぐに行けるな。

「風抵抗0、追い風、発動」

周りの風が意思を持ったように、体を後ろから押す。

一つ目の方法を見て学んだんだけど、これ本当に最高。

ぐっと足に力を入れて地面を蹴ると、今まで以上の距離を一気に駆ける事が出来る。

最初の時は、想像より速く移動した事に驚いて、ずっこけたんだよな。

あれは、恥ずかしかった。

コアとチャイにはすごく驚かれたもんな。

……思い出すんじゃなかった。

「忘れる、忘れる。えっと、こっちだな」

しまった。

考え過ぎて、方向を間違えた。

「主?」

んっ?

頭上からの声に視線をむけると 親玉さんがいた。

あっ、親玉さんだけじゃない。

子蜘蛛に孫蜘蛛……沢山いるなぁ。

「おはよう」

俺の言葉に、皆で前足を振ってくれる。

可愛いんだよな。

「主、あっちには今魔物が」

「呪われた魔物か?」

俺の言葉に、ちょっと困った様子の親玉さん。

やはり秘密だったのか?

でも、なぜだろう?

「どうして内緒に?」

「えっ? 内緒にはしていない。ただ、普通に呪われた魔物ではないんだ」

普通に呪われた魔物?

呪われている時点で普通ではないと思うが。

「だから、調べてから話そうという事になったんだ」

「そうか。ありがとう」

面倒ごとを、減らそうとしてくれたんだな。

「普通ではないと言ったが、何が違うんだ?」

親玉さんが、するすると木の上から降りてくる。

あの巨体が音もなく、移動するんだからすごいよな。

「俺たちは主の力を得る事で、かなり高度な浄化魔法を扱う事が出来るようになった」

そうなんだ。

全然、知らなかった。

「なのに、あの魔物には効果が無いんだ」

「効果が無い?」

「そうだ。浄化をしたら一瞬は呪いが消えるのだが、すぐに元に戻ってしまう」

つまり完全に浄化が出来ないという事だな。

「毛糸玉とふわふわが、魔力を高めて同時に浄化魔法を掛けたんだ。新たに呪われないように結界で囲ったんだが、数分後には呪いが復活した」

それは異常だな。

呪いが入らないようにしていた結界内で、また呪われるなんて。