軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19.どうしてそうなった?

「ロープ、聞こえるか?」

『……』

こちらからの交信は無理なんだろうか?

訊きたいことがあるんだけどな。

「ロープ?」

『主~! 何、何!』

うわっ、びっくりした。

……いつもよりテンションが高くないか?

もう少し落ち着いて欲しいんだけどな。

『主?』

「あぁ、えっとだな。今日、地震があったんだけど……地震が分かるか?」

まさかロープまで知らないという事は無いよな?

頼むぞ。

『地震? そんなのあった? 気付かなかったけどな。というかこの世界で地震が起こるはずないんだけど』

ん?

この世界で地震が起こるはずない?

なんで?

「どうして、無いんだ?」

『だって、この世界は魔法で維持されているからね。主がいた世界のようにプレートとか関係ないんだよ』

マジか。

世界の作りが全く違うのか。

「だから龍たちは地震の知識が無かったのか?」

『神獣である龍は、世界が出来た時に1匹守護龍の役目を持って配置されるんだ。主のいた世界の龍なら地震の知識があるけど、この世界にとって地震の知識は不要だからね。無いと思う』

なるほど、そういう事か。

ん?

地震が無い世界で、どうして地震が起きたんだ?

「地震があったよな?」

『いや、さっきも言ったけど気付かなかった。主の周辺だけに起こったのかな? 調べてみるからちょっと待ってて』

「分かった。悪いな」

『えへへへっ』

最後まで、いつもと違うテンションだったな。

大丈夫だよな?

「あっるじ~。一つ目が参上~!」

部屋の扉を見ると、一つ目がお茶を持って入って来るのが見えた。

この一つ目はかなり明るい性格で、話し方も軽い。

というか、いつも語尾を伸ばすしゃべり方をする。

リーダーの一つ目が注意をしていたが、「む~り~」と言いながら逃げていた。

そしてこの子は、カレンとかなり仲がいい。

時々カレンの上に乗って森を散歩しているのを見かける。

「今日はカレンと散歩には行かなかったのか?」

「そうだよ。今日はお休み~。農業隊が忙しくて~」

そう言えばカレンはこの一つ目と、農業隊の1体で散歩に行っていたな。

農業隊が忙しくてそちらに参加でいないから行かないのか。

仲がいいな。

「主~、お茶~」

ベッドの近くにある机の上にお茶の入ったコップが置かれる。

「ありがとう。一つ目たちがいれてくれるお茶って美味しいよな。ほっとする」

「本当~」

「あぁ、本当だよ。ありがとう」

「えへ~」

嬉しそうな声を出す一つ目の頭を撫でる。

岩人形特有のひんやりした冷たさが手から伝わる。

岩なので撫でられる感覚があるのかは分からないが、嬉しいという気持ちは伝わってくる。

「そう言えば、一つ目達には地震の知識はあるのか?」

「あるよ~。簡単に言うね~。地震とは星の表面を覆うプレートが1枚じゃなくて~、大小十数枚に分かれていて~、それぞれが年間で数㎝のスピードで移動しているんだよね~。そのプレート同士がぶつかったり――」

「ありがとう。一つ目たちが地震について詳しい事は分かった。すごいな」

間違いなく俺より詳しいな。

「今日の地震はおかしいらしい」

「そうだね~。この世界で地震が起こるはず無いもんね~」

知っている事にびっくりだよ。

「知ってたんだ」

「うん、知ってる~。この世界はね~『世界の実』に魔力を注いで星の核を作ったから、プレートが無いんだよ~。マグマも無いから火山もないの~、だから火山性地震も起こらないんだよ~」

「そうなんだ。あれ? 火山はあるよな?」

火を噴いているデカい山があるぞ?

まぁ、ちょっと不思議な事に、マグマが通る隣を木々が生い茂っているんだけどな。

あぁ、そうか。

あれは俺の知っている火山ではないのか。

いや、もしかしてあれは火山ではないのかも?

それはないか、火山だって言っていたし。

あっ、こんがらがってきた。

「あれは火山だけど、動力は魔力だから~」

この世界の火山という認識でいいのかな?

それにしても、この世界は全て魔力で動いているんだな。

あっ、教師に魔法を教えてくれる人を忘れてた。

重要なのに……。

「主~?」

「ありがとう。よく分かったよ」

「よかった~。あとね~。リーダーから、教師はいつ来るのか教えて欲しいらしいよ~。色々準備があるからだって~」

準備?

……住み込み予定なら部屋の準備かな?

「30日後に紹介してもらう事になっているんだ。まだ先だから準備を急ぐ必要はないと言っておいてくれ」

「分かった~。じゃ、行くね~。お休み~」

「あぁ、お休み」

部屋を出ていく一つ目を見送る。

それにしても、あの一つ目は見事に語尾を伸ばしたな。

俺が一つ目を作る時にイメージしたのは……手助けしてくれるロボットだったかな?

確か……そのはず。

まぁ、要するに1体1体違うモノをイメージしていない。

あの時に、そんな余裕はなかった。

つまり元は同じのはずなんだよな。

なのに、皆が皆個性的で会話が出来るようになってから、かなり驚かされたな。

何が起きて、あんな一つ目たちが生まれたんだろう?

さっぱり分からない。

「……はぁ、地震か~。この世界に無いのは嬉しいが、起こったよな」

嫌な予感しかしないな。

まぁ、ロープが何か掴んでくるだろう。

それまではゆっくり過ごそう。

今日は色々な事があって、疲れたな。

…………

朝ごはんを食べながら、庭を見る。

天使たちが、紐付きで空を飛んでいる姿が目に入る。

その手にはパン。

遊びながら食べるってどうなんだ?

あっ、そう言えば。

天使たちが寝ているベッドの上を見る。

「無くなっているんだよな」

朝起きてきて、違和感に首を傾げた。

何かがいつもと違う。

リビングを見渡して、天使たちの上にくるくる回っていたおもちゃが無くなっている事に気付いた。

一つ目に訊くと、もう必要が無いかららしい。

天使たちの悪戯が落ち着いたんだろうか?

良く、くるくる回るおもちゃに、可愛い攻撃をしていたもんな。

まぁ、あの子達も色々不安があったんだろう。

なんせ、大人で寝たはずが起きたら子供になっていたんだから。

まぁ、天使たちの様子から、その事はすっかり忘れているみたいだけどな。

それでも急な変化にきっと、どこかに不安感はあったはずだ。

一つ目達には感謝だな。

天使たちにつきっきりで対応してくれたからな。

悪戯が落ち着いたって事は、気持ちが落ち着いたと思っていいのかな?

そう言えば、ロープに地震の事を聞いてから3日。

まだ、何の連絡もないんだけど、どうしたんだろう?

ロープは確か人の国にあるんだよな。

場所を訊いたら、王城の傍の建物にあると言っていた。

……様子を見に行ってみようか。

「というか、このまま人の国に置いておいていいんだろうか?」

ロープの場所を移動させる事を、本気で考えた方がいいかな?

いつまでも人の国に置いておくのは駄目だよな。

なんせ、この世界の頂点にいる存在だ。

話すと、全くそんな印象は受けないけどな。

まぁ、これはロープ本人の希望も聞く必要があるから、話をして決めよう。

……連絡来ないかな?

時間が掛かれば掛かるほど、不安になってしまう。

グラ。

えっ。

……止まった。

気のせいか?

一瞬だが、地面がぐらっと揺れたような気がするんだけど。

「主、また地震だよね?」

「でも、前の時より揺れなかったよ」

やはり揺れたのか。

本当に僅かな揺れだったから、ウサとクウヒが言ってくれないと気のせいで終わらせるところだった。

「地震みたいだな。ウサの言うように、前より揺れが小さかったな」

俺の言葉に頷くウサ。

手には食べかけのサラダ。

「ご飯、食べちゃおうな」

俺の言葉にクウヒも食事を再開させる。

やはり、この世界にも地震が起きているみたいだな。

……あ~、すぐに解決する問題だと嬉しいんだが。

「はぁ。ロープ、頼むから面倒ごとを持ってくるなよ」

まぁ、ロープの起こした地震ではないようだから、祈っても無駄なんだろうけど。