軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第145話 勇者パーティの面々

そして翌朝、日が昇ると同時に起床した私は、まだとろんと半分しか目が開いていないピィちゃんを抱いて集合場所であるギルドの訓練場にやってきた。

服装は、いつかマリウッツさんと鉱石採取に出た時に着用した冒険者服。

腰には愛用の解体ナイフのホルダーを装着し、マリウッツさんにもらったベルトを巻いて小型ナイフを刺している。

約束の時間には少しだけ早かったけれど、訓練場にはすでにブライアン王子や梨里杏をはじめとした勇者パーティご一行様が揃っていた。

「あ、サチさん。おはよー」

「おはよう、梨里杏」

真っ先に私に気づいた梨里杏が駆け寄ってきてくれる。いつも通りな様子に、少し緊張していた心が解れた。

「さて、改めて自己紹介をしておこう。僕は勇者パーティを率いるブライアン。そして知っていると思うけど、聖女のリリアだ」

ブライアン王子に紹介された梨里杏は、腕組みをして胸を反らすと、ふんっと鼻を鳴らした。

「サチさんは私が守るわ! 伊達に聖女やってないんだから!」

おおお……! なんと頼もしい!

梨里杏は随分と逞しくなったみたいね。とっても頼り甲斐があるわ。

今日はバッチリ聖女らしく上等な司祭服っぽい服を身に纏っている。聖女っぽい! あ、聖女なんだった。

フンスフンスと気合十分な梨里杏に、ブライアン王子はちょっと苦笑いをしている。そして、こほんと咳払いを一つ落とし、他のメンバーに目配せをした。

「僕はルウシェ。魔法使い」

一歩前に出て簡潔に名乗ってくれたのは、水色の髪に紫色の瞳をした小柄な少女だ。

マリウッツさんが消えてしまった時に、【転移】の魔導具について言及していた子だよね。

魔法使いっぽい三角帽子に、身長より大きな杖を持っているのが特徴的。服も袖口が広くてダボっとしている。サイズが大きすぎるのでは……?

少し垂れ目で眠そうな顔をしていて、昨日も感じたけど無口なタイプの様子。

でも、どうしてか背中にクマさんのぬいぐるみを背負っていて、多分可愛いものが好きなんだろうなと思うとつい表情が綻んでしまう。

「私はノエル。僧侶です」

続いて名乗ってくれたのは、銀髪に鮮やかな黄色い瞳を持つ女性。前髪は眉下で切り揃えられていて、サラリとした髪はゆったりと腰まで伸びている。

朗らかな笑みを浮かべているけれど、どことなく圧のようなものを感じる。

なんか、この人を怒らせたらダメな気がする。

チラッと梨里杏に視線を投げると、神妙な顔をして頷いた。

やっぱり! っていうか、私の考えが読めるの!?

あはは……と少し引き攣った笑みを浮かべていると、最後の一人が歩み出た。

「俺はフィン! 戦士としてブライアンと共に前線で戦っている。困ったことがあったらなんでも聞いてくれ」

フィンと名乗った青年は、朱色の髪に茶色の瞳。それ以外に特にこれといった特徴のない好青年。普通って感じ。うん、すごく根が真面目そう。

勇者パーティ全員の自己紹介が終わったため、今度は私の番。

「サチです! 冒険者ギルド勤務、所属は魔物解体カウンターで、魔物の解体を生業にしています! よろしくお願いします! この子はピクシードラゴンのピィちゃん。防護結界が得意なので、きっと頼りになるはずです」

「ピピィッ!」

さっきまで寝ぼけていたピィちゃんだけど、褒められた途端耳がピンと立って得意げな顔をした。相変わらず現金なドラゴンめ。

「よし、これで顔合わせは終了だ。みんな昨日ギルドの応接室で詳しい話を聞いたから、今回の旅の目的は把握しているね?」

ブライアン王子が私たちの顔を順番に見回した。私はその問いかけに、深く頷く。みんなも神妙な顔をして頷いている。

ドラグア王国の実態の解明と、マリウッツさんの救出。

きっと困難な道になるだろう。

でも、私は、私たちは、必ずマリウッツさんを見つけ出すんだ。

そう決意を込めてギュッと拳を握りしめる。

「じゃあ、【転移】する。集まって」

ルウシェの声を合図に、円形に集まる。

バサリとルウシェが【転移】の【 天恵(ギフト) 】が込められたスクロールを地面に広げた。

そして、トン、と杖でスクロールの中心を叩いた。

同時に、ぐんっと身体が引き込まれるような感覚と、なんだか懐かしい浮遊感に襲われ――次に目を開いた時には、目の前に広大な海が広がっていた。

「わあ……」

潮風が遊ぶように髪を靡かせる。深く息を吸うと、潮の香りがした。

「よし、成功したな」

私たちは無事、出航の地である大陸北端の港へと【転移】したのだった。