軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

Side ジョシュ

ジョシュが執務室でのんびりと報告書を書きながら待機していると、紹介状を持った魔法省の職員がやってきた。

紹介状を受け取り差出人の名前を確認すると、一年以上会っていない友人のマーティーと書いてある。

慌てて紹介状の中身を確認する。

以前頼まれていた、弟弟子のアレックスを頼むと言う言葉と共に、現在のアレックスの特徴が書かれていた。

アレックスの見た目は黒髪だが光の加減で紺や紫に見えて、髪の毛は男性としては長め。身長は百八十センチくらいだと書かれている。

魔法省の職員に見た目を確認するとその通りだと言う。

どうやら本人のようだ。

紹介状の続きを読むと、以前に聞いていた通りに、弟弟子の国家資格を取るための補助や援助を、お願いする文章が書かれていた。

紹介状には更に続きがあり、魔法に関してもかなりの使い手で、本気を出せば自分が勝てないかもしれないと紹介状に書かれており、ジョシュの顔が引き攣る。

マーティーの強さはジョシュ自身が一番よく知っている。

ジョシュとマーティーの出会いはいいものでは無かった。

ジョシュは魔導騎士になる前、最年少で魔導士に成った事で増長していた。その自信をマーティーがへし折ってくれている。

後で分かったが、マーティーは亜人のオーガであって、勝てるような相手ではなかった。

ジョシュはマーティーと鍛えた事で、最年少の魔導士から、最年少の魔導騎士となる事ができた。

マーティーはジョシュと同等の実力があるのに、魔法が自分以上だと言うのだ。

アレックスは魔導騎士になる事も可能な実力を持っている事になる。

随分と考え込んでしまった事に気づいて、慌てて魔法省の職員にアレックスがどうしているか確認する。

受付で待たせていると答えたので、執務室を出てアレックスの元へ急ぐ。

二階から一階へ降りると、視線がジョシュに集まっている事を自覚する。いつもの事だと無視して、紹介状に書かれていたアレックスの特徴と同じ人物を探す。

アレックスの特徴と同じ人物を見つけ出すと一直線に向かう。

アレックスだと思われる人物の前に立って声をかけた。

「君がアレックスかい?」

アレックスは常識があるようで、ジョシュと呼ぶのを戸惑っていたが、説得すると諦めてジョシュと呼んでくれる事になった。

それから執務室に移動して物件の候補を選んでいく。

アレックスが最終的に選んだ物件は、ジョシュが候補としていた場所よりは立地が良くない。

しかしアレックスの事情を考えるとそう悪い物件でもないと考えた。

アレックスから候補となった物件の土地の大きさや建物の大きさを尋ねられた。

ジョシュもアレックスが選んだ物件は実際に足を運んだ事がない。

それに数字で書かれている大きさを見ても、建築系の知識が無いので分からない。

今回のために伯爵家所有の建物は鍵を預かっていたので、実際に建物を見にいく事にした。

二人で魔法省から出ると、アレックスがピュセーマと呼んで大雀が降りて来た。

同じように相棒のソフォスを呼んで、すぐに失敗したと焦った。

ジョシュの周りの大雀は軍鳥しか居ないので大梟が来ても暴れないが、アレックスの相棒は普通の大雀だ。アレックスの相棒が暴れるかと思ったが、ピュセーマと呼ばれた大雀はソフォスを一瞬見ただけで落ち着いている。

ジョシュはピュセーマの状態に驚くが同時に理解した。

友人のマーティーは亜人のオーガなので、オーガたちが育てた大雀は鬼雀と呼ばれて最上級の軍鳥となる。

つまりピュセーマと呼ばれた大雀は優秀な軍鳥だという事だ。

実際に大雀のピュセーマではなく、大梟のソフォスが若干怯えて擦り寄って来ている。

ソフォスの怯え方からして、ピュセーマが優秀な鬼雀であるとの予想は恐らく当たっているだろう。

ジョシュはなんとかソフォスをなだめて飛び立つ。

空に飛び上がってからソフォスにピュセーマは敵ではないと声をかける。

ソフォスが疑うような視線をジョシュに送ってくるので、物件にたどり着くまでに何とか説得した。

辿り着いた建物の外観を見た後に中に入る。

物件の中には大きな風呂や、大鳥用の部屋まであり、想像以上に建物が大きい事に驚く。

錬金術師は素材を大量に必要とするので、建物が大きい分には問題ないだろう。

建物を気に入ったのか、アレックスはしっかりと間取りを確認している。

アレックスの様子を見るに、この物件で決まりだろう。

家具が全て片付けられているので、魔法省に戻ってから引き渡すための作業をする事にした。

魔法省に戻ってから引き渡すための作業を始めようとした所で、アレックスがまだ錬金術師の国家資格を取っていないと言い始める。

まだ国家資格を取っていないことに驚くが、魔導士の資格を取るようにと説得するのに丁度良いかも知れない。

アレックスなら問題なく国家資格を突破できると説得して、手続きだけ先にさせる。

更にそこから魔導士の国家資格を取るように勧める。

話の流れから治癒魔法をどこまで使えるか聞き出す。

アレックスが治癒魔法で魔法陣を三枚使えると言った時には、ジョシュは思わず真顔になってしまう。

治癒魔法で魔法陣を一枚使う事ができれば、魔導士になるには十分な実力となる。

普通の治癒魔法士は魔法を使いながら魔法陣を普通使えないのだ。

友人のマーティーもそうだったが、アレックスの基準が随分とずれている事に気づく。

魔導士の国家資格を受験するように説得した方が良さそうだ。

アレックスに魔導士になる事で増える利点を説明して説得していく。

説得が成功してアレックスは魔導士の国家資格を取る事が決まった。

気が変わる前に、すぐに魔導士試験の申し込みを済ませる。

試験会場を案内するついでに、錬金術師の試験も兄のネイトを通して申し込んでおく。

ネイト兄さんを通せばアレックスの試験結果がすぐに分かると予想しての行動だ。

予想通りに試験日当日、ネイト兄さんから試験結果を教えて貰えた。

「ジョシュ、アレックスは筆記は満点で、実技は最初に合格したようだ」

「マーティーの実力を考えればアレックスが合格するのは当然かな」

「そうだな。試験は普通のポーションだったようだが、普通のポーションの素材で高品質のポーションを作ったみたいだぞ」

アレックスを特出した存在だろうとは思っていたが、実際にアレックスはとんでもない錬金術師だったようだ。

試験に受けるような錬金術師が高品質のポーションを作ることは滅多にない。

次の日執務室で仕事をしていると、そういえば魔導士試験の試験内容が気になる。

試験内容の中に攻撃魔法もあった事を思い出す。

嫌な予感がして同僚に試験内容を尋ねると、攻撃魔法だと教えられる。

ジョシュの頭の中で建物が爆散する光景が思い浮かんだ。

ジョシュが慌てて試験会場に向かうと、まだ試験会場は無事だった。

だがアレックスの試験が始まる前に止める必要があると、慌てて実技試験の場所に向かう。

アレックスはまだ実技試験を始めていないようで、何とか間に合ったようだ。

アレックスに魔法陣を三枚以上出さないように注意をして、試験官に事情を説明した上で、結界をジョシュが張ることを認めさせた。

試験官には不思議そうな顔をされたが、無視して結界を張り続ける。

アレックスの攻撃魔法が放たれると、不思議そうな顔をしていた試験官が固まったのが分かった。

試験官からアレックスは何者だと言われたが、アレックスの受験票に書かれている出身地を指差すと、試験官は納得した。

マーティーとアレックスの出身地は、ジョシュが住んでいるオルニス王国でも一番危険な場所だと有名なのだ。

納得した試験官はアレックスの合格を伝えている。

アレックスに執務室で話をしようと誘って移動する。

執務室で無事試験を合格したアレックスにお祝いだと言って建物の鍵を渡した。

必要な物の話からアレックスの持っている魔法鞄の話になって、同じ物を欲しくなったが素材を聞いて諦めた。

アレックスが出してくる素材の名前を聞いて、マーティーとアレックスの故郷が魔境のような場所だと言われている理由を理解した。