軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔導騎士ジョシュ−6

歌うような鳴き声のお礼を言って撫でると、ピュセーマがグーグーと体の奥から鳴きはじめた。

ピュセーマが機嫌の良い時に出る音だ。

アレックスは結構な時間ピュセーマを撫でた後に喋りかけた。

「次は魔導士の資格だから、宿に戻って勉強をしておこう」

「チュン!」

アレックスはピュセーマに乗って宿へと戻った。

宿へ戻ると早速勉強を始める。

魔導士の試験は明日なので確認程度になってしまう。

王都に来た目的の錬金術師の試験が受かった事もあって、落ちても来月また試験を受ければ良いと気負う事なく魔法の勉強をする。

魔法の勉強をしながら、ピュセーマに王都上空で魔法を使った場合捕まることを説明した時を思い出す。

ピュセーマはアレックスの説明に鳴いて返事をしただけで終わりだった。

もしかしたらピュセーマは父と王都に来た事があって、魔法を使ってはいけない事を知っていたのかもしれない。

一日はあっという間に過ぎ去り、気づけば試験当日となった。

昨日と同じように試験会場へピュセーマに乗って向かい、試験を受けることになった。

筆記は怪しい所があった気がするが、合格する事ができた。

アレックスは実技の試験へと移る。

試験管から今日の試験は魔法陣を使った攻撃魔法だと説明された。

治癒魔法と比べると攻撃魔法は魔法陣を作る工程が簡単な場合が多いので、大体の魔法使いは治癒魔法の三倍の魔法陣を出す事ができる。

アレックスは治癒魔法が最大三枚なので、九枚の魔法陣を出す事が出来て、得意な魔法であれば十枚の魔法陣を作り出す事ができる。

どの魔法を使うか迷っていると、試験会場に何故かジョシュがやってきた。

ジョシュはアレックスの元へとやって来て、試験を受ける前かと尋ねてきた。

「試験の前だけど、どうしたの?」

「良かった。アレックス、試験を受ける時の魔法陣の数は最大三枚までにするように」

「三枚で良いの?」

「魔法陣二枚でも合格する可能性がある。三枚あれば確実に合格だから最大三枚だ。それ以上は試験会場の結界が破れる」

ジョシュの助言がなければ危ない所だった。

十枚の魔法陣を使う気でいた。試験会場の結界を壊して、建物まで被害を出す所だった。

ジョシュはそのまま試験を見学するようだ。

ジョシュの姿を見た受験生が騒いでいたが、試験が始まるとそれもすぐに収まる。

実技試験は一度に行わないで、順番待ちとなった。

順番待ちの間は他の受験生の試験を見学する事ができるようなので、見学をしている事にした。

魔法陣を一枚しか出せない人や、二枚出せても試験官と話し合いになっている人が多いようだ。

数は少ないが魔法陣が三枚の人はすぐに合格のようで、試験官から合格後の説明を受けているようだ。

魔導士試験と言っても錬金術師の試験と同じように子供がいるので、そこまで大変な試験では無いようだ。

アレックスの順番が回ってくると、何故かジョシュもアレックスと共に試験官の元に向かった。

魔法の準備をしていると、ジョシュが試験官に代わって結界を張り始めた。

何故ジョシュが結界を張っているのか不思議だったが、今は気にしないで試験に集中する。

的が用意されていて魔法を的に当てれば良いようだ。

「アレックス、いつでも魔法を使って良いぞ」

「はい」

何故か試験官ではなくジョシュが開始の合図をする。

不思議に思いつつも、三枚の魔法陣を出して火の魔法を使う。

火の魔法は得意な魔法ではないが、試験官が魔法を視認しやすそうだと思ったから選んだ。

火の魔法を的に向かって打ち出すと、的は存在しなかったかのように消え去って結界へと当たる。魔法が結界にあたった衝撃でかなりの音がしたが、ジョシュが張った結界は破れていないようだ。

少し魔法が強すぎたかもしれない。

反省しつつも、背後にいる試験官の方を振り向くと、試験官がアレックスを凝視していた。

何かしてしまっただろうかと心配したが、ジョシュが試験官に何か言うと、二人は小声で何か話し始めた。

二人の話が終わると、試験管が近づいてきて合格を伝えられた。

問題がなかったようで安堵する。

そのままジョシュに付き添われて、説明を聞いた後に書類を受け取って魔導士として認められた。

「アレックス、錬金術師と魔導士の合格おめでとう」

「ありがとう。ジョシュは錬金術師の試験結果も知ってたのか」

「ああ。ネイト兄さんから今朝聞いた」

ジョシュが魔法省へと誘って来たので、一緒に向かう。

二人で歩いていると、ジョシュから錬金術師と魔導士の試験はどうだったかと聞かれた。

魔導士の筆記が少し間違えた気はするが、錬金術師も魔導士もそこまで難しくは無かったと返す。

話をしながら魔法省の中に入って階段を上がっていく。

ジョシュの執務室で出されたお茶を飲んでいると、ジョシュがお祝いだと言って、鍵を渡してきた。

アレックスは鍵を貰って何の鍵なんだろうと眺めていると、拠点になる予定の建物で使う鍵の可能性に気がついた。

「これは以前に見学に行った建物の鍵?」

「その通り。伯爵家から所有権をアレックスに移した。書類も渡しておく」

「ジョシュ、ありがとう」

書類をジョシュから貰って、何がどの書類か説明して貰った。

書類を魔法鞄にしまった後に、思った以上に早く建物を貰えたことに驚いたと話す。

ジョシュがネイトと一緒に伯爵家で手続きを済ませた事を教えてくれ、アレックスは再び感謝を伝えた。

ジョシュは気にする必要はないし、建物に家具が一切ないので、必要な物があれば取り寄せるとまで提案してくれた。

ジョシュに感謝をしながらも、村から大体の物は魔法鞄に入れて持って来たので問題ないと話す。

「ベッドなどまで持って来たのか?」

「魔法鞄にベッドも入ったから入れてきたよ」

「その魔法鞄どれだけ入るんだ?」

「村にあった魔法鞄でも一番大きいから、かなりかな?」

アレックスは巨大な物を作る依頼が入る事が多く、魔法鞄は大きくないと依頼を受けられない事が多かったので、巨大な物を入れられる魔法鞄を自作している。

魔法鞄は手に持って物を入れるのが普通だが、アレックスの魔法鞄は鞄を持っている反対の手で触れている物を収納できる。

腐りにくくなったり、時間の経過がゆっくりになったりするのは普通の魔法鞄でも同じような機能が一応ついているが、アレックスの魔法鞄は素材が強力だった為、普通より強い機能の魔法鞄になっている。

魔法鞄の機能を説明していくと、ジョシュが同じ魔法鞄が欲しいと言うが、必要な素材が足りないと伝える。

ジョシュが素材を集めてみると言うので、作った時の素材を順番に伝えると、素材を伝えている途中でジョシュが諦めると言い始めた。

アレックスも自分で手に入れた素材ではなく、仕事の関係で譲って貰った物なので、ジョシュが諦めるのも仕方ない。