軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

砂濤を越えて

飛ぶ魔石を手に入れ2つ目の道路の終着点までたどり着いた俺達は、道路の破片を飛び移り3つ目の道路へと降り立った。

そこも同じように螺旋を描きながら登っていくが、その螺旋の半径は狭くなってきている。その分急勾配となるので、慎重に進んでいくが、それ以外の問題はなく、ここにもいる飛魔石を捕獲して稼ぎつつ進んでいく。

やがて3つ目の道路もラストまで到着し、切れ目を跳んで進み4つ目の道路に。

そこも順調に進んでいき、5つ目まで到着した。

「だいぶ進んできましたね」

「おい見ろよ! もうあんな近いぜ!」

上を指差した久我につられて見ると、黒紫に輝く最上部がもうすぐ近くになっていた。

この道路を登りきれば、あと道路一本だ。

俺達はいよいよ最後が近づいてきた5つ目の道路も進んでいく。とはいえここもさしたる問題はなく終端にたどり着いた。

「なんか楽勝だったな? 高いのも慣れてきたし、もうゴールじゃねえの?」

「いえ、久我さん、少し大変かもしれませんよ」

「なに? ……あ? なんか目がかすんで来やがった……」

「違いますよ、目のせいではなく本当に見えなくなってるんです。砂です」

俺達は道路の終端にいる。

ここから進むには、空中に浮いている道路の破片を飛び継いでいかなければいけない。しかし、

「黄砂みたいなものが出てるな。砂だらけだ」

破片を飛び移らなきゃいけないんだが、そこに風で巻き上げられた砂が濃く密集している。

「風向きのせいでしょうか。ここに集まっている感じですね」

楓が言う通り、黄砂なんて比較にならないレベルで濃い。ほんの数m先が見えないほどで、しかもどんどん濃くなっていく。こんな風になるのは、ただの自然では見たことがないな、この場所特有の異常環境も影響してそうだ。

色も黄色や茶色より、もっと黒っぽいし、単なる砂というよりは道路やその下の地面の砂粒みたいな小さい破片が全部混ざっているっぽいな。

「どこに足場があるかこれじゃ見えませんね」

「いいやだいたいは……そう! 多分あの辺にさっきかすかに見えた気がするんだよ」

「さすがにその曖昧な判断でジャンプするのは怖すぎるだろ久我。見えるようにしないと何メートル落ちるかわからないぞ」

「つっても、どうすんだこれ? 俺の霧並に濃いぞ、なんも見えねえ」

霧……フォグメーカー……そうか!

「それだ久我! 霧で対抗するんだよ!」

「は? 何いってんだ? 余計見えなくしてどーすんだよ」

久我が怪訝な顔をしてくる隣で、楓がぱちんと手を叩いた。

「そうか……そうですね、それなら見えるようになるかも?」

「ああ? どういうことだ? ふたりともIQ下がったか?」

「まあとにかくやってみてくれ。砂で見えなくなってるところに霧を発生させるのを、できる限り濃くね」

久我は納得いかない表情をしつつも「そういうならやってみっけど、本当に意味あるんだろうなぁ?」とマホウを発動した。

前方に霧が立ち込めていく。

黄色っぽく霞んでいた空気に白い霧が混じっていく。

前方の霧はどんどん濃くなっていき、影すら作るほどになっていく。山間の町の早朝よりも濃い霧だ。

「ふー、さっすがにこれが限界だ。でも余計何も見えなくなっただけだぞどう見てもよぉ?」

「まあ慌てるなって。このまま少し休んでよう」

しばらくその場で時間を潰しつつ、霧の方を見ていく。

時間とともに久我のフォグメーカーの効果が薄れてきて、徐々に白い影が散り薄れていく。

「ほら、時間が経ったところで霧がなくなるだけで……なんだぁ!?」

霧が消えたあとには残った砂煙に周囲は覆われ――なかった。

霧が晴れるとそこには、砂のない晴れやかな青空が広がっていたのだ。

「なっ!? なんだ!? どうして霧といっしょに砂も? もしかして俺って覚醒した?」

「いや、違う」

「否定早いなおい」

「水に吸着したんだよ」

「吸着?」

「霧って要は小さい水滴が無数にあるわけだろう? それがじわじわと細かい砂礫を吸着して混ざった。それで霧が散って晴れる時に、一緒に砂も持っていってくれたってわけだ」

なるほど、と久我が感心している横では楓が靴紐をきつく結び直している。

「うん、準備大丈夫です。時間が経ったらまた砂煙が充満するかもしれません。早く行っちゃいましょう」

「まあそうなったら久我にまた働いてもらえば」

「おい結構疲れるんだから気軽に言ってんじゃねえ! またやらなくてすむようにさっさと行くぞ!」

久我が先頭を切り、道路の破片をジャンプしていく。

クリアな視界になったからにはこれまでと同じようにジャンプして踏破することに問題はなく、俺達は次の長い道路に到着することができた。

見上げればもう頂上まではあと少しだ。

「この道路が最後だ、頂上まであと少し、ここまで来たら止まらず進もう!」