軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【最終話】まだダラダラ出来なさそうです。

──今日はナーミャとラングスチアを繋ぐ鉄道の開通式だ。

なんだかんだであれから数ヶ月経ってしまった。

でもそれにしては開通が早いと思わないか?

……実は道路整備の俺のスキルをめざとく見つけたセインさんに駆り出され、俺はここ最近ずっと道路を整備していた。

一気にできるとはいえ、すごい作業量だったよ!

まじでセインさん人使い荒いな!!

そしてサールさんに協力して鉄道の素材をスキルで変換しまくったりもした。

おかげで数年かかる予定が数ヶ月で済んでしまったのである。

俺はいまだに細々とマンションを建てながらアルカディアの人口を増やしている。

家賃がいっぱい入ってくるようになり何よりである。

ついに人口は一万人を突破し、日本のちょっとした町ぐらいの規模になってきた。

あれから俺が考案したビーフカレーのお店が商店街の近くにオープンして賑わい見せてきている。

ショッピングモールもいいけど、こういう情緒のある商店街もいいよね、と結構人気の観光地になってきた。商人達が頑張ってくれているおかげでもある。

ショッピングモールの近くには飲み屋が五件ほどオープンし、賑わいを見せている。

この前フィオナさんと一回行ってきたが、ショッピングモールで手に入れられるお酒を使って日本で飲まれているようなカクテルも飲めるようになっている。

引っ越してきた村人達はもう大分この街に馴染んできて、今のところ前の村より住み心地が良いと感じてくれているようで何よりだ。

「ナツキ様! そろそろ行きますわよ」

「うん。いや〜、緊張するな」

俺は久々に正装に着替えていた。

鉄道開通式で俺を「功労者」として表彰してくれるらしい。

この式にはナーミャとラングスチア、両国の陛下までいらっしゃるらしい。

「うまいものが食べられるといいのう!」

駅が開通したのは、ヴァラの元王太子のサミュエルさんの送別会をやった公園のすぐそばである。

周辺国から貴賓の方達がいっぱいくるというのでテントが張られ、公園では祭りの屋台がいっぱい出店される。

ペロは何日も前から屋台を楽しみにしていた。

式典自体もこの公演のステージで行われる予定だ。

「おーい、カワグチ殿!」

公園に着くと、リオネルさんに声をかけられた。

「おー、リオネルさん!」

彼は奥さんのユリアさんと今の所仲良く暮らしていて、たまに我が家にもゲームをしに来る。

今度彼の誕生日に、ショッピングモールで新作のゲームを買ってプレゼントしようと思っている。

「今日は楽しみだな。色々と大変だったと思うがカワグチ殿は本当にすごいな」

そう言って彼は嬉しそうに笑った。

すると、肩をトントン、と叩かれた。

「カワグチ様、お久しぶりです!」

振り返るとソフィア王女がにっこりと笑っていた。

「ソフィア王女!」

「フィオナ様とご結婚されたとお伺いしました。遅れてしまいましたがこれ、お祝いです」

そう言って宝石が散りばめられた美しい金で出来た鳥がモチーフの小物入れをくれた。

なんかよくわからないけど高そうである。

「まあ……! こんなに高価なものをもらってしまって。いいのですか?」

隣でフィオナさんが驚いた顔をしている。

「ええ、もちろんです。今のヴァラがあるのはカワグチ様のおかげだもの」

すると、一張羅だと思われる質のいいローブをきたサールさんが駆け寄ってきた。

「カワグチさ〜ん! 表彰される人は向こうみたいですよ! 一緒にいきましょう!」

そう言われて俺は頷く。

「じゃ、皆さん、行ってきますね」

俺の言葉にみんなが笑顔で手を振ってくれた。

貴賓席にはトライデン、ナーミャ、ラングスチア、ヴァラ、セイワ共和国、そしてショッピングモールのプレオープンにも招待したサビーニャ公国の高位貴族が座っている。

セイワ共和国の王太子殿下と結婚したヴェルナーさんもにこやかに座っている。

……うん、結局この二人はうまくいったらしい。

貴賓席の中には俺がコンビニを建てた時にお世話になった各駅の領主達もいる。

もちろんフォンティーヌ侯爵家の人達もだ。

俺の姿を見て、皆が目を綻ばせてくれたので俺はペコリと頭を下げた。

やがて、ラングスチアの皇帝陛下、それにナーミャの国王陛下が壇上に上がり、期待に満ちた目で語り始めた。

それを皆が感極まった顔で見ている。

途中で貴賓席のセインさんとグレインさんと目が合った。二人を俺の姿を見るとニヤリと笑った。

「それでは今回の鉄道計画の最大の功労者であるお二人に登壇して貰います!」

司会の女性の言葉で俺とサールさんは頷き合ってから壇上に上がる。

「この度はお二人とも、本当にありがとうございます」

そう言われて盾のようなものを渡された。

何だかこれも宝石や金が散りばめられており、やっぱりよくわからんが高そうである。

使い道は飾るしかなさそうだ。流石にコンビニで換金したらフィオナさんに怒られてしまいそうなのでやめておこうと思う。

「ありがとうございま〜す……」

俺達ははにかみながら盾を受け取った。皆がその瞬間、パチパチと一斉に拍手をする。

その中に感動したような顔のグレイスさんを発見した。

そうだ、この盾、家で掃除するとき邪魔だから役場に飾ってもらおう。

俺はその時盾の押し付け先が決まり、心の中でガッツポーズを取った。

いずれにせよ、これでやっとダラダラ出来て何よりだ。

ここ数ヶ月忙しかったからな。 フィオナさんとペロと一緒にどこかに旅行でも行こうかな。

俺達の表彰が終わると、セインさんが誇らしげな顔で登壇した。

彼は一体何を話すのだろうか。

「皆さん、今日は開通式に来てくださり、本当にありがとうございます。中心となって動いていた僕にとって、本当に喜ばしい日だ。これからもこれに満足せず、さらに周辺国と連携してこの大陸全体を盛り上げていけたら、と思っている」

セインさんの言葉にワッと歓声が上がり、さらに彼は真剣な顔になり続ける。

「さて、次は友好の印にトライデンやサヴィーニャ、ヴァラ、セイワ共和国とも鉄道を繋いで行こうと思っています。いよいよ、大陸全土が自由に行き来できる時代が到来します!」

「え?」

その言葉に皆が立ち上がって感涙の涙を流しているが、俺は思わず呆然としてしまった。

何言ってんだ? この人。

ナーミャとラングスチアが繋がったばっかりだろうが!!

え、これってもしかしなくても俺、また働かなきゃいけないってことだよね……?

チラリと貴賓席を見ると、期待に満ちた目で皆が俺を見ており、拒否するのは難しそうな空気を醸し出されていた。

くそっ、なんということだ。これでは逃げられないではないか!!

「いやぁ、これから忙しくなるね! よし、カワグチ殿とサール殿を胴上げするよ!」

セインさんがそう言った瞬間、グレインさんをはじめ、筋骨隆々の騎士団員達が集まってきた。

「わーっしょい! わーっしょい!」

無駄に高く胴上げされてぐらぐらする。

おいおいおいおい!!! 本当に勘弁してくれ!

俺が泣きそうな目でサールさんを見ると、サールさんは俺が嬉し泣きしていると勘違いしたのか、グッと胴上げしながら親指を立ててきた。

この人じゃダメだ! この人、社畜だった!

サールさんはまた鉄道事業に携われるということがどうやら嬉しくて仕方ないらしい。

俺は絶望を胸に抱きながらフィオナさんの方を見る。

すると、フィオナさんは眉尻を少しだけ下げたあと、「ファイト」とでもいうように苦笑いをしながら腕を上げていた。

そ、そんなあああああ!!!

……どうやら俺はまだしばらくダラダラ出来なさそうである。

ペロは泣きそうな俺を気にもせず、嬉しそうに屋台の食べ物を頬張っていた。

END