軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【15】ショッピングモール、会員制にすることにした。

「いやぁ、素晴らしかったな」

一通り見学を終えて、マンション前に戻ると、セインさんが満面の笑みを浮かべた。

「セイン様。今日はお昼を食べたら戻らないと王都に着く前に日が暮れてしまいます」

グレインさんの言葉にセインさんが少し残念そうな顔をした。

「──そうか。残念だな。今日一日予定を空けておいても殆ど移動で終わってしまうな」

うーん、なんだか気の毒だな。

「あのー……。良かったらセイン様とあと一人くらいならうちか、この建物のゲストルームに泊めましょうか? 明日の朝、タロウに乗せて送っていきますよ?」

俺の言葉にグレインさんとセインさんが顔を見合わせる。ちなみに心の中ではさん付けだが、さすがに話す時は様付けで呼ぶ俺である。

「いいのかい?!」

セインさんの顔がぱっと輝く。

「──では私が護衛として1人残る。他の者は昼食後に王都に戻ってくれ」

グレインさんがそう言ったので、他の騎士団のメンバーが頷く。

「じゃあ食事はここにいる全員に僕が奢るよ。皆、自分の食べたいものを持って決済だけして。最後に僕がお金を払うから」

ワァッと騎士団の人達から歓声が上がる。

「いいんですか?!」

「流石セイン様!!」

ハーマンさんがそれを聞いて順番にバーコードを読み取っていく。人数が多いので忙しそうだ。

「良かったら君たちも好きな食べ物を買っていいよ?」

お言葉に甘えてフィオナさんと俺とペロもご馳走になることにした。

俺はカツサンドとトマトジュース、ペロはラーメンとヨーグルト、フィオナさんはパスタサラダとフライドチキンとおにぎりにしたようだ。

「いやぁ、この店、めっちゃ飯が美味いよな」

「ああ。地味にここに来るの、結構楽しみなんだよな」

騎士団の人達がそんな事を話しているのをBGMに、俺はカツサンドを頬張った。

「それにしてもびっくりしましたわ。まさかカワグチ様が異世界人で、しかもこの神の塔もスキルで建てていただなんて」

フィオナさんがフライドチキンを頬張りながら苦笑した。

「いやぁ、すみません。内緒にしてた訳じゃないんですけど、なかなか言うタイミングがなくて」

「──いえ。知れ渡るのがセイン様に保護して頂くタイミングで良かったと思いますわ。こんなに便利なスキル、友好国ならまだしも、他の国はカワグチ様を連れ去って悪用しようとする者もいたかもしれないですし」

フィオナさんは少し心配そうに眉尻を下げた。

「じゃあ、村人を引き取るのは大変ですけど、良かったかもしれないっすね」

「まあ、もしカワグチを連れ去ろうとする不届き者がいたら、ワシが倒してやるわい! ワシ、結構この生活気に入っておるからのう!」

隣で鼻息を荒くしているペロに思わず笑ってしまう。

うーん、ペロはまあ美味いものだけ食ってダラダラしてるだけだからな。

俺が生暖かい視線でペロを見ていた時だった。

「カワグチ殿。そろそろ騎士団の者達が王都に戻ります」

グレインさんに言われて慌てて俺はコンビニの外に出る。

「皆さん、お疲れ様でした。あの、帰りに疲れた時に食べられるようにお菓子を用意しました。良かったら道中食べてくださいね」

俺は騎士団の人達に、飴とキャラメル、グミなどが入った袋を渡した。

「おお、これはかたじけない。クリス!これを後で皆に配ってやれ」

グレインさんに言われてクリスさんという茶髪の精悍な顔の騎士が頷く。この人が副団長らしい。

「かしこまりました。おい、皆!! 行くぞ!」

「「はいっ!」」

グレインさんとセインさんが残ることになったので、それ以外の騎士団の人達はラングスチア帝都に帰って行った。

◇◇

「わあ、この果物初めて見ますわ」

セインさん、グレインさん、フィオナさん、ペロと俺の5人は食後のお散歩がてらにもう一度ショッピングモールに遊びに行った。

「あー、それ、和梨っていうんですよ。洋梨の仲間ですね。味や歯応えは全然違いますけど」

売っているものを物色しながら5人で買い物していく。

コンビニ飯もうまいけど、流石に飽きてきてたからちょうど良かったかも。久しぶりに自炊すっか。

俺はいちごとヨーグルト、牛乳や食パン、それに刺身や肉や豆腐、もやしや緑の野菜などを久しぶりに沢山買った。

「おお、この肉は美味そうだな!!」

セインさんとグレインさんがスーパーで一番高そうなステーキ肉をマジマジと見ている。

「あ、良かったら僕、焼きましょうか?」

俺が申し出ると2人は嬉しそうに微笑んだ。

「それは助かるよ。折角だから皆で食べようか。カワグチ殿とフォンティーヌ嬢とペロ殿の肉も買うよ」

結局肉の他に、ワインとサラダ用の野菜も買って皆で俺の部屋で夕食を食べることになった。

◇◇

「いやー、それにしてもカワグチ殿のショッピングモールは本当に素晴らしいね」

マンションに帰ってからもなお、セインさんが興奮していた。

「それにこの部屋にある異世界の魔道具も本当に素晴らしい。是非似たような魔道具を我が国で作りたいものだ。戦にも役に立ちそうなものが沢山ある」

グレインさんの言葉に俺は頷く。

「僕もこのスキルにして本当に良かったと思います。ここに来る前に話した女神様は僕がこのスキルを選んであんまり嬉しくなさそうでしたけど」

「えっ!! カワグチ様、女神様と話したことがあるんですの?」

驚いた顔でフィオナさんが聞いてきた。

「はい。この世界に来る前に少しですけどね。あ、皆さんこれどうぞ」

そう言って4人と1匹でバリバリとスナック菓子を食べてYouTubeを見る。

「……この映像が映ってる箱は魔道具なのか?」

グレインさんの言葉に俺は考え込む。

「うーん、まあ僕達の世界ではテレビって言ってるんですけど、そんなようなもんですかね」

ちなみに俺の好きな自給自足系チャンネルである。なかなか住民達のキャラが濃くて楽しめる。

「それにしても一つ心配なのは、ショッピングモールが本格的に動き出したらナーミャは同盟国だから大丈夫だろうけど……。 他の国が絶対にこの土地を狙ってくるんだろうな」

セインさんが少し心配そうな顔をした。

「あー、大丈夫じゃないっすかね? なんか、この建物、セキュリティ機能があってコンビニに何かあった時も守ってくれましたし。外敵に反応するみたいなんですよね。ショッピングモールにも同じような機能があると思いますよ?」

「……だが、どれくらいの強さで守ってくれるのかもよくわからないしな。一応万が一に備えておいた方がいいだろう」

そう言ってグレインさんが思案顔をする。

話している間に夕方になったので、俺は夕飯のステーキを焼くことにした。

これでも大学生の時飲食店でバイトしていたので料理は得意だ。

俺はステーキを筋切りし、硬くならないようにした後、シンプルに塩胡椒を振ってからアルコール度数が高めの酒でフランベして焼いた。

「はい、出来ましたよー」

俺がステーキを皿に盛り付けて皆で夕食を食べ始める。セインさんが幸せそうに頰を緩める。

「うん、美味しい。こんなに良い肉は王宮でもなかなか食べられないよ」

皆でステーキとワインに舌鼓を打ちながら、今後の話をする。ちなみに、俺は刺身も久しぶりに食べた。

「僕、治安が悪くなったら嫌なんで、このショッピングモール、会員制にしようかなって思うんですよ。──国の方できちんと手続きしてもらって、きちんとした身分の人しか入れないようにしたいなって。だから、そこら辺だけお願いしてもいいですか?」

すると、セインさんが目を丸くする。

「どうしてそう思うんだい?」

「セキュリティ機能があるって言っても、万引きするような人がうじゃうじゃ入ってくると面倒臭いですし。その分その会員費の半分は、国に支払うってことでどうでしょう。簡単には入れないようにそこそこ高い会員費にしたら、変な人来ないかなって」

いわゆるコストコのような感じにしようかなと思っている。

セインさんは納得したように口の端を上げた。

「……乗った。じゃあ皇宮に新しい場所を設置した方が良さそうだな。ちなみにその収入次第ではずっと税金を免除してあげてもいいよ! その方があのショッピングモールの中にいろんな店が出店もしやすくなるだろ?」

「あ、それならモールならまだ稼働前なんで売上の三割渡すんで税金、ただにしてくれません?」

どうせ勝手に品物も補充されるしな。どんな感じで俺の懐に入るかわからんし。

するとセインさんは満足げに頷いた。

「了解。早急に契約書を作成するとしようか」

ちゃっかり税金の支払いの回避に成功した俺は、大満足で美味しい夕飯を味わった。