軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

108.ハスキーはおバカ可愛い

『おめでとうございます。メインストーリー6 EX『氷狼の襲撃』をクリアしました』

『活動実績を算出……完了』

『実績 氷狼の増殖を3体以内に抑えるを達成』

『実績 ハーフ・エルフの力が覚醒する第一段階を達成』

『実績 四大迷宮の主と会話をするを達成』

『実績 EXステージの6連続クリアを達成』

『成功報酬 ポイント+500、終末の楽譜G、50,000イェンを獲得しました』

『追加報酬 ポイント+2,500、コロドル大渓谷の王鍵、虹の鉱石×10を獲得しました』

『経験値を獲得しました』

『LVが48から51へ上がりました』

『LVボーナス ポイント+20を獲得しました』

『ポイント交換が拡張しました』

『ショップが拡張されました』

『デイリーダンジョンが拡張されました』

『待機室の建設可能施設が拡張されました』

黒い空間に戻ると、おなじみのアナウンスが流れる。

今回は合計で3,020ポイントか。

前回のEXよりかは少ないけど、デイリー周回のレベルアップで、事前にかなりポイントも入ってるからな。

(毎回、毎回、とんでもない大金が手に入るな)

現金換算で一億五千万円近く溜まってるし、ほんと素晴らしいな。

やっぱ俗な感覚だけど、お金がいっぱいあると、心の余裕が全然違うよね。

「しかしついにレベルも50を超えたか……」

二日前の大河さんとほぼ同じレベルだ。

とはいえ、大河さんもこの二日間でさらにレベルを上げてるだろう。

ちなみに次の上位職になれるのはLV60。

大河さんは52で上位職になっていたが、あれは『混成の宝珠』という特殊なアイテムを使ったからだ。

前回のEXで『双生の宝珠』が手に入ったんだし、ひょっとすれば俺も次か、その次辺りで同じようなアイテムを入手できる可能性はある。

……その場合は、『変態貴族』と『存在破廉恥男』が合わさってしまうけど。

改めて考えてみても嫌すぎる。

俺の尊厳はどこにいったのだろう……?

強さと引き換えに大切な何かがどんどん失われてゆく。

あと掲示板を検索してみたが、廃人――もといトップクラスのプレイヤーの皆さんは現時点でLV80を超えたようだ。

俺はプレイヤー全体で見れば、中の上くらいのレベルかな。スレッドの数やコメントの書き込み数からみるに。

「そういやレベルの上限っていくつだろう?」

質問で調べてみても、レベルの上限については載ってないんだよな。

99か、それとも100か。

まあ、急ぐことはない。

俺は俺のペースで進めるだけだ。

次はアイテムを確認しよう。

「新しい終末の楽譜に加えて、今度はコロドル大渓谷の王鍵まで手に入ったか……」

実績から見るに、四大迷宮とは、それぞれのスタート地点にある隠しダンジョンのことだ。

その四つの内、既に三つも鍵がある。

それぞれの迷宮の主はウェザー・フェンリル――ナトゥリアのように、名前を持ち、強大な力を持っているのは間違いないだろう。

てか、パルムール王墓の隠しダンジョンの主について教えてくれよ。

「ナトゥリアからもらったアイテムはどんな効果なんだ? 屍狼に食わせておけって言ってたけど……」

・氷狼の宝珠

氷狼の王ナトゥリアの力が込められた宝珠

狼系や氷雪系のモンスターを大幅に強化することが出来る

摂取したモンスターは氷狼の王と繋がりを獲得する

なるほど、強化アイテムの類か。

しかも大幅に強化出来るらしい。

氷狼の王との繋がりを獲得するってのはどういうことだろう?

意識を乗っ取られるって事じゃないとは思うけど……。

「他は……虹の鉱石が手に入ったのは地味に嬉しいな」

虹の鉱石はフレンドポイントで手に入る強化素材の中では最上級の素材だ。

全ての武器、防具の強化素材として使用することが出来る。

10個あれば、武器や防具の補正値を最大で+10加算することが出来る。

これは後でソウルイーターの強化に使わせてもらおう。

「さて、他の確認も済んだし待機室へ行くか」

俺は扉をくぐって待機室へ向かった。

待機室に入ると、雷蔵たちが待っていた。

すぐそばにはセイランが寝かされている。

氷漬けから回復した小雨も居た。

どうやら一足先に聖歌猿に治してもらったようだ。

「小雨、もう大丈夫か?」

『……ボ』

俺が声を掛けると、小雨はぷいっとそっぽを向いた。

なんか不機嫌だな。

念のため、カードに戻ってもらうと、状態の『凍結』は消えていたが、忠誠度がまた『普通』に戻っていた。

名前を上げた時や、『世界扉』が使えるようになった時は上がってたんだけどな。

意外と、コイツ、忠誠度の上がり下がりが多いな。

余程氷漬けが嫌だったのだろう。

『……ボゥ』

カードから戻すと、小雨は再びそっぽを向く。

だが、よく見ればしゅんとなって落ち込んでいるようにも見えた。

ひょっとして、氷漬けが嫌だっただけじゃなくて、今回活躍できなかったのが嫌だったのか。

『……』

チラチラとこちらを見てくるあたり、俺に嫌われてないか気にしているようだ。

他の皆みたいに活躍できなくて申し訳ないみたいな雰囲気が漂っている。

「大丈夫だよ、小雨。今回は相性が悪かっただけだ。気にするな」

『……ボー』

小雨は少しだけ尻尾を振ると、池の中へ入ってしまった。

大丈夫だろうか?

「ウガォゥ」

「ウッキキィー」

雷蔵や夜空の方を見れば、「心配しなくてもいいよ」という雰囲気。

なら、ここはこのままにしておくか。

「セイランはまだ目覚めてないんだな」

セイランもカードに戻し、確認すると状態が『疲労(極大)』になっていた。

回復薬や、聖歌猿の癒しの歌で、状態は元に戻せたので、後は自然に目が覚めるのを待とう。

次に俺は収納リストから『氷狼の宝珠』を取り出す。

「屍狼、こっちに来てくれ」

「ワォン♪」

屍狼は嬉しそうに尻尾と剥き出しの内臓を揺らしながらこちらに近寄ってくる。

……うん、グロテスク。

「これ、ナトゥリア……あのウェザー・フェンリルから、お前に食べさせてくれって言われたんだけど、食べてくれるか?」

「ワォン! ワンワン♪」

屍狼は尻尾と内臓をぶんぶん揺らしながら、嬉しそうに頷く。

抵抗感はないようだな。

それじゃあ、食べてもらおう。

手の上に『氷狼の宝珠』をのせて差し出すと、ぱくりと口に咥える。

そのまま、バリバリと咀嚼して飲み込むと、屍狼の体が青白く光り輝いた。

「! ワォ……ワォォオオオオオオオオオオオンッ!」

やがて光が収まると、そこには大きく姿を変えた屍狼が居た。

体は一回り以上大きくなり、体毛はハスキーのように白と黒が混じっている。

そして腹からはみ出していた内臓はしっかりと内側に収まっていた。

「これは……進化したのか?」

「バウ♪」

「うぉっ!?」

屍狼はデカくなった尻尾を振りながら、俺に覆いかぶさって来た。

ベロン、ベロンとデカい舌で顔を舐め回される。

内臓の滴る感覚がなくなったから、ほぼデカいハスキーだな。

あ、でもやっぱり牙が凄い。あと爪もヒグマみたいなデカさだ。

「ええい、舐め過ぎだ!」

「ワォオン♪」

お返しとばかりに顔をわしゃわしゃしてやると、更に嬉しそうに尻尾が振れていた。

なんとかどかして起き上がると、お座りのポーズでこちらを見つめてくる。

……くっ、可愛い。モフモフが凄い。

雲母も可愛いけど、デカい犬もそれはそれで可愛いよね。

『――どうやら無事に進化したようだな』

すると、どこからか声が聞こえた。

この声――ナトゥリアか?

でもどこから?

『ここだ』

見れば、屍狼の足元に雪だるまが出来上がっていた。

でも遺跡の時に比べれば、ずっと小さい。

屍狼も興味津々に雪だるまを見ている。

『屍狼が俺様の力を得たことで、俺様とコイツの間に力の 経路(パス) が生まれたのだ。限定的ではあるが、こうして貴様らと会話をすることも出来る』

ああ、なるほど。

摂取したモンスターは氷狼の王と繋がりを獲得するって、こういうことか。

「つまり、これからはいつでも俺たちと会話が出来るってことか?」

『そう簡単ではないがな。迷宮から離れるほどに、作り出せる体も弱くなる。だから不用意に――』

「バウッ♪」

「あっ」

ぱくっと、屍狼が 雪だるま(ナトゥリア) を食べてしまった。

そのままごくりと、飲み込んでしまう。

「…………」

「……ワォン?」

屍狼は「もしかして食べちゃいけなかった?」という視線を向けてくる。

君、進化してちょっとおバカになってない?

いや、眷属になってからも割とこんな感じだったかも。戦闘だとキリッとしてるんだけどなぁ……。

……とりあえず「待て」を覚えさせないといけないな。

その後、案の定ナトゥリアから、「お前のところの眷属は、碌に待ても出来んのか!」と怒られるのであった。

ごめんて。