作品タイトル不明
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「お嬢様。二人が帰って参りましたのでお通ししてもよろしいですか?」
食事を終えお茶を楽しんでいると、ディランから声がかかった。
ようやく帰ってきたようだ。
「ええ、お願い」
「かしこまりました」
「あのねベル。もう二人、紹介したい家族がいるのだけど、少し時間いいかしら?」
「もちろんです!」
それから少しすると、ディランが二人を連れて戻ってきた。
「お連れしました」
「ディランありがとう。それじゃあ二人ともこっちに……ジークとアンナよ」
「ジークだ。冒険者をしている。よろしくな」
「私はアンナです。ローズ商会で働いています。よろしくお願いしますね」
「ア、アナベル・ホワイトです!よろしくお願いしま……え?」
アナベルが目を見開いて固まった。
うん、ごめんね。やっぱりそうなるよね。
先に言っておくべきだったかな?
でもそうすると緊張しちゃうかなと思って言わなかったんだよね。
「『銀の狼』に『商いの申し子』……?」
正解。
「ふふっ、さすがベルね。『銀の狼』のジークに、『商いの申し子』のアンナ。二人も私の家族なの」
「え、えっーーーっ!?」
驚くのも無理はない。今やジークとアンナは有名人。
だからアナベルも知っているかもとは思ってたけど、やっぱり知っていたみたい。
「本当、あなたたちって有名人よね~」
あんな立派な二つ名がつくほどにね。
「リア、お前には言われたくないぞ。ていうかなんだ?『銀の狼』とか恥ずかしすぎるだろ……」
「ジークの言う通りです。マリア様には言われたくないですね」
うっ、二人の視線が……
「そ、それもそうね……悪かったわ」
ここは謝っておこう。
「あの、ダリア様……」
「どうしたの?」
「お二人が言うリアとマリアさんというのは、えっと、ダリア様のことですか?」
「ええそうよ」
「その、リアなら愛称かもしれませんが、マリアというのは別の人の名前なのでは……?」
ずいぶん驚いてたから、気づかないかもしれないと思ったけど、さすがだ。
たった一度聞いただけで、その違和感に気づくなんて。
「いいえ、それも私の名前なの。……あのねベル、驚かないでほしいのだけど」
隠すことはしない。今日はそのつもりでアナベルを招待したのだ。
私は魔法を発動する。
「リアとマリアはね、私の別の姿なの」
私の姿は冒険者リアの姿に変わり、続けて商会長マリアの姿に変わった。
「う、そ……」
それだけ口にして、アナベルは再び固まってしまった。
やはり驚かせてしまったようだ。
私は急ぎ魔法を解き、元の姿に戻った。
「ベル、驚かせちゃってごめんなさ――」
「きゃーーー!」
「え」
「ま、まさか『竜殺しの乙女』に『王国の女神』がダリア様だったなんて……!す、素敵すぎます!」
手を組み、目を輝かせて私を見ているアナベル。
おお……予想外の反応で私の方が驚いてしまった。
「あ、ありがとう。今まで黙っていてごめんなさい」
「いえいえいえ!全っ然気にしていません!むしろこんなすごい方が私のお友達だなんて……こんな幸運はありません!ああ、私はなんて幸せ者なんでしょうか!」
「ベ、ベル、少し落ち着いて?ディラン!マーサ!お茶をお願い!」
それから少しして……
「も、申し訳ありませんでした……」
よかった。どうやら落ち着いたようだ。
「大丈夫よ。だから謝らないで?」
「ダリア様……」
さっきはジークとアンナの二つ名をからかったけど、実は私にもそんな名がある。
『竜殺しの乙女』に『王国の女神』……恥ずかしい。
ちなみにコーリアは『奇跡の作り手』なんて呼ばれている。
さらに私は学園で『青の女帝』……うん、一番恥ずかしいのは私でした。
努力が認められたのは嬉しいけど、こういう名前はどうにかならないかなぁ。
……まぁいい。今はそれよりも、
「驚かせてしまったけど、この四人が私の家族よ。これからもよろしくね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」