軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

クラウス②

まずは冒険者リア。

冒険者の中で最上位であるS級冒険者。

この国で登録している冒険者の中で、S級の称号を持つのは彼女を含めたった五人。

実力で言えば騎士団長や魔法士団長と同等かそれ以上だという。

S級冒険者が国にいるのといないのとでは、国の防衛力に差が生まれる。

要するに国家戦力レベルの人材なのだ。

それと彼女にはパーティーは組んでいないものの、行動を共にしている冒険者がいた。

驚くことにその冒険者もまたS級なのだ。

だからもしも彼女がこの国から出て行くようなことがあれば、その冒険者も国を出ていく可能性が高い。

そうなれば王国は、一度に二人のS級冒険者を失うことになる。

損失はとてつもなく大きくなるだろう。

次は魔道具師コーリア。

彼は魔道具師ギルドに所属し、様々な魔道具を作り出してきた天才魔道具師だ。

これまで彼が作ってきた魔道具は、実現不可能とされていたものから画期的なものまで様々。

王都を覆う結界の魔道具に、指定した範囲で魔法を使えなくする魔道具、それと一人用の転移魔道具など。今となっては当たり前になっているが、なければ困るものばかり。

ただギルドに所属している魔道具師は、作った魔道具の設計図や仕様書をギルドに納めるという決まりがある。だから彼がいなくなっても、それらの魔道具は誰でも作ることができるようになっているはず。

それなのにこれまで誰一人として、彼の魔道具を作ることができなかったのだ。

ということはだ。もし彼が国から去ってしまえば、魔道具に何かあった時どうすることもできなくなる。

特に結界の魔道具が壊れたり使えなくなってしまったら……想像するだけでも恐ろしい。

この魔道具は今では王都だけでなく、各領でも使われている。

国民が安全に暮らせているのは彼のおかげということだ。

最後はローズ商会会長マリア。

ローズ商会は立ち上げてまだ六年の新鋭商会であるが、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けている。

今やローズ商会無しでは生活が成り立たないと言っても過言ではないだろう。

かくいう私も常日頃からよく利用している。

様々な分野に手広く商売を展開しているローズ商会が、もしこの国から撤退することになれば混乱は必至。

生活に支障をきたすことになるのは容易に想像できる。

それに余談ではあるが、母はローズ商会の商品を愛用している。

もしもそれらが今後手に入らないようなことになれば……想像するのはやめておこう。

調べて分かったのは、彼女を王家に取り込むよりも、王国に留まらせる方が国にとって利益が大きいということ。

あの場で判断を誤らなかった父はさすがだ。

私ではそうはいかなかった。

皆から優秀だと言われ続けた弊害だろうか。自分自身そんなつもりはなかったのに、気づかぬうちに驕り高ぶっていたのかもしれない。

それからは彼女と関わることなく学園生活を過ごしていたが、まさか剣術大会で対戦することになるとは思ってもみなかった。

ただこの機会を逃してはいけないと、あの日のことを謝罪したが、場所が悪かったせいか、むしろ気分を悪くさせてしまった。

少し考えれば分かることだったのに、なぜだか彼女を前にすると普通ではいられなくなる。

私はどうしてしまったのだろうか。らしくない。

当然試合は負けた。

勝てるわけもないのに本気での手合わせをと願ったが、彼女が本気になることはなかった。

彼女の強さは圧倒的であり、そして美しかった。

どうにかして彼女との接点が欲しい。

しかし口から出たのはあんな情けない言葉で。

女性を口説くのには慣れているはずなのに、本当にらしくない。

挙げ句にしつこいと言われる始末だ。

結局私は彼女との繋がりを得ることはできず、ただ去っていく後ろ姿を眺めることしかできなかった。