軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダミアン①

(どこで間違えたんだ……)

私――ダミアン・ブルーは絶望した。

上級貴族であるブルー家の長子として生まれた私。

そんな私には誇りがあった。

それは自身にパレット帝国皇室の血が流れていること。

母は大国パレット帝国の皇女だった。その事実を知ったとき、歓喜した。私の未来は明るいと。

まだ祖父には一度も会ったことはないけれど、母を大変可愛がっていたと聞く。

だからきっと私のことも可愛がってくれるだろう。

しかしそんな私にも一つだけ汚点が存在する。

それがあいつ、ダリアローズだ。

母は私が二歳の時に亡くなった。

最初はなぜ母が亡くなってしまったのか理解できなかったが、父がよく『全部アレのせい』と言っていたのは覚えている。

(あれってなに?)

幼かった私は、純粋にその疑問を投げ掛けた。すると父はこう答えたのだ。

『アレが私たちから妻を、母を奪ったんだ』

父の話によると、アレというのは私の妹らしい。その妹は産まれてからずっと離れで暮らしているという。

母の執事と侍女が世話をしているそうで、その話を聞いた私は妹に興味を持った。

だからこっそり離れを見に行ってしまったのだ。きっと妹も母がいなくて悲しんでいるはずだと。

しかし私の目に映ったのは、侍女と楽しそうに笑う妹の姿で……

この時私は産まれて初めて怒りという感情を知った。

(あいつのせいで僕のお母様がいなくなったのに、どうして笑っているの?)

今なら幼い子どもが無邪気に笑うのは仕方の無いことだと分かる。でも当時の私は、その出来事により妹に敵意を向けるようになってしまう。

それに父も日頃から、『アレのせい』『アレさえいなければ』と言っていたので、妹を憎むことが正しいことだと思っていた。

手を出すことだけはしなかったが、父も私も妹をいないものとして扱うことにしたのだ。

それから月日は流れ私が十七歳になると、妹に婚約の話が持ち上がった。

相手は王太子殿下。

ようやくこの家から追い出すことができる。そう喜んだが、ひとつだけ気がかりなことがあった。

それは祖父のこと。

祖父は皇帝の座はすでに退いているものの、いまだに大きな影響力を持っていた。

これまで妹を追い出せなかったのは、妹にも帝国皇室の血が流れているから。

皇室の血を簡単に市井に放り出すわけにはいかない。

ただ今回は王太子殿下との婚約だ。

それなら何も問題ないとは思ったが、ふと祖父はどんな反応をしたのか気になったのだ。

だから父に祖父には伝えたのかと尋ねた。

すると父は、手紙を送ったが何の返事もなかった、きっとアレのことなんて興味ないのだろうと言う。

その言葉を聞いて安心した。

祖父も母が亡くなったのは妹のせいだと思っているに違いない。

祖父も私たちの味方だ。

そう思うとなんだか心が軽くなって気分がよくなった……

……それなのにまさか婚約が白紙になるなんて。