軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

7巻発売記念SSーお祭り②

母とお祭りの話をした翌日、俺は父に呼び出された。執務室に入ると側近のセティだけでなく、噂のクーファルがいた。あれれ? これってヤバくない? そう思ってリュカを見たんだ。

「だから、言ったじゃないッスか」

そういいながら、何故か遠い目をしていた。これってお祭りに行く前に叱られちゃうパターンなのかな? え、それってどうなの?

「リリ、エイルから聞いたよ」

「あい」

「はぁ~、参ったよ」

「え……」

「リリ、エイル様のご気性を分かっていないね?」

「くーにいしゃま、しょうれしゅか?」

父とセティ、そしてクーファルが肩を落としている。セティなんて目の下に少しクマができていたりして。あれれ? どうしたのかな? 俺は全然分からないぞ。

「エイルの実家が毎年、祭りに参加しているのを知っているかな?」

「かあしゃまにききました」

「そう、それにリリと一緒に参加すると言ってきた。だからそれなりの警護を頼むってね」

「え……」

警護だって? 護衛じゃなく、警護? なんだか想像以上に大事になってないか?

「警護なんて出したらせっかくのお祭りなのに、民が委縮しないかと思ってね」

そりゃそうだろう。まさか騎士団じゃないだろうな?

「だが、エイルとリリが行くならそれなりの警護が必要だ。それでクーファルの第2騎士団を出すことになった」

「え……」

俺ってさっきから「え……」ばかり言ってるけど、だって驚きで言葉がないんだもの。

騎士団が出たりなんかして良いのか? それってどうなんだ? お祭りムードが台無しじゃないのか?

「もちろん、隊服は着ない。私服でそこら中に紛れて手伝いもする」

「リリ、だから私も一緒に行くよ」

「え……」

そんな、クーファルが街に出たら大騒ぎになるのじゃないか? ほら、クーファルって皇子の中でも一番の人気者だから。

「どうして祭りの話になんかなったのか知らないけど」

「あ、しょれはりゅかが」

「で、で、殿下!」

リュカったら何焦っているんだよ。だって本当だもの。あれ? 違った?

「ニル様ですって!」

「しょうらっけ?」

「そうです! そこは間違えないでください!」

それはごめんね。でも、どっちでもいいじゃん。

「だが、リュカ。そこは是非とも止めて欲しかったね」

「いやいや、クーファル殿下! 私は止めましたって!」

「リュカはいつもそう言うが、一度として止められてないじゃないか」

「だってリリアス殿下が聞いてくれないんッス!」

そんな、俺ってとっても聞き分けのない悪い子みたいじゃないか。

「そう、まあもうこんな話になったのだから仕方ない。だけど気を付けるんだよ、リリ」

「あい、とうしゃま」

「リュカ、リリを頼むよ」

「はい! もちろんです!」

リュカだけじゃないだろう? オクソールも行くのだろう?

「もちろん、オクソールも一緒だ。だけど祭りの日は人で溢れかえるからね。何がどうなるのか分からない」

「え……」

もう俺は反応のしようがないんだよ。想像以上に大変なことになっていたから。母ったら堂々とし過ぎじゃないか?

「リリはエイルとクーファルのそばを離れないように。まあ、せっかくだから楽しんでおいで」

「あい」

あー、なんかお祭りって雰囲気じゃなくなってきちゃった。もう俺は行かなくても良いかな~。

「リリアス殿下、まさかもう行く気がなくなったりしてますか?」

「りゅか、ちょびっとね」

「ええー! こんな大事にしておいてですか!?」

それは俺じゃないもの。俺はね、こっそりとちょっとだけ行ければ良かったんだよ。でも堂々と、とか言ってこうしたのは母だ。

「さすが、リリアス殿下の母上ッス」

「えー」

ふふふ、いいじゃん。母らしいよ。

そしてお祭り当日、俺はいつもより少しだけフリフリの少ないお洋服を着せられ母やクーファルが待っているところへ行った。

そこには同じようにいつもより皇子様度合いの少ないシンプルな服を着たクーファルと、ブラウスにロングスカートと言った軽装の母が待っていた。

それでも母とクーファルのキラキラ度合いはいつもと同じなのだけど。

「かあしゃま、くーにいしゃま、おまたせしちゃいましたか?」

「リリ、そんなことないわ。おはよう」

「リリ、おはよう。今日は私のそばを離れたら駄目だよ」

「あい、にーしゃま」

集まっている騎士団もいつもの揃いの団服ではない。それぞれに庶民に紛れられるような格好をしている。といっても腰には帯剣しているので、どちらかというととっても品の良い冒険者って感じかな。さて、問題はこいつだ。

「おく、かくせてないね」

「殿下、何がですか?」

「だってオクのまんまじゃない」

「私ですから」

いや、意味が分からないぞ。確かにオクソールもいつもの団服ではない。リュカだってそうだ。なのに二人並んでいると、どうしてもオクソールの方に目がいく。これは普通の庶民ではないぞと分かる。

あれだね、イケメンってこんな時は困るよね。クーファルもそうなんだけど、どんな格好をしてもキラキラは抑えられないらしい。

「さあ、行きましょう! リリが私の両親と会うのは赤ちゃんの時以来ね」

「しょうれしゅか?」

「そうよ、会いたいと言っていたからきっと喜んでいるわ」

「えっちょ、かあしゃまのとうしゃまとかあしゃまれしゅね」

「そうよ。リリが生まれた時は母が泣いていたわ」

「え? 泣いて?」

「そうよ、泣いて喜んでくれたわ」

そっか、そうなんだ。俺って狙われることが多いから、そういう話を聞くと嬉しい。

俺が生まれたことを喜んでくれる人たちもいるんだってね。