作品タイトル不明
第127話 新たなる開示
黒騎士の 傍(かたわ) らで膝を突き、首に手を当て生死を確認する。黒騎士は、すでに息絶えていた。
俺は手をかざし魔力を込める。
「テイム!」
光の魔法陣は展開せず、何も起こらなかった。やはり…………黒騎士の 兜(かぶと) をはずすと現れたのは20代後半くらいの赤い髪をした男性だった。
端正(たんせい) な顔立ちで明らかに日本人ではないが人間だ……“魔核”のある魔物じゃない、普通の人間だ。
今まで散々魔物を殺してきたが、人を殺すことなど無かった。俺はなんとも割り切れない複雑な気持ちになる。
何故、黒騎士は俺たちの敵に回り、世界を壊しに来たのか……。
俺は黒騎士の 頬(ほほ) に手を当てる。
すると、黒騎士の肌が突然ひかり始めた。体全体が光の粒子となり、空気に溶けるように空へと昇っていく。
「なんだ!?」
気づくと小さな光の柱が目の前に現れた。
その中に何かがクルクルと回っている。俺は手を伸ばし ソ(・) レ(・) を 掴(つか) むと、光の柱は一筋の光となって消えていく。
掴(つか) んだ物を見ると、それは一枚の“職業ボード”だ。
<伝説の勇者> UR
伝説の勇者……どういう意味だ?
「五条!」
レオ達が近づいてくる。俺は立ち上がり、レオ達の方へ行こうとすると黒騎士の剣が落ちていることに気づいた。
これは光になって消えなかったのか……。
剣を拾い上げ、鑑定してみると――
「………そうか、これが」
【 王の聖剣(エクスカリバー) 】 UR
世界最強の硬度を誇るオリハルコン(高純度)で
作られた剣
一定の衝撃を受け続けるとそのエネルギーを斬撃に
変えることができる。
あの有名な聖剣か……でもなんで黒騎士はこんな物を持ってたんだ?
そんなことを考えていた時、背後に気配を感じて振り返る。そこにはドス黒い闇が広がっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
五条が黒騎士の 傍(そば) で 屈(かが) んだ後、黒騎士は何故か光になって消えてしまった。何が起きているのか分からなかったが、仲間たちと共に五条のもとへと向かう。
「これで終わったんだよね、レオ。世界中の魔物も消えるだろうし」
フレイヤが希望に満ちた声で言ってきた。
「分からない。あくまで黒騎士を倒したに過ぎないからな。できれば黒騎士から情報を聞き出したかったが……」
五条に近づいていくと、五条の背後の空間に一筋の亀裂が入る。亀裂はゆっくりと広がり、漆黒の中から何かが這い出してきた。
「なに!?」
いくつもの手が空間の 淵(ふち) を 掴(つか) み、闇の穴を更に広げていく。青い皮膚と赤い目、三日月形の剣を持つ怪物――
「ラーヴァナ! 生きていたのか!?」
闇の穴から、完全に出てきた“統率者”は五条の前に立ちはだかる。左手に持った 金剛杵(ヴァジュラ) で稲妻を起こし、右手に持っている三日月形の剣を大きく振り上げた。
剣に稲妻が落ち、雷の魔法剣となって五条に向かって振り下ろされる。複数の腕は、あらゆる魔法属性を宿し四方八方から五条に襲い掛かった。
あいつが不死身であることを五条に伝えないと!
「五条! そいつは不死身の――」
俺が言葉を発した瞬間、五条は持っている剣を軽く振った。黒い 格子状(こうしじょう) の剣筋は 幾重(いくえ) もの残像となり、ラーヴァナの体を通過する。
“統率者”は粉々に切り裂かれ、破片になった部位は更に細かく両断されていく。残ったのは 極(ごく) 小さな 四角形(スクウェア) 状の肉片だけだった。
五条はバラバラになった“統率者”に手をかざす。
「テイム」
魔法陣が展開し、細かく切り刻まれたラーヴァナの肉片は渦巻くように一カ所に集まり黒い“魔核”を構成していく。
“魔核”は魔法陣の中へ溶けるように消えていった。
五条は足元に落ちている何かを拾い上げ、何事も無かったかのようにこちらに歩いてくる……。
俺たちがあれほど苦戦した相手を一秒もかからずに倒すのか………俺は少し笑いが込み上げてきた。
「強すぎるだろう………五条」
◇◇◇◇◇◇◇◇
レオたちが戦っていた“統率者”か……やけに、あっさり倒せた気がする。レオたちと戦ったせいで力尽きたのか?
それにしても凄い切れ味だ。この剣は手と一体化したかと思うほど扱いやすかった。そして……。
「やっぱり落ちてたな」
“統率者”をテイムした場所に“魔核”の玉が落ちている。俺はその“玉”を手に取り鑑定した。
<神殺し> UR
神格種、神竜、魔神を殺す力を
一定以上の耐久力のある武器に
付与することができる。
神殺し………神格種だと偽物の“統率者”だったガネーシャは別として、ヴィシュヌを殺したタイタンの【破滅の大斧】や神竜ヒュドラを殺した【バルムンク】もこの力を持っていたのか?
「神格種、神竜、そして………魔神……」
レオたちが俺の周りに集まった。
「先生~……」
「なんだ、泣くなエミリー! あんなに強くなったんじゃないか」
「だって……」
エミリーだけじゃなく他の子供たちも泣いていた。ノアでさえ……。
「苦労をかけてすまなかったな。ノア」
「全然……いいんだ。先生さえ無事なら」
「五条、黒騎士は消えたのか? 結局あいつは何者だったんだ?」
レオの問い掛けに俺は明確な答えを持っていない。
「俺にも分からない。でも、それが分かればこの世界に起きている謎も解ける気がするんだ」
俺は自分が持つ剣に目を移す。
「黒騎士の剣か……もの凄い力を感じる。お前が使うのにふさわしいかもしれないな」
レオはそう言ったが、確かに俺に使わせるために残していったようにも見える。この【職業ボード】と【神殺し】のスキルも恐らく意味があるんだろう。
「とりあえず帰るか。タイのイギリス大使館は無事だから一旦そこに行って休ませてもらおう。夜が明けてから、どうするか話し合えばいい」
レオの提案で全員が移動し始める。それぞれが健闘を称え合い、労をねぎらいながら歩いていく。
それを見ながら俺は手に持った“魔核”を服で拭いて口に含んだ。
どういう能力かがイマイチ分からなかったが、能力を獲得したならエクスカリバーに付与しようと思った。
“魔核”のアメを舐め切った後、持っている剣を確認する。
「あれ?……すでに付与されてる」
能力を得てから剣を見ると、【神殺し】の能力があることが分かった。だとすれば、この剣は“神の名を持つ者”たちと戦ってきたのか?
分からないことは多かったが、取り敢えず自分のステータスを“鑑定”してみる。
大賢者 Lv99
HP 81010/81010
MP ∞/∞
筋力 172140
防御 106590
魔防 50568
敏捷 97680
器用 10025
知力 163507
幸運 748125
【職業スキル】
魔術 Rank SSS 称号“魔術王”
回復術 Rank SS
複合魔術 Rank S
マッピング Rank SSS 称号“岩窟王”
魔道図書 Rank A
剣術 Rank SSS 称号“剣聖”
武術 Rank SSS 称号“拳王”
生成術 Rank C
解体 Rank A
強奪 Rank SS
弓術 Rank B
テイム Rank SSS 称号“魔を統べる者”
錬金術 Rank A
アーカイブ Rank B
気功武術 Rank S
魔法剣 Rank S
結界術 Rank S
光の加護 Rank A
闇の加護 Rank A
暗殺術 Rank A
【固有スキル】
時空間操作 超回復(極) 竜王の柩
無限魔力 天下無双 ドラゴンブラスト
重力操作 神眼 命の揺籃
全状態異常耐性 不老不死 神殺し
女神の加護 業魔の鎧
結界防御 神速
【スキル】 【魔法】
鑑定 (ⅩⅦ) 風魔法 (ⅩⅨ)
空間探知(ⅩⅩⅦ)土魔法 (ⅩⅧ)
筋力増強(ⅩⅩⅩ)火魔法 (ⅩⅨ)
千里眼 (ⅩⅢ) 光魔法 (ⅩⅩⅣ)
魔力強化(ⅩⅢ) 召喚魔法(ⅩⅩⅩ)
寒熱耐性(ⅩⅥ) 雷魔法 (ⅩⅩⅤ)
物理耐性(ⅩⅣ) 水魔法 (ⅩⅩ)
魔法耐性(ⅩⅤ) 闇魔法 (ⅩⅩⅥ)
魔法適性(ⅩⅤ) 強化魔法(ⅩⅩⅠ)
成長加速(ⅩⅤ) 回復魔法(ⅩⅨ)
隠密 (ⅩⅧ)
俊敏 (ⅩⅩⅩ)
精密補正(ⅩⅠ)
威圧 (Ⅹ)
演算加速(Ⅹ)
念話 (ⅩⅠ)
敵意感知(ⅩⅦ)
模倣 (ⅩⅩⅤ)
精神防御(ⅩⅠ)
加護 (ⅩⅤ)
【テイム】
神格種 ヴィシュヌ SSS
神竜 ヒュドラ SSS
岩の巨人 タイタン SSS
炎竜王 シヴァ SS
羅刹種 ラーヴァナ SS
妖精種 スプリガン AAA
魔獣種 キマイラ AAA
精霊種 不死鳥 AA
金属の巨人 ギガス A
竜種 飛竜 B
金属の巨人(中位) B
岩の巨人 (中位) B
黒騎士と戦う前に“大賢者”の職業ボードを使っていた。大賢者のボードは2枚しか無かったから、これが最後になる。
「職業スキルの“アーカイブ”はBランクまで上がったか……あれ?」
俺は【職業スキル】の別項目に目が留まった。剣術のスキルがトリプルSになって“称号”がついてるぞ。
一瞬、なんでだ? と思ったが、恐らく黒騎士の剣術を“模倣”で体得したせいだろう。だとしたら、こんな方法でも職業スキルが上がるってことか……。
大賢者の【職業スキル】アーカイブを開く。
目の前に現れた光のボードには南極の情報が開示されていた。
カナダ Rank B アメリカ Rank S
ボリビア Rank C グリーンランドRank D
ロシア Rank A 中国 Rank A
日本 Rank B インド Rank C
ジョージアRank D フランス Rank SS
イギリス Rank S リビア Rank D
アンゴラ Rank C オーストラリアRank B
南極大陸 Rank SSS
南極大陸の危険度はトリプルSか………。ある程度予想はしてたが、こうやって明示されると少し尻込みしてしまうな。
そして光のボードには2ページ目があった。
確認すると南極大陸の詳細な地図が表示されている。その中の一点、南極のほぼ中央にあたる場所に光が点滅する印のようなものがある。
「行くしかないな………南極へ」