軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第124話 タイムリミット

瞬間移動でロシアに来た。ここでは新しいダンジョンが出現したと聞いていたので、俺は空を飛びながら捜索を開始する。

今まであったダンジョンとは違うため、探すのに少し時間がかかったが“魔素”が濃く魔物が多く出現している場所を見つけた。

「 不死鳥(フェニックス) 、頼んだぞ!」

地上にいる魔物達の相手を不死鳥に頼み、俺はダンジョンに向かう。

ダンジョンの洞窟の入り口の前に降り立ち、亜空間の中から一つの袋を取り出した。時間を止めて袋の中を確認する。

それは狩人の職業スキル“解体”で手に入れたステータスを上げる“魔核”だ。魔物を倒すとたまに落ちるものだが、今までは見つけても食べずに袋に入れていた。

一つ一つの効果が小さいからだ。

だが、基礎ステータスを少しでも上げなきゃいけない今では、重要な強化手段になる。数十個はある“魔核”を全て食べた。

一遍(いっぺん) に食べたので気持ち悪くなってしまう……。

狩人の職業ボードを取り出し表面をタッチした。ロシアではこの職業のレベルを上げていく、一つの“魔核”の効果は小さくても積み上がれば大きいはずだ。

俺は時間を止めたままダンジョンを進もうかと思ったが、それだと経験値も入らないし“魔核”も回収できないため、時間を動かし急いで最下層を目指す――

【――イギリス】

日が昇りはじめ、明るくなってきている。イギリスは朝のようだ。ロシアの攻略を終え【狩人】の職業ボード、合計4枚をカンストさせることができた。

【職業スキル】

解体 Rank C → A

獲得スキル 空間探知×5 敵意感知×4 千里眼×2

さてと、イギリスのドラゴンは一番厄介な魔物だからな……効率的に倒さないと時間切れになってしまう。

まとめてドラゴンを倒す方法は、コレしか思いつかないな。

「召喚――来い! 炎竜王シヴァ!!」

光の魔法陣から炎と共に現れた竜の王は、再びイギリスの大地に降り立つ。

シヴァはイギリス全土に轟くかと思うような雄叫びを上げた。シヴァにはドラゴンたちの行動をある程度誘導する力があるからな。

それを利用すれば………。

上空に飛竜の群れが集まりだす、かなりの数が集まったのを確認してからシヴァに対して攻撃の命令を下した。

「焼き払え! 破滅の息吹―― !!」

炎竜王から放たれた火球は数百体は集まっていた飛竜のもとへと真っ直ぐ向かい、一旦弾けると空一面を光と熱で覆い尽くす。

核爆発のような衝撃と雲が広がり、飛竜は全て消滅した。

事前になっておいた“魔王”の職業ボードがカンストする。

「これはいいな、かなり効率的だ」

俺はイギリス各地を回り、シヴァの力でドラゴンを集め 纏(まと) めて焼き払う。

他にもアースドラゴンなども移動の途中で見かけたため、“ 死別する氷の世界(ニヴルヘイム) ”で一匹残らず叩き潰していく。

◇◇◇◇◇◇◇◇

【イギリス・ウィルトシャー州 政府地下施設】

「なんだか、外が騒がしいな……」

「ドラゴンが暴れてるのか!?」

地下施設に避難している人々は外の状況を把握できなかったため、不安だけが増大していった。

「先生が来たのかな?」

「きっとそうだよ。ノアが必ず来てくれるって言ってたもん」

ノアたちと一緒にイギリスに来た双子、ラファエルとガブリエルは避難所で身を寄せている。だが、二人はなんの不安も感じていない。

それだけ五条やノアのことを信用しているからだ。

「もうすぐここから出られるね」

「うん、先生が助けに来たなら大丈夫だよ!」

周りの人間が慌てふためいている中、双子だけは 御喋(おしゃべ) りをしながら、のんびりと助けを待っていた。

◇◇◇◇◇◇◇◇

イギリスのブリクストンまで行くと、そこには巨大な青い竜が待ち構えている。体の至る所に氷でできた外殻のようなものがあった。

「氷のドラゴンか………」

今まで見た“統率者もどき”の中では一番強そうだが、シヴァが負けることはないだろう。ただ一つ試したいことがある。

俺は右手と左手に、別々の魔法の力を練り上げる。今使える最強の魔法は雷魔法では“雷帝”、火魔法では“ 地獄の極大業火(インフェルノ) ”だ。

この二つを合わせた“複合魔法”が使えれば強力な武器になる。俺の複合魔術のランクも“S”まで上がってるからな……。

魔法が効きにくい、ドラゴンの“統率者”に通じれば本物だろう。

俺は右手に“雷帝”の力を、左手に“ 地獄の極大業火(インフェルノ) ”の力を集め意識を集中させる。喰らえ――

「 雷神滅火(らいじんめっか) !!」

天と地を結ぶ雷光は氷のドラゴンの体を貫き、大地に風穴を空ける。魔法に耐性があるはずの氷の竜は力ない叫びをあげて、よろめきだす。

体の内部から発火し、至る所から炎が噴き出していた。

「今だ! シヴァ、 止(とど) めを」

シヴァは口内に莫大な魔力を集め、吐き出した火球は氷のドラゴンに当たり粉々に吹き飛ばす。後には全てが消滅したクレーターだけが残った。

これでイギリスは大丈夫だろう………。

今までの戦いで職業ボードは“魔王”2枚と“聖戦士”4枚がカンストした。ステータスを確認すると――

【職業スキル】

結界術 Rank B → S

闇の加護 Rank C → A

獲得スキル 威圧 (Ⅰ)×2 精神耐性(Ⅰ)×3

物理耐性(Ⅰ)×4 魔法耐性(Ⅰ)×5

獲得魔法 闇魔法 (Ⅰ)×3 光魔法 (Ⅰ)×5

俺はシヴァを消して、瞬間移動でフランスに向かった。

◇◇◇◇◇◇◇◇

フランスに大量に発生したのは虫の魔物だった。空を埋め尽くす蜂やハエ、大型のバッタのような魔物が人を襲っている。

あまりの数の多さに人々は逃げ惑うしかなかった。

そしてパリには巨大な花の魔物が育っており、この花が虫たちを発生させていると考えられていたため、フランス軍が出動する。

だが、通常の軍隊では魔物に太刀打ちできなかった。

そこで――

『旋回して目標を叩く』

『了解!』

二機の戦闘機F35ライトニングⅡが空中にいる虫の大群を避けながら花の魔物に攻撃を仕掛けた。発射されたミサイルは花の根元や 茎(くき) に着弾する。

花の魔物の体表をえぐり、確実にダメージを与えていた。

一時、活動休止状態となっていた“プロメテウス”がこの有事に際して緊急出動している。かつて強制的に利用していた異能者に協力してもらい装備を整えていた。

プロメテウスの隊員は知らなかったとはいえ、異能者を酷い目に遭わせていたことに負い目を感じる者も多い。

だからこそこの戦いで結果を出し、異能者と協力した新しい組織として認められたい。作戦に参加した隊員全員の思いであった。

二機は上空を旋回して再び攻撃を仕掛ける。

F35ライトニングⅡは最大限のミサイルを搭載した“ビーストモード”で出撃しており、全てのミサイルを当てることができれば“統率者”でも倒すことが可能だと考えていた………だが。

戦闘機が攻撃可能範囲に入ろうとした時、凄まじい数の虫の大群が襲い掛かってきた。避けることができず、二機は空中で爆発する。

緊急脱出したパイロットも空中で虫に捕まり命を落とした。

◇◇◇◇◇◇◇◇

俺はフランスに瞬間移動でやってきた。

見回せば空を 覆(おお) うほどの虫の大群がいる。これがフランスの魔物なのか……。虫の群れがこちらに向かってくる。

俺はフランス全土の大気に魔力を流し気流に変化を起こす、同時に空中にある水分も集め“風”と“水”の力を合わせる。

「複合魔法―― 極大暴風雨(テンペスト) !!」

巨大な嵐が巻き起こり、大量の虫の魔物を飲み込んでいった。嵐の中を水が矢のように飛び回って虫の体を 貫(つらぬ) く。

やがて嵐が集約し、全てを破壊する竜巻となって猛威を振るう。

虫の魔物は一匹一匹は弱いが、数が大量にいたため経験値が膨大に入ってきた。何枚かの職業ボードはカンストし、最後に残ったのは花の“統率者”だけだ。

ずっと一緒に付いてきた不死鳥に合図を送る。

上空に向かい手をかざし、 地獄の極大業火(インフェルノ) の魔法で巨大な火球を作り出す。不死鳥は急上昇して火球の中へ突っ込んだ。

巨大な火球のエネルギーを全て吸い取った不死鳥は炎の塊となって下降していき、やがて見たこともない大きな炎の鳥となり花の“統率者”へと突撃していく。

花の“統率者”も 棘(とげ) のような物を飛ばしてくるが、炎の化身である不死鳥の体には当たらず全てすり抜ける。

不死鳥が敵に衝突し、大爆発が起きて魔物は致命的なダメージを負う。

炎は消えるどころか更に勢いを増し、炎の竜巻となって“統率者”を焼き尽くしていった。

「これで6体目……!」

フランスでカンストした職業ボードは【錬金術師】が2枚、【賢者】が2枚の合計4枚だ。

【職業スキル】

魔道図書 Rank D → A

錬金術 Rank B → A

獲得スキル 魔法適性(Ⅰ)×2 念話(Ⅰ)×3

魔力強化(Ⅰ)×2 加護(Ⅰ)×2

俺は最後の目的地であるアンゴラに向かう。

アンゴラは初めて行く国だったので 辿(たど) り 着(つ) くのに苦労したが、出現する魔物自体はそれほど強くはなく“統率者もどき”も 難無(なんな) く倒せた。

カンストした職業ボードは【盗賊】の7枚だ。

【職業スキル】

強奪 Rank D → SS

獲得スキル 模倣(Ⅰ)×17

盗賊の職業スキル“強奪”や獲得スキルの“模倣”は接近戦でかなり役に立つ能力だ。これで7体全ての“統率者もどき”を時間内に倒すことができた。

カンストできた職業ボードは53枚中34枚か……さすがに全部はカンストできなかったが充分だろう。

今の俺なら基礎能力でも黒騎士を上回っているはずだ。

俺はバンコクへと続く亜空間の扉を開いた。

◇◇◇◇◇◇◇◇

世界各地で魔法のような力が使われ、化物が急減したことで人々は五条の復活を確信し始める。

五条が現れたという情報は、通信障害があるため一気には広がらなかったが、ゆっくりと、しかし確実に世界へと広がっていった。

そして――

◇◇◇◇◇◇◇◇

【――現在 バンコク】

僕たちの前に先生が現れたと同時に“統率者”の周りにも異変が起こる。空中を飛んでいた魔物の腕が叩き落とされ“統率者”自身にも誰かが攻撃している……。

「遅くなった」

見ると王さんを含め“朱雀”メンバーが来ていた。先生と一緒に来てくれたんだ。

王さんはもの凄い速さの棒術で“統率者”を 翻弄(ほんろう) し、“気功”を 纏(まと) った 渾身(こんしん) の一撃は相手の喉に入った。

たまらず“統率者”は後ずさる。

それを見た先生は建物の屋上から飛び降り、地面に着地する。僕に話しかけようとしたその瞬間――

レオさんやアンナさんを振り切り黒騎士が猛然と先生に向かって突っ込んできた。黒騎士は剣をかかげ振り下ろす。

『次元斬!』

黒い 格子状(こうしじょう) の斬撃が先生に襲い掛かる。

「先生!!」

「次元斬」

先生が振るった剣は黒い光の線を描き、格子状の斬撃になって黒騎士が放った斬撃とぶつかり合う。

耳を 劈(つんざ) くような金属音と共に衝撃波が広がり、わずかに力負けして黒騎士が後ろに一歩下がった。

気づくと先生は黒騎士の目の前にいる。

「あれだけ喰らえば“模倣”できるよ」

先生は凄まじい“気功”を放つ左の 拳(こぶし) で黒騎士の顔面を思い切り殴った。金属がひしゃげる音がして黒騎士は吹っ飛んでいく。

建物の壁に激突して止まったが、強く叩きつけられたせいで壁は破壊され崩れてきた外壁で黒騎士は埋まってしまった。

「生徒と話してる最中に邪魔すんな」