作品タイトル不明
第三百七十六話 個別全体会議②
《むう》
当然のように面白くないとラフォーネの顔に浮かんでいた。そりゃそうである。パーティー仲間全員とおまけに俺の専用装備、焔将ことラティオの敵でもあるバルガレオルと組んでくれと言ったのだからそうなる。
でもこの件は、結構重要なのだ。さすがにできないこととは思う。その場合ラフォーネとヒノエに組んでもらい、モンスターだろうがなんだろうが気にしない米崎とバルガレオルで組んでもらうことも考えていた。
ただできればベストはラフォーネとバルガレオルの組み合わせなのだ。何しろ【氷狼王グレイシス】レベル867で、バルガレオルはレベル888。ラフォーネはレベル823。そして炎属性で、相手は炎属性が大嫌いな氷系モンスターだ。
何よりもグレイシスとラフォーネは友達同士である。本気の戦いにはならず小規模に終わる可能性が高いと思えた。それでもあくまでもグレイシスがこちらになびくことを嫌がるかもしれない。その保険としてバルガレオルである。
《ラフォーネとバルガレオルはレベル制限を受けていない。そのおかげで本来の力で戦える。だからこそ、氷狼王グレイシスをできる限り早く懐柔して、他のところに応援に回ることができれば》
《勝てば勝つほどどんどんと戦いは有利になっていくか……》
《だからあえてオーバーキルの組み合わせにした》
《嫌……》
ラフォーネが首を振った。やっぱり嫌か。まあ当たり前だ。夫と子供を殺した相手と仲良く共闘してくれ。そんなのが通るわけもない。こんなことを頼んでいる俺もどうかしている。どうも効率を考えると感情が抜ける。
俺自身結構感情的なところがあるのに、人の気持ちを考えられないところがある。俺は嫌がられて反省した。
《無茶を言って悪かった。じゃあ組み合わせを変えてうちの超優秀なヒノエと組んでくれるか?》
今回一人で戦わなきゃいけないのはマークさんと摩莉佳さんだけである。他は人数的に全員誰かと組める。レベルでは劣っているが、人数的には十分勝算があると言えた。
《まあ実際のところ嫌ではある。組むのは生理的に無理だ。私はバルガレオルには腹が立っている。あのモンスターのことはこの世で一番か二番ぐらいには嫌いだ。だが、私情を抜いて話をしよう。実際のところお前の組み合わせは理想的とは思えない》
《どういうことだ?》
自分の決めたことが全てにおいて正しいなんて思わない。言い返されることはむしろ望むところだった。だからしっかりと聞き耳を立てた。
《言っては何だが私もバルガレオルもスピードタイプではないぞ。そして隠れるのも私はそこそこと言ったところだ。バルガレオルに至っては隠れているところなど見たことがない。私はあのモンスターを嫌悪までしていないのは、戦いにおいてあのモンスターが卑怯ではないからだ。そして炎系は基本隠れること全般が苦手なやつが多い》
《ああ……そうなのか……》
それは正直かなり残念な情報だった。というのもグレイシスはゴリゴリのスピードタイプという情報だった。俺はてっきりラフォーネは小さくて素早そうだからスピードタイプだと思った。しかし違うのか。
しかも森に生きるエルフだから、隠れるのも得意かと思ったのだが、炎系で隠れるのが得意なんてやつはいないようだ。俺も米崎から言わせると下手らしいし、確かにそれだと組み合わせが悪い。
《私は自分で言うのもなんだが魔法やスキルが大雑把だ。そして、グレイシスはこの強さのモンスターにしては3mとかなり小さい。それにグレイシスは凶暴なわりに臆病なやつでもある。まあモンスターは全体的にそういうところがあるが、グレイシスは特にそうだ。隠れた場所から相手を一撃で仕留めようとしてくる。正直友達ではあるが、戦い方的にはちょっと嫌いだ》
《まあそういう情報だったよな。ラフォーネが追い込めればいいと思ったんだけど》
《無理だ。私では追いつけない。そして速いので逃げられると死ぬほど厄介だ。手間取ったらおそらく私たちが一番時間がかかるぞ》
《……それは困るな》
グレイシスが速いのは全体会議の時に聞いていた。この聖勇国に存在するモンスターの中でグレイシスと雷光獣テスラ。この2体がスピードタイプのようだ。それでいて放ってくる魔法やスキルも別に威力は軽くないらしい。
《よく考える。少し待ってくれ》
大雑把な方針は俺が決める。そうするのが一番いいと米崎や迦具夜も言ってくれていた。それが一体どんな効果を発揮するのか知らないが、それによって仲間が一人も死なずにすむ効果があるなら、俺が自分で考えるしかない。
だからもう一度考えてみた。とにかく気配を消すのが得意でスピードタイプの敵がいる場合、こっちも同じような特性のある人間で挑まないと、逃げられてしまって戦いにならず、決着がつかなくなる可能性が高い。
一番早く終わらせて、まずグレイシスの【管理球】を奪うのが、一番効率的だと思ったが、それではうまくいかない。そうなってくると雷神様か千代さんにラフォーネと組んでもらってグレイシスとぶつけるべきとなってくる。
でもレベル的に考えるとグレイシスはそれでも追いつけない可能性がある。
《後もう1つ不安要素は、お前たちの現状のレベルを聞く限り、どれほど優秀な人間だったとしても帝王ロガンの相手になるとは思えない。特にロガンが雷光獣テスラとコンビで動けば勝てるものなどいない。あの1人と1体は召喚士でもないのに合体できる》
《え? マジ?》
《普通だとありえないのだがな。雷光獣テスラの方にかなり人と合体するのに向いた特性がある。それに剣神ベリエルの技の冴えは超一級品だ。とても好戦的なやつで、私も手合わせしてみたことはあるが、かなりのレベル差があるのに勝ち切れなかった》
《そうか……》
人とモンスターが合体する現象。召喚士は使えるものが多いようだ。エヴィーやカインで理解している。かなりのパワーアップを見込める割に、結構簡単にリスクなく合体できるのだ。俺は少し考え込んで、結論を出した。
《帝王ロガンは現状の最高戦力で挑むのが一番いいな。ラフォーネ。雷神様と千代さんで組んで帝王ロガンに挑んでくれるか?》
《グレイシスはどうする? できれば私が相手をしたいのだが……》
《他の戦場の情報は、一切持つ必要はない。悪いが相手にもしも心を読むやつがいた場合の対策だ》
《徹底してるか……》
ラフォーネを信じたい気持ちはある。しかし現状クミカはラフォーネの心を読むこともできていないし、俺とは本来相容れない相手だ。他の人間の動きまで教える気はなかった。
そして氷狼王グレイシスの相手はもう考えてる。
俺が単独で氷狼王グレイシスと戦う。それが一番いい。方法も考えてる。そしてバルガレオルもラフォーネが嫌がらなかったら、帝王ロガンに当たってもらう。
人で強い探索者は怖い。
そもそも帝王ロガンはルビー級専用装備を全て揃えている可能性がある。生きてる年数が長いとそれだけガチャを回す回数も増え、装備も揃っているケースが多い。ここは火力をできるだけ投入するべきだ。
《じゃあジャックと土岐は【海王獣アトラディオ】レベル971でいいんだな?》
こちらの方も戦う相手がもうほぼ決まっていた。正直、美鈴たちと同じくレベル的には不安がある。何よりも海の中の相手だ。敵の中では一番戦いにくい相手と言えた。それをジャックは最初に選んでくれた。
《まあ一番こいつが戦いにくい相手だしな。それでいて【管理球】は海全体だからでかい。なんとか早い段階でものにしたいところだろう》
《まあそれはそうなんだけど、無理して死んだりしないでくれよ》
一番難しい戦場はどこか? それは海中を自由に潜ることができる海王獣アトラディオの相手をすることで間違いなかった。そもそも海の【管理球】は一番主要なものが1つあるそうなのだが、その場所がはっきりしてなかった。
その場所を特定する必要もある。さらにアトラディオは海を不規則にうろついていると言われてる。ただでさ海の中では分かりにくい。そして海の中の相手とは戦うのが難しい。
俺は青蛙と戦った時、迦具夜のおかげで水の精霊が手伝ってくれたのも良かった。しかしジャックや土岐にはそれがない。
《その辺は土岐がいるから大丈夫だ。難しいことは大体土岐がやってくれる》
《僕としては自分自身でももうちょっと自分のことをやって欲しいんだけどね》
《土岐がいるのにそんなことする必要あるか?》
ジャックは土岐と肩を組んだ。この二人もまた同じ部屋にいるのだ。シルバーエリアとゴールドエリアが一緒だった人間同士の間には特別な絆が結ばれている。お互い言わなくても何を考えているのかわかるみたいだった。
《ジャック。でも、もう一人だけ、追加して入っておいてほしいメンバーがいる。本人はやや嫌がっているが、まあ説得はできると思う。これに関しては外に漏らさないように頼むぞ》
《OK。それで誰だ?》
《クミカだ。でも俺から離れたくないらしい》
《ああ、かなり水の精霊を持ってるんだったな。完全に貸し出してくれるのか?》
《できればその方がいいと思ってる。まあクミカとの話し合い次第だ》
《まあそうなるか。じゃあ後は土岐と細かいこと決めるから、待っててくれ》
俺はよろしく頼むと伝えておいて、パーティー内で唯一、ものすごく気を使う相手、雷神様の方に自分のリソースを統合させた。
《ラフォーネとかいう小娘はどうでもいいが、千代女とか……》
そしてかなり難しい顔をしているのが雷神様だった。雷神様にもどうしても苦手な相手というのがいるらしい。それが千代さんだ。千代さんのことはどうも苦手な探索者が多く、南雲さんでも苦手なようだ。
雷神様も千代さんも南雲さんと元パーティーメンバーとして有名だ。苦手意識を持つ理由として思い当たることはかなり色々ある。千代さんは色々変わってる。何よりも千代さんはダンジョンが現れる前から強かった。
苦手意識を植え付けられる理由としてはそれだけでも十分に思えた。でも俺の中では帝王ロガンの相手ができるとしたら雷神様と千代さん以外に考えられなかった。そしてラフォーネと一緒に動いても、この2人なら安心感がある。
《豊國ちゃんはお姉ちゃんとは嫌ですか?》
《いつまでもその呼び方をするのをやめろ》
《どうしてです? 豊國ちゃんは豊國ちゃんですよね?》
千代さんは徹底的にマイペースな人間で、そのマイペースに相手が乗ってこないことを嫌がる。まあつまるところお姉ちゃんと呼べと言うのもかなり強めに強制してくるのだ。そして呼ばないと結構不機嫌になる。
まあ有り体に言えば、千代さんは結構面倒臭い性格をしている。そのことだけは俺と千代さんの仲が深まった今でも、反論の余地のないことだ。
《千代さん。相手が嫌がってるんだからやめたらどうですか?》
《……祐太さんそうしてほしいんですか?》
《そうしてほしいです》
《じゃあこれから豊國と呼びましょうか……》
ものすごく嫌そうである。
《千代女……お前、何か変なものでも食べたのか?》
それでも呼び方にちゃんをつけないことを認めたことに雷神様が驚いていた。
《変なものなど食べてませんよ。祐太さんが帰ってきてとても幸せです》
《……》
今なにか信じられない言葉を聞いた。そんな感情が伝わってくる。
《雷神様。どうでしょう。千代さんは呼び方は改めると言ってますし、ラフォーネとバルガレオルも加えて3人と1体で帝王ロガンを相手にしてもらうことはできるでしょうか?》
《……分かった。ロガンは千代女とあの獣がやれ、剣神ベリエルはラフォーネとかいうのが相手をしろ。我は【雷光獣テスラ】を相手にする。ロガンと合体など絶対にさせんから安心しろ》
《まあそれは心配してません》
あっさりそう決めていた。俺に作戦内容を教えないでほしいのだが、教えてしまっている。そして2人ともこれ以上話すことはないというような感情を伝えてくる。戦いにおいて絶対の自信があり、自分が勝つに決まっている。
そんな感情が伝わる。実際この2人は心配の必要性を感じなかった。全ての面で俺より上の相手に何を言わんやである。ともかくほとんど決まってきていた。そして最後にまだ話し合っていたのが、米崎とヒノエのコンビだった。
《【災禍の手紙】に【明日の手紙】この2つの使いどころだね》
最も戦う相手はもうそれぞれに完全に決まっていた。
第一次侵攻作戦
〇【巨鬼獣カオスオーガ】レベル865 マークさん
【氷狼王グレイシス】レベル867 祐太
〇【蠱惑蝶ベラミス】レベル874 摩莉佳さん
【海王獣アトラディオ】レベル971 ジャック 土岐 クミカ
【地轟獣メテオ】レベル983 米崎 ヒノエ
〇【天災獣ギガ】レベル999 美鈴 榊
〇【雷光獣テスラ】レベル952 雷神様
【剣神ベリエル】レベル697 ラフォーネ
〇【帝王ロガン】レベル878 千代さん バルガレオル
こんな感じで戦う予定だ。場所がわからない超越者もおり、丸がついていない相手は場所がはっきりしていない。これらを全員発見してから同時侵攻をする予定だった。だからまず未発見のものの場所の特定から始まる。
そのことも忘れてはいけない大事な要素だ。
そして使うかどうかは未定だし、セラスと死神がサファイア級である以上、使用することを非常に悩むところではあるが【明日の手紙】の暗号も決めておく必要があった。
《全員の配置を聞いた上で僕の方で暗号は組み終わったよ。悪いけどこれを全部覚えてくれるかな。1億126万4578通りのプランを考えてみた。微細な作戦漏れも発生しないようにかなり細かく微妙な違いも決めたんだ。君もルビー級なんだ。もうこれぐらい簡単に覚えられるよね?》
《米崎、考え出してから1分ぐらいしか経ってなくない?》
全員の配置が決まったのはまだ1分ほど前のことだった。
《正確に言うと君が言った時点で56秒前だね》
《それだけでバカかと思うような大きな数字をさらっと言って、覚えろとか言ってくるのやめてくれる?》
《安心したまえ1000億文字ぐらいしかないからすぐだよ》
《お、お前、使うかどうかも分からないのに、1つ1000文字も入れたのか?》
何をしているかといえば迦具夜と戦った。いや、戦いにはなってなかったが、利害関係がぶつかり合った時に【明日の手紙】を使用した。その時と同じだ。【明日の手紙】で過去に送れる文字は10文字までだ。
だから10文字の決められた枠に漢字を割り振って、その漢字1つ1つに、文章をつける。漢字の組み合わせによって無限に暗号を組み立てることができる。【明日の手紙】では10文字しか送れない。
だから一文字の意味をたくさん込めるために、俺たちが考え出した暗号。探索者の記憶力と計算能力を強引に活かした究極の圧縮化暗号だ。
《1分もあれば十分だよ。それよりデータを送るからさっさと覚えるんだよ》
《ちょ、ちょい待ち! 記憶担当の俺を作るからちょっと待て!》
罰ゲームみたいなことをするのはどの俺も嫌がったが、作戦の要に関わることである。米崎は暗号を作るところから1分でできたんだから俺も1時間ぐらいかけたら、覚えられるかもしれない。
記憶担当の俺に頑張れとエールを送り、米崎にゴーサインを出すと、そのあまりに大きなデータ量に俺が絶望を覚えた。まあ俺でも信じられないほど知能が上がったのだ。米崎なんて知能がえげつない数字になってるはずだ。
このデータ量が1分で作れたということから、もう絶対に米崎の知能はスパコンは超えてる。それどころか完全な形の人工知能を再現した量子コンピューターにほとんど近いのではと思えた。桜千とどっちが賢いのだろう。
「さて。最後の問題は【災禍の手紙】を誰にどのタイミングで送るかだね」
そう言って米崎が、俺の部屋に入ってきた。
「直接来たのか?」
「その方がいいだろう。さっき送ったデータだけど、【災禍の手紙】が誰にも無事に届かなかったバージョンなんだ。これから無事に相手に届いたバージョンも作るから、それも覚えてよ」
そして俺にもっと記憶しろとさらっと要求してくれた。記憶担当の俺が吐きそうになっていた。
「さて、どうしたものか」
「失敗はできないな」
米崎は俺が座っていたテーブルの席の前に腰を下ろした。ヒノエが米崎の好きな超甘めのコーヒーを作るためせっせと動いていた。コーヒーよりも砂糖とミルクの量の方が多いのでは、そう思えるようなコーヒーが米崎の前に置かれた。
「君はどう考えている?」
「ああ……」
米崎はこの話だけは万が一にも外に漏れないようにと思っているようで、【機密保持】を使い対面で話すことを選んだようだ。そして相変わらず基本的には俺に決めることを望んだ。
「俺が一番いいのは差し出し先はセラスだと思ってる」
この作戦で一番の敵はきっと帝王ロガンだ。しかしこの作戦で最も怖いのは帝王ロガンではない。セラスにこの侵攻作戦が漏れて、先手を打たれて動かれることだ。
「僕もその意見に賛成だ。【災禍の手紙】でロガンにダメージを与えられても、外側にいるやつらには関係がない。そしてその外側に一番厄介なのは残ったまま。これは良くない」
「【災禍の手紙】の内容をどうするかだが、一番いいのは【セラスは六条祐太の侵攻作戦に気づかない】という内容だと思う。ただ向こうは手紙を読むことはできるから、読んだ時点で気づかないことに気づいてしまうっていう矛盾が生まれるんだよ」
「確か使用する際の効力の強さは、ルビー級によって実現可能な範囲だったね」
「そうだ」
「その手紙の内容の場合、おそらくルビー級が相手なら、手紙が送られてきた内容を送られた側は忘れてしまうのだと思う。そして手紙は相手に送った時点で強制的に読まされるんだと思う。そうでないと実現できないことがあまりにも多すぎるし、ルビー級アイテムとしては不便すぎるからね」
「その問題が大丈夫だとしても、セラスに効果を発揮するかどうかか……」
セラスはレベル1500以上だという。【災禍の手紙】がどれほど強力でも、ルビー級のパワーでは力不足に感じてしまう。
「やっぱりセラスは手紙の送り先として向いてないな」
「そう考えた方が良さそうだね」
俺はさらに考え込む。レダはセラスの実力がこの世界で圧倒的であればあるほど、自分から敵対者に対して積極的に動くことはないと言っていた。ということはセラスよりも問題はその取り巻き……。
「セラスの周りには、今までの情報を聞く限り、ローレライか死神か伊万里がそばにいる可能性は高いんだよな。それなら手紙の送り先は直感的になるけどローレライが一番いい気がする」
ちらっと米崎の反応が気になって見た。
「僕も同じ意見だ」
相変わらずのポーカーフェイスで、何を考えているのか読めない。感情の揺れも一切感じられなかった。
「この世界で死神も伊万里君も生まれた存在じゃない。セラスにそこまで信用されてるかと言われると疑問符が浮かぶ。そう考えるとセラスが一番信用しているのはローレライ。これは間違いない気がするね」
「じゃあローレライにするか……」
俺は本当にそれでいいのかと考える。おそらく【災禍の手紙】の効力が100%発揮されることが、この作戦における成功への最低ラインだと思えた。