軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百四十四話 シルバーエリア会議

大八洲国にはレベル100以下のクエストもちゃんとあるそうで、帰化したために上に登る階段というのがあり、そこから四層にもいけるそうだ。その辺の説明は大八洲国出身の摩莉佳さんと土岐に任せることにした。

美鈴の家族と千草小母さんを本拠地に送り届け、まず今後の方針を全員で話すことになった。落ち込んでいたはずの猫寝様もすでにいるようだ。迦具夜を見て驚くが、しばらく【意思疎通】で会話すると俺に連絡してきた。

《六条、迦具夜に話を聞いたよ。私は受け入れるから気にしなくていい》

そう言ってくれた。

《いいんですね?》

俺ならもっと禍根を残すし納得しない。【明日の手紙】がなければパーティーメンバーを全員死なせていた。そのことを考えると未だにもやもやする。ましてや久兵衛は美鈴達のようにもう二度と戻ってこない。

そう考えると猫寝様が許せること自体が驚きだ。

《うん。あなた達の国がずいぶんと違うってこと、ジャックに教えてもらったから知ってる。だから理解できないと思うけど、大八洲国はね。弱いやつが悪いの。強いやつにいいようにされたくなかったら自分が強くなれ。それが正義の論理。弱いままでいるなら文句を言うな。ずっとそう教えられてきた。だから自分が弱かったことを私も迦具夜のせいにはしない。久兵衛が死んだのは私が悪いの》

《すみません》

それでも複雑だろうと思って謝った。俺には迦具夜と手を組まない選択肢は残されてない。手を組まなければあの場で間違いなく死神に殺されていたし、それ以前にメトに殺されていた。そして現在進行形で協力しないと半年で死ぬ。

《本当にいいの。でも、六条。私は話していた通りエヴィーに協力するけどいいね?》

《そうしてください。元からその約束ですし、俺もその方が安心できます》

《うん。分かった》

猫寝様が納得してくれただけで十分だ。黒桜共々、エヴィーに協力するなら美鈴たちも一緒だ。死なないように見守ってあげてほしかった。そんなやり取りを経て、切江とシャルティーが準備した作戦会議場に全員が集まった。

六条邸の奥にある大座敷に円卓の会議テーブルが設置され、白いテーブルクロスがかけら、円卓にはフルメンバー14人が座った。

俺、そして右隣に迦具夜、左隣に美鈴、伊万里、エヴィー、玲香、榊、ジャック、土岐、摩莉佳さん、マークさん、猫寝様、黒桜、米崎。円卓なので米崎と迦具夜が隣同士だ。シャルティー、切江は俺の後ろに控えていた。

「ではシルバーエリア会議を始めさせてもらいます。まず、今回の議題からですが、シルバーエリアの支配についてが議題となります。とはいえシルバーエリアについて知っているものはまだほとんどおりません。ですから、まずそのシルバーエリアについて土岐様、摩莉佳様よろしくお願いいたします」

俺の後ろでシャルティーが口にした。美鈴だけの時は、喫茶店でデート気分でやっていたことが今は会議場でやるようになった。なんだか自分の周りがどんどんとスケールアップしてきて、他人事のように思える。

そんな戸惑いは無視して、中央の立体映像にシルバーとゴールドを兼ねたエリアの景色が現れた。これは先乗りして摩莉佳さんと土岐が調べてくれたそうだ。その見た感じで言えばどこか中世ヨーロッパを思わせるものだ。

それでいてファンタジーだ。空に浮かぶ巨大都市。燃え盛る山。地球では見たこともない巨大なドラゴン。新しいエリアは俺がよく知っている異世界ものだ。その世界で登場してくるような風景や生物が存在していた。

「じゃあ説明させてもらうね」

土岐が立ち上がって、話し始めた。

「まず科学的にはこの世界はほとんど発達してないね。その代わりとして魔法やスキルが発達して、生活の全てに魔法やスキルが活かされているようだ。ここの人たちは、自分たちがダンジョンの中にいるということを自覚しておらず、ルルティエラ様という存在も知らないらしい。僕がそのことを口にしようとしたらできなかった。どうやら現地の人間にそれを知らせるのは禁止事項みたいだね」

中央の立体映像には土岐が見たシルバーエリアの映像が流れ、魔法やスキルを日常生活の中で使っている人たちの姿がうつされていた。空にガレオン船が浮かんでいる。街中には頭に角がある馬が馬車を引き、夢はあるが便利は悪そうに見えた。

さらに摩莉佳さんが続けた。

「そして、この世界にはレベル500を超えるものが8人いるそうだ。モンスターも入れると20ほどルビー級が存在すると言われている」

「やっぱり多いな」

やたらとルルティエラという存在に無理難題をふっかけられることが多い。今回もその例には漏れないだろうと思っていたが、やはりその通りのようだ。

「まあそうだな。六条パーティーとして入ったから、この世界は最高難易度だと思う。レベルが上位とされている順に人間のみ言うぞ。まず絶対神セラス。レベルは不明だが大八洲国では神の二つ名はレベル900以上でないとつかない。そのことから考えてレベル900以上であると思われる。この世界の絶対的支配者にして神と呼ばれているらしい」

「もう絶対強そうだな」

「間違いなく強い。これほどの世界になると完全支配を諦めることもしばしばあるそうだ。その次が皇帝ホロス、帝王ロガン、魔導王桜魔と続く、それぞれにこの世界の主要三国の王だ。皇帝ホロスが統べるホメイラという国が最強格で、全てがホメイラ族と呼ばれるものだけで構成されてるらしい」

その姿は人間そのままだった。だが身長が高い。普通の人間と並んで歩くと、普通の人間が小人に見える。どうやら国民全員が3mを超えるらしい。皇帝ホロスは5mを超える巨人という話だ。

「個人としては魂喰らい冥羅、剣神ベリエル、灰燼ラフォーネ、天からの使徒ローレライ。これらが強者であり、これら全てを殺すもしくは服従させることができれば、世界の全てを統べることができる」

「12体居るルビー級モンスターはどうなるんだ?」

「それらは別に必ずしも殺す必要はないらしい。モンスターだから別に国を支配しているわけではないしな。もちろん襲いかかってきたら、討伐せねばいけないけどな」

「まだルビー級は誰も倒されてないのか?」

俺が聞いた。名前を聞いただけではイマイチピンとこなくて、どれぐらい強いのかもよく分からなかった。そしてこの世界には俺たち以外の探索者もいるはずだった。その探索者が俺たちよりも早くから動き出しているなら、もう一人ぐらい殺されていてもおかしくなかった。

「殺されたものなんているわけないよ。僕たちと共に100人、地球のあらゆる国のダンジョンから集まって来るんだけどね。ほとんど時期は一緒だと言われていて、一番早く来た人でも3ヶ月も経ってないらしい。そんなぐらいじゃルビー級を超えた存在なんて、倒す段階にもいないんだ。というか、まだ誰もゴールドにすら到達してないから、それどころじゃないだろうね」

土岐が説明してくれた。

「そっか。それだけは意外と公平なんだな。いいぞ続けてくれ」

「じゃあ次にまずこの世界のシステムだけどね。君たちに分かりやすく言うと日本の25倍、アメリカって国と同程度の規模が我々探索者100人に分割して最初は与えられてるんだ。与えられてると言っても現地の土地だから、支配は自分でしなきゃいけないんだけどね」

「それもできない探索者はどうなるんだ?」

ジャックが聞いた。

「できなきゃ支配できる土地はなしだ。その土地の貴族を屈服させることができなければ、そもそもシルバーエリアでは何もできない。できなくて商売を始めたり貴族に仕えて騎士になって、本当にその国の住人になって暮らすなんて探索者もいるらしい。これが意外と多いのが笑えない」

「まあでも貴族が支配している土地を奪うなんて、地球で普通に生活してきた人たちには難しいよな」

「貴族と言っても大八洲国のような貴族じゃない。えっと公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵だっけ?」

土岐は摩莉佳さんに確認していた。頷くと土岐が続けた。

「大八洲国には無い区分だけど、それらがそれぞれに収めてる領地だね。貴族は必ずしも強くなくていいんだって。これが驚きだよね。自分より弱い血筋だけの貴族に従う戦士もいるそうだよ。というかこれがほとんどだ」

「公爵と男爵で支配できている領地の広さが違うよな?」

土岐にはなじみがなくても俺にはなじみがある。公爵と男爵ではかなり地位も実力も異なるはずだった。

「もちろん違うよ」

「でも探索者は貴族の領地の広さに関わらず、その世界に降ろされるんだよな?」

「そこは違う。最初に降ろされる土地はその探索者の強さに比例する。僕と摩莉佳は2人とも侯爵領だった。六条君ならまず間違いなく国王領になるだろう」

「それはまた……強ければ強いほど最初から難易度が高いってことになるのか?」

さらに俺が口にした。

「そういうことだね。そしてシルバーエリアはまずこの日本の25倍ほどの広さがある土地。この全てがシルバーエリアということになる。そしてこのシルバーエリアの全てを手に入れる。その達成率が高い探索者ほど多くの力を手に入れることができる。もちろん1人の支配域が増えるほどにレベルも上がる」

「シルバーエリアはつまり日本の25倍ほどの広さがある土地の支配から始めるわけか?」

「そういうこと。最初からいる支配者と探索者としてやってきたものたち。それらを全て服従もしくは倒すことができれば、ひとまずこの日本の25倍って呼びにくいね。君主制国家、真の支配者のいない国、【レッド】の王だ」

「君主制国家ってことは国王に絶対的な王権があるってことか?」

「そうだね。まあとはいえシルバーエリアには超越者と呼ばれるかなりレベルの高い人間もいて、国王は常にその相手には気を使ってるみたいだ」

「超越者か……レベルは?」

「500を超えてるとか超えてないとか」

「関わりたくないな……」

「土岐君。我々は六条君がトップと決まっているから、14人で乗り込んでも仲間内で国の土地を奪い合いするわけにはいかないよね。その場合どうなるんだい?」

米崎が質問した。

「パーティー内の人間が全て納得している場合、そのパーティーのリーダーが王になるよ。国の名前はその王が好きにつけていいんだって」

「エネルギー配分はどうなるのかな? 14人もいたらかなり分割されちゃうと思うけど違うのかい?」

さらに米崎が摩莉佳さんと土岐に質問していた。エネルギー、米崎らしい言い方だなと思った。

「大陸から得られる全てのエネルギーを仲間であるもの同士で分け合う形になるよ」

「それはレベルアップ時のステータスに影響でないの?」

「でるよ。だから、パーティーの人数が多いほど、有利だけど得られるものは少ないってことになる」

その言葉に俺も気になって口を開いた。

「じゃあ同じパーティーでも違う世界のシルバーエリアに行ってもらうことはできるのか?」

「可能だって聞いたよ。同じパーティー同士で殺し合いをしたくない場合、そしてシルバーエリアのエネルギーをできるだけ独占したいという場合、大八洲国の探索局で申請のやり直しができるそうだ。僕も初めて知ったシステムだけどね」

「意外と融通が効くんだな」

申請のやり直しをするのが大八洲国なんだな。つまり大八洲国は管理側。ブロンズエリアというのはダンジョンの管理側の国という側面もあるのか?

「その説明は一旦分かった。じゃあゴールドエリアとシルバーエリアは一緒にあるということだったけど?」

俺が聞くと摩莉佳さんが答えてくれた。

「その言葉の通り同じ世界にある。まず君主制国家レッドを治める。そして次の段階が他国への侵略だ。そうしてようやく国の外に出ることになるわけだ。これがゴールドエリアだ。つまり、シルバーエリアが一つの国家、そして、その国家も所属する世界の全てがゴールドエリアとなるわけだ。より良いルビー級となるには、ここで全ての存在や国家を支配すること。それが条件になる」

「なるほど……服従と殺す。どちらがメリットがあるんだ?」

まさか全員必ず殺さなきゃいけないなんてシステムじゃないだろうなと思って聞いた。それなのにみんなドキッとした顔になる。

「いや、うん、ちょっと言い方が過激だった。ごめん」

「それぐらいの気合はいるがな。シルバー以上は、暴力だけではダメだ。殺した場合は、自分が使いやすい人間を配置することもできるが、正直支配者がいなくなると土地が荒れる。そうすれば手駒の少ない探索者は困るだけだ。我々以外にもその土地には住んでいるものがおり、その者たちが生きていくための糧もいる。いくらでも殺せばいいが、やりすぎれば国が貧困化し、得られるものも少なくなる」

「暴力だけじゃなく、国家運営もしなきゃいけないってことか」

「ゴールドエリアになって絶対神セラスまで屈服させれば世界運営だね」

なるほど時間がかかるというわけだ。しかし自分よりも強いルビー級。それを1体だけなら殺すことも不可能ではないかもしれない。しかし20もいるとなるとそんなことが可能とは思えなかった。

実際99人の探索者を全て斬り捨てたという近藤局長も、ルビー級については詳しいことを言ってなかった。殺す以外にも何かあるのか? まあそれ以前にシルバーエリアだけでも奥が深そうだ。

これをわずか1、2年で終わらせたという英傑はやはり化け物揃いだと思わされた。

「自分より強いルビー級をどうにかすることができて、ようやくルビー級になれるわけか」

「そういうことだ」

「思った以上にえげつない難易度だ……」

「やれやれ、これは困ったね」

戦いが得意でない米崎は難しい顔になった。米崎がなかなかシルバーエリアに行けなかった理由が、もしかしたらこれなのかもしれない。戦いが苦手な米崎にはかなり不向きなエリアである。ただ必ずしも殺す必要はない。

その点で米崎にも活路はある。あるいは知略だけでも世界を支配できる可能性は十分にあり、むしろ知略がなければ、この世界はかなりきついと思えた。

「六条と違う世界を選んだとしても、六条パーティー所属は変えないままでいいんだな?」

ジャックが聞いた。

「構わない。どのパーティーに所属するかは自由だよ」

「OKだ。土岐いいな?」

ジャックは土岐の顔を見て確認した。

「君がいいなら僕はそれでいいよ」

土岐も文句はないというように頷いた。

「よし。じゃあ俺は土岐と二人で別のシルバーエリアに行くぜ。六条、お前とのパーティーは組んだままで頼む」

「それでいいのか?」

「ああ、いいぜ。元々お前と組んでなければ俺はシルバーに行き損ねてた。ブロンズ止まりだった俺をシルバーに引き上げてくれたのはお前だ。そしてお前には何かある。俺はその何かが面白そうだと思ってる。だからパーティーのままでいる方が俺たちの利益だ」

「僕もそう思う。君とのつながりを切る気はないよ。嫌でなければよろしく頼む」

「そうか……」

そんな期待のされ方をされるのは初めてのことだ。だがおそらくレベル1000を超えるには、こういう仲間が何人も必要なのだろう。俺を信頼してトップに据えてくれる仲間。それができないときっとレベル1000を超えないのだ。

「祐太。私は1人でやってみる」

そして伊万里が口にした。

「一人……」

俺は一瞬何を言われたのかわからず、伊万里を見た。そしてその目が真剣なのを見て、伊万里の言う言葉の意味が理解できてくる。

「まさかシルバーエリアに1人で行くってこと?」

「そうだよ」

「いや、そうだよじゃないよ。伊万里!」

これは俺が慌てた。

「止めたらダメだよ。元々いつかそうしなきゃいけないと思ってた。それで土岐さんと摩莉佳さんの話を聞いてたら心が決まったの。それには今が一番いいって」

それなのに伊万里は楽しそうに笑った。

「でも!」

伊万里は勇者として常に狙われている。最近はルルティエラ側から主だった動きがなかったようだが、危険は継続しているままである。この状況こそ勇者を殺すことに最も向いている状況とも言えた。

まだ美鈴たちと動くというのならば理解もできるが、1人でシルバーエリアに挑むなどもっての他だ。

「祐太、心配してくれるのわかるよ。でも、私はね。勇者って称号がある。これがある限りルルティエラからずっと追いかけ続けられる。その間ずっとみんなに守ってもらうのは嫌。それにそんなの無理だと思う。だから一人で頑張ってみたい。そしてここで簡単には負けない力を手に入れたい」

「でも、どう考えても状況的に最も殺しやすい状況になっちゃうんだよ。危なすぎる」

「それがずっと続くんだよ。白蓮様って人はもう1000年もルルティエラに狙われ続けてる。そしてそれでも抵抗し続けることができてる。それは白蓮様が強いからなんでしょ。じゃあ私も強くならなきゃいけない。それには誰かと力を分け合う余裕はないんだよ」

「……でも」

伊万里が死ぬかもしれない。それが怖かった。本当なら伊万里は榊もついてもらって美鈴達とパーティーを組んで、十分安全を確保してもらうつもりだった。1人だとそんなものもなくなってしまう。

「祐太。私はそれができなきゃいつまでも守られてばっかりだよ。祐太の横にちゃんと立ちたいの。だからお願い」

「……」

普段だったら意地でも止めたかもしれない。それでも自分もあと半年しか命がない。それを回避するためにはシルバーエリアを支配する以上の危険なことに首を突っ込まなきゃいけない。そしてそんな自分の傍に伊万里は置けない。

自分が守れない以上、伊万里自身が自分を守れるようにならない限り、ダンジョンから逃げることを勧めるぐらいしかやれることはない。伊万里はそんなこと望まないし、逃げたところで日本までが危険な今である。

強くならなければ生き延びられないのなら、伊万里の言う言葉が一番、今、伊万里を生き延びさせる方法かもしれない。

「本当にいいの?」

「うん。いいよ。絶対にルビー級になってみせる」

「じゃあさ、私も1人でやってみるわ」

伊万里の返事を聞いてすぐに口にしたのは榊だった。

「榊も一人でやるのか?」

だが榊ならできるかもしれないと思えた。不思議とこの女は意外なほど強いのだ。そしてしぶとい生命力がある。どんな環境の中でも最良を選べる。そんな生命力を感じた。

「六条。私ね。ブロンズでの色んなことが1ミリも納得いかないのよ。気づいたらブロンズが終わり。偉い神様が現れて『あなたは頑張りました』って言われてさ。正直、何を? って思う。だから私は一人でどこまで本当にできるのか試してみたいのよ」

「そっか。頑張れよ」

なぜか笑えた。確かに榊は『何を?』だっただろうなと思ったからだ。

「結構命がけで言ってるのに笑うな! というかあんた東堂と私で対応違いすぎでしょ! 私の心配もちゃんとしなさいよ!」

「ごめん。心配していると思う」

「本当に?」

どうも俺の言い方がお気に召さないようだ。

「ごめんちゃんと言うよ。頑張れ!」

「もういいわ。私ね、ダンジョンが好き。だからとことん味わい尽くしたいの。もちろん六条とはパーティーのままでね。嫌なんて今更言わないでよ」

榊が口にした。さらに続いて米崎が、

「なるほど……、僕もルビーを超えるならば自分の真価を試すしかないか。あまり自信はないけど僕も一人でやってみようかな」

「博士。あの私は……」

俺は当然一人だろうと思っているのだろう玲香が慌てた。米崎までそんなことを言い出すとは思ってなかった。しかし、どうやらルビー級として強くなるには、みんなで仲良くよろしくねでは無理だと判断したのだろう。

「玲香は自信がないのなら俺と一緒に来い」

そして俺は口にした。俺の場合、人と分け合う。その余裕がある。そのことは今回の神の争奪戦に参加することで、得られる利益もあると迦具夜から聞いていた。俺はそれでも十分強くなれるのだ。もちろん生き延びられればの話である。

「いいの?」

《本当にいいの?》

玲香が意思疎通を送ってきた。全員でしゃべる時でも内緒話ができる。意識を加速させると会話のタイムラグもほとんど発生しなかった。

《いいよ。半年は一人で頑張らなきゃいけないけど。まあシャルティーと切江はいるから3人でってことになるね》

《どうして半年いないの?》

《それは、これから説明する》

「一人でやるよりは弱くなるけど文句ないな?」

「それはもちろん」

玲香は心底ほっとしたようだった。誰もが挑戦的にはなれないのだ。そんな無茶を言えば、死人が出てしまう。ちょっとでも迷うものにはこっちに来てもらうつもりだった。

「美鈴」

エヴィーが次に口を開いた。

「伊万里がすごい覚悟を決めてるのは尊敬する。でも私はあなたと2人がいい。ダメ?」

伊万里の隣にいる美鈴の顔をエヴィーが見つめた。

「いいの? エヴィーは黒桜と猫寝様もいるでしょ」

「いいの。美鈴と離れ離れは、祐太と離れ離れより寂しいから」

「エヴィー……」

この二人、何気に俺より仲良くない? 2人の間に百合の花が見える。そのことに若干ショックを受けながらも話が続いていく。

「私はマークとだな。問題ないな?」

摩莉佳さんの方が先に口にした。どうやらマークさんと摩莉佳さんの二人はラブラブのようだ。

「もちろんだ。祐太、俺も条件はジャックと一緒だ。六条パーティーのままでいさせてくれよ」

マークさんがサングラスを外してウインクして、ああ、これでまた男が誰もいなくなる。一時的なこととはいえ寂しい気持ちになった。

「最後に俺だな」

そして俺が口を開いた。全員が俺の動向を気にして目を向けてきた。今回の件、どうするべきか悩んだ。俺の寿命に半年という制限がついた。それをみんなに言うべきかどうか悩んだのだ。それでも悩んだ末に結論を出した。