軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二百六話 駆け引き

《シャルティー。ものすごく待ち伏せされている気がするんだが、どう思う?》

夕焼けで光る工場は、自分たちの未来を象徴するように血が塗られたように赤く輝いてる。今まで閉鎖などしていた工場は1つとしてない。中の気配を探れば、誰一人五層の人間の存在すら感じられない。

《ほぼ100%そうだと思いますわ。むしろここまで気づかれなかったのが奇跡ですわ。よっぽど六条の情報を聞いて、気合の入らなかったやつらが多かったのでしょう》

《どうして工場の中の人間が誰もいないんだと思う?》

気配を消すなんてことを知らない五層の人間の気配がどこにもない。罠を仕掛けているから、人道的に五層の人間を避難させたのだろうか。しかし、そんなことをすれば罠を張っていると言ってしまってるようなものだ。

そう思ったが真相は違うみたいだ。シャルティーがそれを教えてくれた。

《六条にやられたことを知って、怒りに任せて衝動的にかなりの人数を“殺しちゃった”んだと思いますわ。焦って中に人を補充したかったけど》

《俺たちがそんなことをする前に来てしまった?》

《ふふ、そういうことですわ。それならいっそ全員綺麗に殺しておこうとなったのでしょう。だから誰もいない。五郎左衆には紫乃みたいなタイプが結構いますもの》

15歳の少年に率いられた探索者パーティー。時間をかけてレベルアップをしていく大八洲国の探索者たちにとっては、かなりの若輩者に思えただろう。俺が今までしてきたことを聞いたとしても、ただ単に状況的に恵まれていた。

そう笑い飛ばしてしまった。だから対応が雑になる。摩莉佳さんが思わず笑ってしまいそうになりながら、言葉を送ってきた。

《五郎左衆の奴等、怒りすぎて気配すら隠しきれてないぞ》

工場の中からどうしても隠しきれない殺気が漂っている。消そうとしても消せないのだ。きっと五郎左衆は武官が相手ならこれだけの被害が出た時点で、逃走してしていた。それなのに俺なんかに負けるはずがないからと待ち伏せている。

順調に奇襲を成功させている俺たちが、油断して入ってくるとでも思ったか。

《祐太。今度は俺が一番手をやるぜ。大丈夫だ。少々傷ついても俺は平気だから任せてくれ》

いよいよ自分の出番だとマークさんが前に出てくる。その体が大鬼のものへと変化していき、

《ストップ》

俺は止めた。

《なんだよ。作戦会議か?》

ここまでずっと息を潜めてきたマークさんは、暴れたくて仕方がないようだった。

《いえ、“目標は達成できた”ので、宿に帰りましょう》

今、目の前の状況を見て、五郎左衆がかなりの人数を集めていると感じ、俺は目論見通りだと思った。これでいい。すでに目標が達成されている。罠と分かっているような場所に突撃して戦う理由はゼロだった。

自分たちの怒りを発散させる場所を求めている五郎左衆にスカを食らわす。ただでさえ怒り狂っているのが、もっと腹が立ってくれることだろう。

《何を言ってるんだ? 五層でできる限りの五郎左衆を間引くんじゃなかったのかよ》

《理由は走りながら説明します。とにかくできるだけ早く宿に帰りましょう。いいよな?》

ジャックの顔を見た。そしてジャックも俺と工場を見比べて、何か納得がいったように頷いた。

《ちっ、そういうことか。“確かにその通りだ”。言われてみれば納得する。“ここまで”お前は考えてたのかよ?》

《まあ五郎左衆の頭の中身が“俺たちを殺したい”でいっぱいになってほしいな。とは思ってたよ》

《お前って案外根性悪いんだな》

《そ、そんなことないし》

《ふふ、マークそうしよう。ここは祐太が正しい》

摩莉佳さんが他の人間にかけるのとはずいぶんと違う言葉で、マークさんの背中を押した。

《ええ、いや、どういうことだよ。ちゃんと教えろよ》

《そうにゃ。追い詰められたら黒桜が、全員殺してあげるにゃ。大丈夫。誰も逃がさないにゃん》

マークさんと猫寝様はまっすぐな人なので、この場で俺が逃げるということが、どれほど五郎左衆にとっての最悪なことなのか理解できないようだ。ともかく俺たちはできるだけバレないように静かにその場を離れる。

猫寝様とマークさんは渋々それに従ってくれた。ちゃんと説明してから動く方がいいが、こちらが来ないと分かれば五郎左衆は追いかけてくる。その前に逃走しなければいけない。

《てっきり、あなたはもう少し欲張るのかと思いましたわ》

シャルティーが口にした。

《10箇所目の工場を見た時に、ここに入ったら多分勝てたとしても、このメンバーの半分は死ぬかもしれないと思った。それは避けたいだろ。じゃあ戦わないでおくかと考えた時に、目標を達成できてるかよく考えた》

知能が上がっているおかげで、結論に至るまでは時間がかからなかった。そしてここで逃げることこそ最終的な今回の作戦の目標だったと思う。

《じゃあ目標は本当に達成できたんだな?》

マークさんが聞いてきた。

《ええ、個人的には完璧だと思っています》

《ですが六条。奴らの怒りが怖くないのですか?》

《正直そんなに怖くない。五郎左衆は今頃あの工場でどうやって俺たちを殺すか。どれほど苦しめて殺すかを相談し合ってるだろう。それこそあらゆる苦しみを与えてやろうと考えている》

そして人は腹を立てるほど行動が単純化しやすい。分かりやすいところで言えば家族を人質に取るなどの行為である。だがそれについても対策はもう終わっていた。そんなものはとうの昔に避難させてしまった。

それでも狙いに行ってるとしたら余計に腹を立てることになるだけだ。結局彼らは俺たちを侮る呪縛から逃れられないのだ。心こそが人の最大の呪縛。だから彼らはこれからきっとどれほど俺たちが放置しても、

《向こうから突っかかってくるってことか……》

マークが口にした。俺のしたいことが理解できたみたいで、【意思疎通】の感情の中に呆れが混じっていた。

《そういうことです。何も罠があるなんて場所に自分からのこのこと行かなくても、むしろこっちが罠を仕掛けて嵌める。それが理想です》

《しかし、祐太。それについては忘れないでもらいたいことがある》

摩莉佳さんが暗い顔をする。

《私はこのクエストで命が尽きたとしても構わないと本気で思っている。本当に危ないことをしなければいけない時は私に言えばいい。本人が死んでもいいと言ってるんだから、私なら死んでもいいだろう》

《それは俺が嫌だったんですよ。久兵衛が裏切ってて、摩莉佳さんとマークさんが死んだかもしれないと思った時、体中から力が抜けるのを感じた。自分は何をさせてしまったんだと思った》

安易に命の危険がある潜入捜査など頼んでしまった。その自分のアホさ加減である。幸い二人は死ななかった。ならば今回の失敗はまだ許されると思った。だからそこからは『命を大事に』に切り替えた。

《しかし私は死んでもいいのだ》

《自分が死んだら悲しむ人間がいる。いくら摩莉佳さんの家族が死んでても、大事に思ってくれるやつらは俺を含めてたくさんいる。摩莉佳さんもそこのところは理解して動くべきです》

《むむ……》

摩莉佳さんが黙ってしまった。このクエストを自分の死に場所と定めていたのかもしれない。しかしマークさんを見た。頭を撫でられていた。そうすると余計に考え込んでいた。

《しかし六条よ。お前って怖いぐらい冷静なやつだな》

ジャックが呟いた。人を殺した経験の多いジャックは、その辺の人間心理がよく分かってるようだ。圧倒的な力を持つ探索者という生物。その全能感は凄まじく。全てを蹂躙できる錯覚に囚われる。

そして何も考えずにただ力だけで人を蹂躙し、殺したくなってしまう。

《あのまま突き進もうとしてもジャックは止めてただろう?》

《まあな。無駄死にするのはごめんだ。殺しは100パーセント勝てる状況になってからやる。自分が殺される殺しなんてアホらしすぎる》

探索者は知能が高いから、バカな行動はしないというのは間違っている。そのことも最近分かってきた。特に武官を見てそう思った。戦闘能力が化け物でも中身は人間なのだ。脳の処理速度が上がった程度では、愚かさは消えない。

ただ一つ懸念があるとするなら、

《見えてきた》

無重力フィールドが見えてきた。夕焼けが沈み太陽の光が消える。五層の出入り口である荒野。五郎左衆が冷静にここに一番人員を多く割くのが、本当のところ俺は一番嫌だった。ただ、それも無理だろうと思えた。

こんなに人の自由を許している組織が、怒りに任せて工場に人を集めてしまったのに、ここに大量の人員を配置できるものか。それでも俺が【自然化】を唱えて、摩莉佳さんと土岐も唱える。

さらに摩莉佳さんと土岐が念のために誰かいないかを確かめる。そうすると岩陰で完全に気が抜けた探索者が欠伸をしていた。俺たちの潜入時の朝から見張りをしていたのと同じ奴だ。

見張り役のそいつは、俺でもどこにいるか分かった。もういい加減退屈で仕方がない。もういいんじゃないかと思い始めてる。

《五郎左衆で間違いないよな?》

シャルティーに聞く。

《ここで必ず1人は見張りをしていますわ。本当は2人いるものなのですけど、どんどん仲間が殺されていくことに気づいて、おバカさんだから、絶対に六条を殺そうと思って行っちゃったのかもしれません》

《“お祭り”に参加したかったわけだ》

ちょうどあくびしているところを俺が後ろから確実に殺した。焔将で首を落とす。武官という圧倒的戦力が敵なら、一致団結できたんだろうに、俺が相手だとここまでバカになるか。ボーナスタイムはまだ終わってないな。

いやいや、油断するな。米崎と十分相談しながら動くんだ。そうして俺たちは再び五層の荒野の果てに設置された黒いフィールドから三層へと戻る。この黒いフィールドは自分たちが入ってきた場所にしか出られないそうだ。

三層にある荒野に出た。三層の荒野も夜だ。月が空に輝いている。その月のある方角へと走り出した。一応周囲の警戒を続けているが、誰かが襲いかかってくる気配はなかった。

「とりあえずはもう大丈夫そうだ。黒桜も普通サイズに戻っていいよ」

俺たちはようやく走るのをやめて歩き出した。

桃源郷の温泉街へと戻ってきたのだ。

「お疲れ様」

すぐに玲香が俺の横に来て腕を組んできた。

「玲香もお疲れ様」

「私も頑張りましたわ」

シャルティーが反対の腕を組んできた。

正直今回はかなり色々ため込んだ。シャルティーの体に癒され、玲香に甘えたい。二人と喋りながらもお尻を触ったり色々してしまう。こういうところがダメなんだろうなと思いながら、米崎に【意思疎通】を入れた。

《ただいま。留守番ありがとう。そっちは特に変わったことはなかった?》

《全く問題が無さすぎてつまらなかった。だが君にとっては、とても良い知らせと悪い知らせがあるよ。まあどちらも内容は一緒なのだけど聞くかい?》

俺は米崎の言葉に、なんの知らせなのか理解した。そして米崎が言わんとしたことを考えながら、玲香とシャルティーのお尻を揉むという悪徳に耽ってしまった。

《急にお腹が痛くなってきた。帰りたくない》

悪い知らせのわけがない。ただ自分がやらかしたから“彼女”たちと合わせる顔がないだけだ。贅沢なことばかりを考えていたから罰が当たったのか。分かってる。分かってるんだよ。これはいずれ起こることなのだ。

俺だって逃げられないって分かってる。

《別に帰らなくてもいいけどね。こういうことは先延ばしにしない方がいいと思うな》

《そうだよね》

《まあ検討を祈る。君がパーティークラッシャーと言われないようにね》

《……》

心臓が倍ぐらいの速度で動き出す。帰りたくない気持ちと早く帰りたい気持ちと同じぐらいある。そうだ。そうなのだ。

《玲香。シャルティー》

《何?》《はいですわ》

《美鈴たちが帰ってきた》

《……》《ああ、そうですの。確か“初期のパーティーメンバー”ですわよね》

一番複雑な感情が伝わってきたのは玲香だった。元々玲香は美鈴のことがあまり好きではない。表面上は可愛がってきたが、今まで一度として可愛いと思ったことがなかった。玲香は美鈴という妹に対して一番複雑な感情を持っている。

《玲香は隠していいんだな?》

《ええ、そうしてちょうだい。博士もあなたが関わると口が硬いしね。私だけだと面倒くさがって本当のことしか言わないでしょうけど、今回は美鈴に黙っててくれるでしょう》

《そうか……。シャルティーは?》

《何か隠す必要がありますの?》

こちらは不思議そうに聞いてくる。何よりも性的な魅力を過剰なまでに詰め込んシャルティーは、常に誰かしら男がいる女だった。全員が自由を通り越して殺人集団の仲間だったシャルティー。

複数の女性に手を出してしまい慌てる男の心理など理解できるわけがない。宿に到着するとジャックがさっさと中へと入っていく。土岐がジャックと共に中に入っていく。羨ましい。ご一緒してはだめだろうか。だめだよな。

そしてマークさんはあっさりと俺を見捨てた。きっとこの中で俺の心境を理解できるのはマークさんだけなのに、摩莉佳さんを誘ったらOKしてくれたので、鼻の下を伸ばして、さっさと中に入ってしまった。

どうやら誰も助けてくれないらしい。でも15歳のガキにこの状況はハードすぎた。

《クミカ。どうしたらいいと思う?》

絶対裏切らない彼女に聞いた。

《申し訳ありません。その手のことは私も苦手です……》

相談した俺がバカだった。クミカを構成している2人とも俺以上に人間関係が苦手である。

「入るか……」

最初の一歩が異常に重く感じながら、両脇の二人を見る。

「あの離れてもらうのは無理だろうか?」

「そんなにばれるとまずいのですか? ダンジョンが現れる前の常識であれば、私も怒ったかもしれませんが、今の常識で言えば別にこのままで構わないと思いますわ」

「でも美鈴たちが嫌がるから」

「嫌がる女とは別れればいいではないですか。ご安心なさい。美鈴という女たちがいなくなっても私と玲香がいますわ。それにクミカもあなたを絶対に裏切らないのでしょう?」

「いやそういう問題では」

「そういう問題ですわ。面倒なことを言ってくる女なんて整理してしまって、新しく見つけなさいませ。私は複数でも全然構わないのですわ。100人ぐらいのハーレムを作って楽しくいたしましょう」

「……」

なるほど考え方がぶっ飛びすぎて理解できない。この女と美鈴たちを合わせれば、凄まじい化学反応が起きそうだ。

《祐太様》

俺があまりに困っている様子にクミカが【意思疎通】を送ってきた。

《何かいい案がある?》

藁にもすがる思いだった。

《シャルティーの言葉を聞き、私も考えたのですが、確かに堂々とされてもいいのではないでしょうか?》

《それは……そうなのか?》

自分でもわからなくなって尋ねていた。

《はい。祐太様は誰一人として積極的に口説こうとしたわけではありません。私自身、祐太様のお慈悲がなければ、未だに研究所から出ることすらできなかったでしょうし、死ぬことを選んだかもしれません。玲香の件は、祐太様が断ろうとしていたのを私がどうしてもと興奮してしまったせいです》

《そりゃそうだけど、だからって美鈴たちが納得するか?》

《しないでしょうか? シャルティーに至っては、あの場で堕とさなければ、おそらく祐太様は情報源を失っていました。いえ、それどころか、攫われていた可能性が高い。それに彼女を堕とした結果、【異界渡り】の情報を詳しく持っていました。

あれは五層の発明品だから、武官ですら詳しい仕様を理解していませんでした。それを知れたことで、こちらはかなり向こうの手の内が分かりました。つまり、全ての行動は五郎左衆のクエストを達成するために必要不可欠だったのです》

《確かに……》

全ての行動には十分な理由がある。3人とも別に俺が欲望のまま口説いた訳じゃない。仕方がなかったのだ。これは大丈夫なんじゃない? 俺ってひょっとして悪いことを何もしていないんじゃない? いや、していないと断言できる。

《そうです。祐太様は何一つ恥じることはありません。祐太様はそれらを美鈴様たちに丁寧に説明されてはどうでしょう?》

《理解してもらえるかな……》

何しろ美鈴達がいない間に3人も女を作ってしまった。しかもかなりエンジョイしてしまった。

《理解してもらえなければ、それこそシャルティーの言う通りだと思います。何よりも、正直に何も言ってもらえずに隠し事をされるのは、私も嫌です》

クミカがアンナのことを思い出しているのが分かった。そしてミカエラの魂にも寄生虫3人のひどい裏切りの経験がある。だからどれほど相手にとって辛いことになるとしても、ちゃんと本当のことを言ってほしかった。

その記憶が流れ込んできて、俺も自分のしようとした行動が、その者たちと同レベルだと気づいた。

《う、うん。そうだな。黙ってることこそ裏切りだ。たとえどうなっても言わなきゃいけないことはあるよな……》

《差し出がましいことを言ってしまい、申し訳ありません》

《いや、どの道そうするしかなかったことだ。それを隠しても仕方がないんだ》

クミカは常に俺の心を見ている。だから俺以上に俺のことが理解できるようだった。頭の整理がついてきて俺は口を開いた。

「玲香。悪いが俺はちゃんとこの関係のことを3人に話そうと思う」

「え? 美鈴に言うってこと?」

俺の言葉に驚いて玲香が目を見開いた。

「ああ、言う」

「……それは困るわ」

「嘘はいずればれる。最悪の形でばれるぐらいなら、ちゃんと今言うべきだと思うんだ。実際、玲香はそういうもののツケを色々と払わされてるじゃないか」

正直に生きてこないと、ある瞬間、急に全てのツケを払うようなことが起きてくる。それまではずっと嘘をつき続けて楽しく生きられた。それなのに溜まりにたまった嘘はどんな賢い人間でも予想がつかない形で破綻を起こす。

「……君は私との関係の継続は望んでないの?」

ここで望んでないと言えば、玲香はどうするだろう。こう見えて玲香は精神的にかなり脆い部分を抱えている。米崎にはアプローチしても完全に無視されたし、そもそもダンジョンで失敗している。

宿った魂との関係もクミカやマークさんたちほど良好ではない。

「いや、そばにいてほしいと思ってる」

「なら! 黙ってればいいじゃない!」

「結果どうなるのかは正直自分でも分からない。でもそれはしないと決めた」

玲香を抱きしめる。

「……そう……ダンジョンが現れてから本当に私の思い通りにならないことことばかりね」

玲香がしばらく黙ってから口を開いた。

「本当は軽い気持ちだったのにな……。美鈴は多分あなたを許せないと思うわよ。もちろん一番は私に怒ってくるでしょうけど……先に言っておくわ。私は——」

「祐太! おかえり!」

そしてジャックたちが次々と中に入っていったことで、美鈴は俺が帰ってきたことに気づいたんだろう。玄関エントランスからこちらに向かって手を振って笑顔で走ってくる姿があった。