作品タイトル不明
6-13
「はぁ……。私ってこんなに心が狭かったのね……」
昼休み、私は屋上でぼんやり景色を眺めながらため息を吐いた。
せっかくレナード様の婚約が決まりそうだというのに、素直にお祝いも出来ないなんて。レナード様にはいつもよくしてもらっているというのに、私はなんて嫌な女なのだろう。
そう思っても、この前見かけた二人の仲睦まじそうな姿や、エリアナ様のことを楽しそうに話すレナード様に対して、もやもやする気持ちが消えなかった。
私はもしかして、レナード様が別の人と仲良くしていることに嫉妬しているのだろうか。
ラネル魔術院ではレナード様と一緒にいる時間が一番長かったし、学園長先生から頼まれた魔獣退治も一緒に行っていたので、私はレナード様を一番近い存在に感じていた。なんというか、おこがましいけれど相棒みたいな存在に思っていたのだ。
そこに婚約者という唯一無二の存在が現れて、複雑な気持ちになっているのだと思う。
カレン様のときにこんな気分にならなかったのは、きっとレナード様がカレン様にそれほど興味を持っていないように見えたからだ。
自分の中にある嫌な感情に気づいて憂鬱な気持ちになる。
「早く気持ちを切り替えないとな……」
早くこんな嫌な感情は捨て去って、素直な気持ちでレナード様におめでとうと言いたい。
私は膨らんでいくもやもやした感情を無理やり心の奥に閉じ込めた。
数日後の休日、私は一人で魔法演習場まで来ていた。以前、大量のフォスティが発生して一般客が入れなくなっているということで、レナード様と退治しにきた場所だ。
今日は一日思いきり魔法の練習をして、こんなもやもやした気持ちを吹き飛ばそうと思ってやって来たのだ。
せっかくだから思いきり練習してやるぞと気合を込めて辺りを眺める。
フォスティがいなくなり、すっかり平和になった演習場は、大勢の人で賑わっていた。家族連れにカップル、友人同士のグループなど、たくさんの人が思い思いに演習場を楽しんでいる。
賑やかな光景を見て少し明るい気持ちになった私は、攻撃魔法の練習に適した岩場のスペースまで歩いていった。
「よし、ここでいいかな」
岩場までくると、私は鞄を置いて杖を取り出した。
岩場にはほとんど人気がなく、ここなら自由に魔法を使っても問題なさそうだった。私はわくわくしなが杖を目の前にある大きな岩に向ける。
その時、軽やかな足音と共に、楽しそうな話し声が聞こえてきた。
振り返って後ろを見た私は、思わず目を見開いた。
そこには、ローブ姿のレナード様と、乗馬服のような恰好をしたエリアナ様がいたのだ。