作品タイトル不明
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準備を終えると、馬車に乗りこんで、パーティーが行われる会場まで向かう。
建物の前に着くと、早速レナード様の姿を見つけた。
「あ、メイベルさん」
「レナード様! お待たせしました」
私は駆け足でレナード様に近づいていく。
「僕もさっき着いたところだよ。……メイベルさん、やっぱりドレス姿だと印象が違うね」
レナード様は私の着ているドレスを眺めながら言う。
今日は、カレン様におすすめされたロナ・ミラーの旧作ドレスを身に着けている。白い生地に薄い銀色の花の刺繍の入ったひざ丈のドレスだ。
カレン様によると、ロナ・ミラーのドレスでさえあれば、新しいものでなくても失礼にはあたらないそうだ。
「ロナ・ミラーのドレスなんです。こちらのブランドのドレス、初めて着ました」
「ああ、今日の展示会に合わせたんだね。すごく似合ってるよ」
レナード様は笑顔でそう褒めてくれた。
「ありがとうございます。カレン様に勧めていただいたんです! 展示会にはそのブランドのドレスを身に着けていくなんてマナーがあるんですね。全く知らなかったので、危うくマナー違反をしてしまうところでした」
「え? マナー?」
レナード様は目をぱちくりさせる。私はその反応を不思議に思って尋ねた。
「はい、そう聞いたのですが……。あれ、そういうマナーがあるのではないのですか?」
「その場に合った服装でさえあれば、必ずしも展示会でそこのブランドの服を着なければならないわけではないはずなんだけど……。まぁ、カレン様はそういう気遣いをするタイプなのかもしれないね」
レナード様はちょっと腑に落ちない顔をしながらそう言った。
私もちょっと疑問に思ったけれど、レナード様の言う通りカレン様の主催者に対する気遣いだろうと思い、深くは考えなかった。
それから私たちは、建物の中へ足を踏み入れた。
新作の展示会とは一体どんなことをするのだろう。未知の世界なので楽しみなのと同時にどきどきする。
どぎまぎしながら歩いていると、スタッフらしき黒いスーツ姿の男性が近づいてきて、会場の中へ案内してくれた。
会場はとても煌びやかな空間だった。真ん中にはトルソーに着せつけられたいくつものドレスが、まるで芸術品のように飾られている。
前方にはショーに使うような真っ白な舞台があった。
会場のあちこちで、美しく着飾った人たちがワイングラスを片手に談笑している。壁際にもたくさんの商品が並んでおり、黒いスーツを着たスタッフらしき人たちが参加者ににこやかに商品を勧めていた。とても華やかな空間だ。
「すごい場所ですね! 私、ドレスの展示会なんて初めて来ました!」
「本当だね。僕もロナ・ミラーの展示会は初めてだよ」
レナード様は興味深そうに辺りを見渡しながら言う。
すると、突然後ろから声をかけられた。