作品タイトル不明
3-4
今は魔法戦闘学の授業中で、交代で試合スペースの方へ行って攻撃魔法の訓練をする時間なのだ。私は今順番が来ていないので休憩中だ。
授業中であればブラッド様に会う心配もないので、気が抜けてしまった。
訓練場の壁にもたれかかってぐったりしていると、リタさんが近づいてくる。
「メイベル、メイベル! すごいわね、あんな美形に追いかけられるなんて! あんなに婚約し直したがっているのに、断っちゃうの?」
「リタさん……。はい、私とブラッド様は合わないと思うので、再び婚約したいとは思えないんです」
「なんだかもったいないわ。そもそもどうして婚約解消しちゃったの?」
リタさんは興味津々に尋ねてくる。
少し迷ったけれど、私はブラッド様と婚約してから今までのことを掻い摘んで説明することにした。
はじめは目を輝かせて聞いていたリタさんの顔が、話を進めるごとに引きつってくる。
「え……、それじゃああの人、メイベルのお姉さんと婚約できないから代わりにメイベルと婚約したの!? それをメイベルに直接言ったの!?」
「そういうことになりますね……」
「それで婚約者だったメイベルを差し置いて王宮のパーティーに参加したわけ!? 信じられないわ、クズじゃない、あの人!」
リタさんはさっきまでの夢見るような眼差しが嘘のように、ブラッド様を非難している。
「そういうわけなので、ブラッド様と再婚約はしたくないんですよね」
「ええ、当然だわ。やめたほうがいいわよ。婚約解消の原因も知らずに勧めてしまって悪かったわね」
リタさんはあっさりそう言った。わかってもらえて安堵する。
まだ憤慨している様子だったリタさんは、ふいに笑顔になると言った。
「それならレナード様にしたら? レナード様ならそんなひどいことをする心配がなさそうじゃない」
「え? レナード様?」
思わずぽかんとしてしまった。どうしてそこでレナード様が出てくるのだろう。
「そうそう。レナード様、メイベルの元婚約者が来るといつも割って入っているじゃない。きっとメイベルのことが好きなのよ」
「いえ、レナード様はただお優しいだけです。私が困っているのを察して、助けに入ってくれているんだと思います」
私は両手をぶんぶん振りながら、誤解を解いた。
レナード様は、ブラッド様が頻繁に私の元にやってくるようになってから、何度も私とブラッド様を引き離してくれた。そのおかげで何度助けられたかわからない。
でも、それは単にレナード様が困っているクラスメイトを放っておけない親切な方だからだと思う。
確かに、レナード様ならブラッド様のようなことをすることはしないだろうけれど、私のような地味で平凡な女はレナード様のほうも遠慮したいだろう。
私がそう説明すると、リタさんは残念なものを見るような目でこちらを見た。