軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2-16

翌日、ラネル魔術院に着くと、レナード様がすぐさま駆け寄ってきた。

「メイベルさん! 昨日、エイデン様と君の姉君とで話し合いをしたんだって? 大丈夫だった?」

「は、はい……。大丈夫だったというか……なんというか……」

私は戸惑いながらも、レナード様に昨日のことを説明する。

バリアを壊したのはやはりお姉様らしいこと、それを知ったエイデン様がお姉様と婚約解消をするつもりらしいこと、その結果お姉様は昨日の夜からずっと荒れていること。

話を聞き終えたレナード様は顔を引きつらせていた。

「そ、そっか……。それは大変だったね……」

「はい。お姉様には私のせいだと文句を言われてしまいました」

「いや、メイベルさんは何一つ悪くないから気にしなくていいよ。むしろ被害者じゃないか」

レナード様は怒った顔で言う。

私は昨日のお姉様の荒れようを思い出して苦笑いした。

「メイベルさん、お姉様のことで大変なところ悪いんだけど、ずっと気になっていたことがあってさ」

「なんでしょう?」

「この前のフォスティ退治のとき、魔道具は全て壊れていたはずなのにバリアが発動していたよね」

レナード様は真剣な顔で言う。それは私もずっと気になっていたことだ。

「はい。私も不思議に思っていました。あれは何だったのでしょう」

「あれってメイベルさん自身の魔力で無意識のうちに発動したバリアなんじゃないかな」

「え……」

私はその言葉に戸惑ってしまった。

確かにあの時、体の中で魔力が噴き出すような感覚があった。魔道具を使わずに自身の魔力でバリアを出せる魔導士の存在も知っている。でも……。

「でも、そういう魔法を使えるのは特別な魔導士だけだと以前本で読みました……。私なんかが使えるはずは……」

魔道具なしに自身の力でバリアを張れる魔導士自体、滅多にいない。それを無意識に使える魔導士となるとかなり数が限られる。私がそんな人たちの中に含まれるとは到底思えない。

しかし、レナード様は目を輝かせて言う。

「きっとメイベルさんにその特別な魔導士の資質があるんだよ!」

「そ、そんなはずないです! 私は魔力、技術、才能、全てにおいて平凡ですから……!」

私はぶんぶん首を横に振る。

私は魔法が好きで人より少し学習量が多いだけの、至って平凡な人間なのだ。むしろ資質があるとすればレナード様の方だと思う。私は魔術院のテストでも実践訓練でも、一度もレナード様に勝てたことがない。

「メイベルさんはいつもそう言うけれど、絶対に才能があると思うよ」

「いえ、私は、まったく……!」

「とりあえず学園長先生に相談してみない? 学園長先生なら実際に自力でバリアを出せる人も見たことがあると思うし、あの時のバリアはメイベルさんの出したものだったのか判断できるかも」

レナード様は真面目な顔でそう提案する。

確かに、過去に魔法省の戦闘部隊にいたという学園長先生なら、防衛術に関して詳しそうだ。相談したらバリアについても教えてくれるかもしれない。

「そうですね。相談してみようと思います!」

「それがいいよ! メイベルさんは絶対にもっと自分の魔法の能力について知るべきだ」

レナード様は笑顔でうなずいた。

レナード様が一緒に来てくれると言うので、今日の授業が終わったら学園長室まで行ってみることになった。

私に特別な能力があるとはやっぱり思えない。けれど、私の中に自分でも気づいていない力があったらと想像したら、胸がドキドキした。

そうしたらもっと色んな依頼を引き受けて、もっともっと誰かの役に立てるかも。

私はそんな素敵な未来を想像してうっとりしながら、今日も楽しく魔術院の授業を受けるのだった。