軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「ブラッド様、謝っていただかなくて構いません。私はもうブラッド様を追いかけないと決めましたから」

「何を言ってるんだ、メイベル。謝ってるだろう? 考え直し……」

「こちらお返しします。私の紋章も消しておきました」

私はそう言いながら、懐から取り出した契約板を手渡した。ブラッド様の紋章が消され、私の紋章だけが刻まれていた板からは、すでに私の紋章も消えている。

ブラッド様はまっさらになった契約板を見て顔を青ざめさせた。

「待ってくれ、メイベル! 馬鹿なことを言ったのは悪かった! 君が魔術院に入って楽しくやっているのを見て、ついかっとなってしまったんだ!」

「そうですよね。ブラッド様は私が魔法に打ち込むことは許せませんよね……」

「いや、そんなことはない! もう反対するのはやめる。自由にしていいから、婚約し直そう!!」

ブラッド様は必死な様子でそう言った。私の心は、そんな彼を見ても冷めていくばかりだ。

「ブラッド様、ごめんなさい。私ブラッド様よりも魔法のほうが好きみたいです」

正直にそう言ったら、ブラッド様はぴしりと固まってしまった。私は躊躇いながらも告げる。

「ラネル魔術院に入ってからは毎日が本当に楽しくて。私が本当にやりたかったのはこれだったのだと気づきました。ブラッド様に無理を言って魔法を学び続けるのは、この先きっと苦しくなると思うのです」

「いや、メイベル、俺は……!」

「だから、今までありがとうございました。ブラッド様はどうかお姉様とお幸せに」

私は笑顔で言いきって、ブラッド様に頭を下げた。それから後ろで呆気に取られて事の成り行きを見守っていたレナード様の手を取る。

「行きましょう、レナード様」

「え、あの、ブラッド殿のことはもういいの? なんか放心しちゃってるけど……」

「ええ、ブラッド様にはお姉様がついておりますもの。私、前を向くことにしますわ……!」

私はすがすがしい気持ちで答える。ブラッド様との今までのことを思い返すとまだ少しつらいけれど、前向きな気持ちの方がずっと大きかった。

「……そっか。メイベルさんがいいなら、僕は何も言わないよ」

レナード様は明るい声でそう言ってくれた。私は彼に向かって微笑む。

後ろの方ではまだブラッド様が私を呼ぶ声が聞こえていたけれど、私はそのまま彼に背を向けて立ち去った。

***

その後、私とブラッド様の婚約は正式に解消となった。

ブラッド様とお姉様が婚約し直すのかと思っていたけれど、そういう予定はないらしい。お姉様は前の婚約者とそのまま婚約し続ける予定だとか。

しかし先日の王宮のパーティーで、お姉様の婚約者の知り合いにブラッド様と参加しているところを見られていたらしく、妹の婚約者とパーティーに参加するなんてと呆れられてさらに関係が悪化しているらしい。

お姉様にはそのことで怒られたけれど、それは私のせいではないのではと困惑している。

ブラッド様のほうは、婚約解消後もやたらと会いにきたり、手紙を送ってきたりする。

私はそのどれにも答えないでいる。ブラッド様とはもう決別する予定なのだ。熱心に足を運んでくるブラッド様には申し訳ないけれど、早めに諦めてもらえるとありがたい。

両親にはブラッド様と婚約解消をしたことを随分怒られ、勝手に魔術院に入ったこともかなり叱られたけれど、説得の末に無事に認めてもらえた。認めてもらえたと言うよりも諦められたという方が正しいのかもしれないけれど。

そういうわけで、私は今日も元気にラネル魔術院に通っている。