作品タイトル不明
7話「やりたいこと」
「……」
しかし調べれば調べるほど不穏な情報が色々出てくる。
自害、暗殺、殺害、処刑、滅び等々……さすが戦国時代と言ったところか。怖い怖い。
怖いが、一切関係をたってこのまますごせるかと言うと、おそらくそれは無理だ。
今日みたいに人が来ることもあるし、何より自分自身が一切他人と関りを断つというのが難しい。
あまり関わられても困るが、たまに人と会話ぐらいはしたい。時たま関わり絶ってどこかに籠ったりもしたい。温泉入りたい……我儘だな。
でも二度目の人生なんだ。
少しぐらい我儘でも良いだろうさ。
「……」
ちらりと盛大にいびきをかいて寝ている遊佐さんに視線を向ける。
……おそらく悪い人ではない。義理堅くもありそう。
そして身分的にも低くないはず。
打算が半分ぐらい占めているのは否定できないが、せっかくできた縁だ大事にしよう。
とりあえずは……朝食をちょっと豪勢にする? 戦国時代って朝食何喰ってたんだろうか……調べておくか。
それと町に戻る最中にまた遭難する可能性もあるし、握り飯でも渡しておこう。
「ごはん、汁物、漬物だけ……?」
ちょっと調べたけれど、朝食の内容がさびしくないか。
いや、朝食抜きだった俺が言うのも何だけどもっとこう……おかずになるもの欲しくない?
卵焼きとか、焼き魚とか、煮物とか……スーパーのチラシどこだ。
「フガッ」
翌朝。
遊佐さんのいびき……いびきなのか分からないが、謎の音により目が覚めた。
色々調べものをしている間に寝てしまったようだ。
あたりはすでに明るくなり始めている。2000円はもう使えるようになっているだろうから、今のうちに必要なものを注文してしまおう。
なくなり掛けていた卵と鮭の切り身、それに出来合いの金平ごぼうと漬物。
お握りの具材になる塩こんぶ……鮭フレークはやたらと高かったのであきらめたよ。まあ、焼いた鮭をほぐして使えば問題なし。
あとは長時間歩くだろうから、お茶を入れておく用の水筒一つ。
以上。2000円がぶっ飛んだ。
さて、注文確定して……ほどなく鳴る謎チャイム。そして現れる某配達員さん。
また違う人が来たな。やっぱランダムなんだろうかね。
「今のは……?」
荷物を受け取り振り返ると、いつの間にか起きていた遊佐さんが目をかっぴらいて、消えていく配達員を見ていた。
「荷物を届けて貰ったんですよ」
「……そう、だったか」
何でもないように言うと、遊佐さんはそう呟いてすっと槍を下す。
……そう、この人さ槍構えて見てたんだよ。
背後にいるのすら気づかなかったし、怖すぎるわ。
下手すりゃ配達員さんぶっすりやられていたかも知れんな……この場合労災になるのかな。
こっそり準備終わらせるつもりだったが、もう見られてしまったからねえ。
んー……いいか、もう気にせず朝食作ってしまおう。
卵4個使った卵焼き。焼き鮭とインスタントのお味噌汁に出来合いの金平ごぼうと沢庵。それに炊き立てご飯。
結構豪勢な朝食ではなかろうか。
朝食を作っている間、遊佐さんはしきりにキャンピングカーをちらちら見ていたが、特に俺に質問するようなことはなかった。
気にはなっているだろうに、何か遠慮でもしているのかな。
物の怪か何かと思われてたら笑うが。
で、朝食の反応はというと。一瞬卵焼きをみてびくりと体を震わせたが、俺が食っているのをみてすぐに食べ始めた。
うまいうまいとがっついていたし飯3合があっさりなくなったので、気にいったんだと思う。
いつ出発するのかと聞いたところ、朝食を頂いたら直ぐにでも。とのことだったので、即追加で飯を炊いてお握りにする。
アルミホイルを不思議そうに眺めていたので包む用で食えないですよというと、この時代にも似たような物はあるんだろうね、成る程と頷いていた。
「それではお気をつけて、米を握っておきましたので持って行ってください」
「かたじけない!」
でっかいお握り6個と漬物。あとお茶の入った水筒を遊佐さんに渡す。
水筒の使い方はざっくり教えておいたので問題ないだろう。
「色々と世話になった。このご恩は必ず返す!」
「いえいえ、お構いなく。困った時はお互い様ってことで」
大げさに礼を述べる遊佐さんに手を軽く振り笑顔で送りだす。
やがて姿が見えなくなったところで手を下ろし、軽く安堵の息を吐く。
特に変なことにならずに済んでよかった。
そしてまじで困ったときは頼みます。
「とりあえずお風呂はいろ」
水はたまっているはずだから、沸かすだけで入れるな。
その後はどうするか……本当は炭焼き予定だったけれど、缶を買うお金がもうない。
今回はしかたないにしても色々予定たてたほうが良いよなあ。
とりあえずパソコン立ち上げて書き出してっと。
・炭焼き
炭代が馬鹿にならないので、割と必須。
本格的なのは無理でも缶を使った簡易的な方法なら出来るだろう。
缶も通販で買えるので、冷蔵庫の中身と相談しつつやる。
※現状冷蔵庫の中身が卵と漬物ぐらいしかないのが問題。
・ソロキャンプ
これはまさに今やっている。当分の間は継続していくことになるだろう。
・釣り
学生のとき以来やっていないが、釣りは割と好きだ。
動画サイトで小型ボートに乗って釣りをしている動画を見て以来、自分もやってみたいと思うようになり、トレーラーのほうに免許不要の小型ボートを積んでいたりする。
2馬力の船外機もあるので、いつか海に浮かべて釣りを楽しみいところである。
とりあえずはそこの川で昼食用に釣るとしよう。
冷蔵庫の中身がさびしいことになっているので釣れると嬉しい。
・燻製
ソロキャンプとセットでやりたかった。
どうせなら燻製小屋を建てて、本格的にやるのもありだ。
魚が余ったらやってみるか? なんならウィンナーとかベーコン作ってみるのも良い。
・陶芸
何となく楽しそうだなと漠然とした興味がある。
ろくろはギリギリ買える値段で売っていたので、落ち着いたらやろう。
・温泉
富山のほうに来たのは入りたい温泉があったからなんだよ。
現存するなら入りたいけど……戦国時代ということを考えると、移動するのも厳しそうな予感はしている。
・農業
家庭菜園やってみたい。
野菜そのものを買うと高いから丁度良い……問題はこれから冬が来るってところ。
大々的にはおそらくやらないと思う。範囲を決めて耕すぐらいはできるか? 動画みて手順など確認する。
・パン作り
どうせなら窯をつくって焼きたいね。
これも落ち着いたらやろう。ピザも食べたい。
・畜産
おそらく本格的にはやらないと思う。
せいぜい鶏を数羽とかそれぐらい……。
・野鍛冶
戦国時代と聞いて思いついた。
難易度かなり高そうだ。
「こんなもんか。そのうち追加で思いついたらメモしておこう」
ソロキャンプ関係ない項目もリストアップしてみた。
多いのか少ないのかよく分からないな。
とりあえず優先度的には炭焼きが高い。あとは食糧事情的に家庭菜園……でもこれから冬だってのに植えられるものがあるのかどうか?
まあ時間だけはたっぷりあるし、色々調べてやってみよう。