軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

79 鏡の前から離れられん

ダッシュで洗面所に行き、鏡を見る。

「えぇ〜、最高!! マジで、あり得ない!!」

あとで確認しようと思っていたスキルの中に『美髪』があったみたい。笑窪にばかり気がいってて気が付かなかったよ。

鏡をまじまじと見る。しつこいくらいに。

40歳を過ぎてから髪の悩みが急に増えたのよ…。パサつきとか引っかかるとか。ちゃんとヘアケアはしてるつもりだったんだけど、面倒な時はねぇ、サボっちゃうでしょ。

スキルのおかげか、ツヤツヤ、サラサラ。天使の輪がキラッと光ってる。指が引っかかることもなく、CMのようにサラッと流れる。何もしていないのに、美容院帰りみたいだわ。

「探索者になってよかった……。ありがとう、美髪スキル。」

思わず、空中に向かって拝む。いいスキルをありがとうございます。次もお願いします。ナムナムとしっかり拝んだし、きっと次もいいのが出るはずだ。

他の人が『美文字』ってスキルを獲得しているから、美◯◯って他にも絶対にあるはずなのよ。

希望としては、『美脚』か『美尻』がいい。あ、『美肌』もあったわ。これは外せないやつね。

集めたスキル石はあと200個以上残っているから、美シリーズは1つは出そうな気がするのよ。むしろ、出るまで頑張ってもいいくらいだわ。…スキル一覧が凄まじいことになりそうだけどね。

ちなみに、まだ確認してなかったスキルは『竹馬』と『靴飛ばし』だったわ。意外と使い所があるかもしれないな、知らんけど。

それにしても、『美髪』は素晴らしいスキルだな。パサつくせいか、てっぺんから飛び出ていたアホ毛がなくなって、うねりも大人しくなっている。手櫛でさっととかすだけでもキレイにまとまる。

「ヤバっ、鏡の前から離れられん…。」

意味もなくとかしてみたり、結んでほどいてを繰り返す。はぁ~、楽しい。ちょっとした悩みがなくなるだけで、こんなに違うなんて…。頑張って他のスキルも獲得しないとな。

ーーーー

朝、身だしなみを整えている時に再度ニヤニヤする。寝癖がつかないってステキね。ありがとう、美髪スキル。

ダンジョンに行き、狩りをはじめる。気分がいいから足取りも軽いわ。今日の私はものすごく頑張れる気がする。

動く時邪魔にならないように低い位置で1本に結んでいるんだけど、何度も触っちゃって集中できない。…でも、触っちゃう。するっとツルっとしてて、楽しくて。

「気分がいいなら、下の階層にも行ってみるか?」

「それは話が違う。」

「いや、楽しい時のほうが怖くないだろ。」

「怖いものは怖いな。」

「慣れれば1人でも倒せる魔物だと思うし、1度倒しておけば登録されるんだろ? 気分がいい時にやっておけばいいじゃん。」

「それはそうなんだけど、3階層ってたしかバッタが出てくるんだよね?」

「3階層は、アースモールとモスフロッグとグラスホッパーだな。」

グラスホッパーがいやなのよ。別に虫は平気なの、おG様にスリッパアタックできるくらいだし。でも、アイツらはジャンプだと思わせて飛んでくるでしょ、びっくりするのよ! うわっってなった時に首の筋を痛めたからキライ…。

ダンジョンに出てくるグラスホッパーは20cm〜30cmくらいだ。バッタにしてはかなり大きいので見つけやすいけど、それだけの大きさの物体が飛んできたら、普通に怖い…。

「動きを止めてくれるなら出来るかもしれないけど…。あー、でも、モスフロッグは倒したい」

「ドロップ品の保水膜だっけ?」

「そう!! 使い方を調べた人すごいよね〜。正直、顔面にカエルをくっつけるのはいい気分じゃないけど。」

「保湿パックになるんだろ。肉も食えるし、いいじゃん。行こうぜ。」

「うーん、とりあえず行ってみて、やれそうならやる。無理そうなら帰ろう。」

「じゃあ、それで。危ない時は止めるからまぁ大丈夫だろ。」

行かなくてもいいなら行きたくはないけど、ドロップ品はとても魅力的だ。特にモスフロッグのドロップ品の苔は化粧品になるし、保水膜は顔に貼るだけでしっとり潤うらしい。乾燥肌の私には必須なのよ。

ちなみに、3階層のドロップ品でわかっているのはこんな感じだ。

アースモールのドロップ品

モール土

モール粘土

モール肥料

グラスホッパーのドロップ品

乾燥粉

バッタ色素

モスフロッグのドロップ品

カエル肉

保水膜

たぶん、他にもドロップ品はあると思うけど、正式に公開されているのはこれだけだ。

保水膜は探索者協会の売店だと1枚1500円で売っているが、いつも売り切れになっている。毎日使うにはお高い…。でも、自分で取りに行けば無料だ。

…未来の私のために頑張ろう!! 今頑張れば、ツヤツヤのおばあちゃんになれるかもしれない。

のんびり移動しながら下の階層へ向かう。見つけた魔物は全部しっかり倒して???チャンスの糧にしている。

まだまだ時間がかかりそうだけど、1階層から3階層を行ったり来たりしてたらそのうち出るだろう。それよりも保水膜のほうが、今は大事だ。

「まずはアースモールから行くぞー。」

「はいよ~。待ってろ保湿パック!!」

「アースモールが先だっつうの…。」