軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

814話 さっそく来た!

ジナルさんが洞窟の出入り口を防いでいる蔓性の植物をナイフで切っていくが、長い間放置されていたため蔓は太くなり絡み合いかなり頑丈になっているようだ。

「手伝うよ」

セイゼルクさんの言葉にジナルさんが片手を挙げる。

「悪いな。……これぐらいでいいだろう」

ジナルさんとセイゼルクさんが手と止めると、蔓を避けて中を覗き込む。

「前の洞窟ではすぐに魔物の気配を感じたけど、今の洞窟では気配を感じないな」

セイゼルクさんの言葉に、ジナルさんが頷く。

「そうだな。もしかしたら、前とは全く違う洞窟になっている可能性もあるな」

もしそうなら、ジナルさん達は当てが外れた事になるのかな?

魔物が、ドロップするマジックアイテムが目的で、この洞窟に来たんだよね?

「まぁ、それを調べるのも面白いからいいじゃないか」

ラットルアさんが、セイゼルクさんの肩をバンと叩く。

それに表情を歪めるセイゼルクさん。

「未知の洞窟が久しぶりだからと興奮し過ぎだ。落ち着いて掛からないと怪我をするぞ」

「分かった。分かった」

セイゼルクさんの言葉に、軽く応えるラットルアさん。

その様子に溜め息を吐くセイゼルクさんに、ジナルさんが苦笑した。

「にゃうん」

シエルが洞窟前で鳴くと、さっと中に入っていく。

「あっ、シエル待て」

それを見たお父さんがシエルと止める。

「にゃうん?」

「シエル。魔物が逃げてしまうから、気配と魔力を少しだけ抑えてくれないか?」

「にゃうん」

お父さんの言葉に一声鳴いたシエル。

目の前にいるのに、気配と魔力が感じられなくなった。

凄い、完璧だね。

「悪いな、シエル」

ジナルさんがシエルの頭を撫でると、尻尾がパタパタと揺れる。

そして、ジナルさんの体をクイッと洞窟の方に押した。

「んっ? 早く行きたいのか?」

「にゃうん」

さっきより尻尾の揺れが激しくなるシエル。

「楽しみにしていたのか」

「にゃうん」

嬉しさを隠さない、いつもより高い鳴き声につい笑みが浮かぶ。

「分かった。それならとっとと入るか」

「にゃうん」

ジナルさんと楽しそうに尻尾を揺らすシエルが、洞窟内に入っていく。

「アイビー、どうぞ。ドルイドも」

「ありがとう。ソラ、フレム。危険が無いと分かるまでバッグの中にいて」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

洞窟を楽しみにしていたけど、こればかりは仕方ない。

ソラもフレムも分かっているのか、素直にバッグに入ってくれた。

ソルは、寝ているね。

ぶら下がっている蔓を避けてくれているラットルアさんにお礼を言ってから、洞窟内に入る。

中はジナルさんが言っていた通り、広い空間になっていた。

「寒いな」

あとから来たお父さんが、右肩あたりを左手でさすっている。

「そうだね。夏は嬉しいかもしれないけど、今の季節は少し早いね」

最近はかなり温かくなったけど、ひんやりする洞窟が嬉しいほどではない。

「お~、広いな」

私達の次に洞窟に入って来たラットルアさんの声が、空間に響いた。

「ラットルア」

「悪い」

声の大きさを注意するセイゼルクさんに、ラットルアさんが困った表情を見せた。

どうやら彼も、洞窟内に響き渡るとは思わなかったようだ。

「この洞窟は声が広がりやすいみたいだね」

シファルさんが洞窟内に入ってくると、空間の壁に手を当てる。

ヌーガさんも洞窟内に入ると、同じように壁に手を当てた。

それで、分かるのだろうか?

「そうだな」

最後に入って来たセイゼルクさんが、ジナルさんに手を振った。

「問題なし」

「分かった。奥に行くけど、周りに気を付けてくれ」

ジナルさんの言葉に、それぞれが武器に手を置く。

私も雷球を1つ手に持った。

ゆっくりと奥に進むと、魔物の気配が微かにした。

「まだ遠い場所だが、魔物だな」

ジナルさんの言葉に、彼の隣に移動したヌーガさんが剣を抜く。

「魔物が来てくれたら、ドロップ品を確かめられるな。このまま突き進もう」

ゆっくり、魔物の気配に注意をしながら洞窟を進む。

魔物もこちらの動きに気付いたのか、動きが変わった。

「逃げそうか? いや、こっちに来る!」

急にゆっくり動いていた魔物の気配が早くなる。

そしてその気配は、こちらに向かって来てるようだ。

「がぁぎゃぁ~」

洞窟内を、魔物の声が響きわたる。

その鳴き声の大きさに、少しだけ怯んでしまう。

「うわっ。魔物の鳴き声が頭に響く」

ジナルさんが嫌そうに言うと、姿の見えた魔物に向かって駆けだした。

その後をヌーガさんが続く。

「がぁぎゃぁ~」

「がぁぎゃぁ~」

「がぁぎゃぁ~」

何匹いるのか、洞窟内を魔物の声が響き渡る。

「悪い。抜けられた!」

ジナルさんの声に視線を向けると、こちらに向かってくる魔物が見えた。

シファルさんが前に出ると、魔物に向かって剣を振り下ろした。

「以前の魔物ほど、強くないみたいだ」

シファルさんの言葉に、セイゼルクさんが残念そうな表情になる。

「それだと以前のようなマジックアイテムは無いかもしれないな」

「そうだな」

それは、残念だな。

皆が盛り上がるほどのマジックアイテムに興味があったのに。

しばらくすると、全ての魔物がジナルさんとヌーガさん。

後方のシファルさんで倒された。

「数だけは多かったな」

ジナルさんの言葉に、ヌーガさんが大きく息を吐き出す。

「そうだな。でも、それほど強くは無かった」

ヌーガさんの言葉に、ジナルさんが残念そうな表情をする。

目的のマジックアイテムがドロップしないと分かったからだろうな。

「いや、そんなに悪くないかもしれないぞ」

シファルさんの言葉に、全員の視線が向く。

そして彼が持っている物を見て、ジナルさんが嬉しそうな表情を見せた。

「通信機か?」

通信機?

シファルさんの持っている物は、20㎝ほどの黒い箱。

箱の一部から、何か細い棒のようなものが出ている。

「この洞窟で以前ドロップした物と同じ形ではあるな」

セイゼルクさんの言葉に、シファルさんが頷く。

「まぁ、同じ形でも違う物という事もあるから、喜ぶのはまだ早いけどな」

「そうだけど、希望は持てる」

シファルさんの言葉に、ジナルさんが期待込めた視線をマジックアイテムに向ける。

「この洞窟は、通信機がドロップしていたの?」

それだったら、この洞窟に興味を持ったのが分かる。

通信機は本当に珍しいと聞いたから。

「ん~、通信機だけというわけではないんだ」

ジナルさんの言葉に首を傾げる。

「この洞窟は、高価なマジックアイテムを色々とドロップしてくれていたんだよ。まぁ、その大半が外れなんだけどな」

洞窟の魔物がドロップするのは特定のマジックアイテムだけだと聞いたけど、違ったのかな?

「この洞窟だけだよ」

お父さんを見ると、丸い物を手に持っている。

おそらくドロップしたマジックアイテムだろう。

「他の洞窟で高価なマジックアイテムをドロップする種類は、1個か2個ぐらいなんだけど、ここの洞窟だけは違ったんだ」

この洞窟だけが特別だったのか。

それが、人のせいで崩壊してしまった。

そして、もしかしたらそんな凄い洞窟が復活した?

「楽しみだね」

お父さんを見ると、楽しそうな表情で頷いた。

「駄目だ、外れだな。でもこの外れ方は期待できるな」

シファルさんを見ると、黒い箱の中身は空っぽだったようだ。

お父さんの方を見ると、同じように丸い物の中は空っぽのようだ。

「この外れ方は以前と同じだな。という事は……奥に行くか」

うわ~。

皆の表情がキラキラ? ギラギラ?してる。

あれ?

守護石はどこにあるんだろう?

洞窟の壁に近付き調べてみるが、石が埋まっているようすはない。

この辺りには無いのかな?