軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

799話 皆と一緒

ジナルさん達との話し合いが終り、お父さんと調理器具などを買うために出掛ける事になった。

「俺達も一緒に行くよ」

ラットルアさん達と一緒に行っても、特に問題が起こるとは思わなかった。

いつもよりちょっと賑やかになるかなと思ったぐらいだ。

だけど今は、一緒に来た事を後悔しそう。

「こっちの方がいいだろう?」

「いや。こっちだ」

ラットルアさんとセイゼルクさんが、それぞれお鍋を持って睨み合っている。

どうしてこんな事になったんだろう?

私としては、ササっと選んで、材料を買って宿に戻りたい。

なぜなら早く料理が作りたいから。

「この鍋の方が、おいしく煮込めると書いてあった」

「いや、煮込みならこの鍋だと書いてあった」

お店がお薦めする、お鍋の宣伝文句。

少しは気にするけど、持ちやすさ大きさの方が私としては気になる。

と言うか、2人が持っている鍋の大きさは既に私が選んでいるので、もう必要が無いんだけどな。

同じ大きさのお鍋は、必要ないし。

いや、大きい鍋なら2個欲しいかな?

出汁を取る時は、長時間占領されてしまうから。

「はぁ」

隣でお父さんがため息を吐いたのが分かった。

その気持ちがよく分かる。

「はい。そこまで」

お父さんに止められて、ラットルアさんとセイゼルクさんがお父さんを見る。

「その2個の鍋は、既に同じ大きさの鍋をアイビーが自分で選んだから必要ない。欲しいのは、もう少し大きな鍋と、小さな鍋だ。あと10人前ぐらいが作れる大鍋だ」

お父さんの言葉に、ラットルアさんとセイゼルクさんが頷く。

「ラットルアは小さい鍋を、セイゼルクは少し大きな鍋を探して。アイビー、大鍋はこれでいいかな?」

シファルさんが、2人に指示を出しながら私の前に大鍋を置く。

「10人前?」

それより少し大きい気がする。

「それより少し大きいかな、でもマジックアイテムの鍋だから温度設定と時間設定が出来るみたいなんだ」

お鍋をよく見ると確かに温度と時間が設定出来るみたいだ。

「いいですね」

「そうだろう? ただこの鍋は、この大きさが一番小さいんだよ」

そうなんだ。

少し大きいから洗う時にちょっとだけ大変かな?

でも、私もこれから成長するし大丈夫だよね。

「はい。これにします。……同じ物をもう1つお願いします」

野バトや野菜から出汁を取る時に、絶対に欲しい大鍋。

時間設定できるのは、嬉しい。

そして2個あると、かなり嬉しい。

シファルさんは私の言葉に驚いた表情を見せたけど、すぐに同じお鍋を持って来てくれた。

「ありがとうございます」

何を作ろうかな。

楽しみ。

「アイビー、どっちの大きさがいい?」

ラットルアさんが小ぶりの鍋を2個持って来る。

大きさが違うので、どちらがいいのか分からなかったみたいだ。

「では、こっちの方を」

ラットルアさんが持っているお鍋の、小さい方を選ぶ。

朝ご飯を作る時に必要な大きさだ。

「これでいいのか?」

セイゼルクさんが持って来たお鍋を見て、シファルさんがため息を吐いた。

うん。

少し大きなお鍋をお願いしたはずだけど、2倍の大きさのお鍋が来た。

「セイゼルク。少し大きな鍋だよ。どうしてこんな大きな鍋になったんだ?」

「持ちやすさから選んでみたんだが」

持ちやすさ?

お鍋を持って見る。

……他のお鍋より少し重い。

「セイゼルク。これはアイビーには重いよ」

シファルさんの言葉に、私とお鍋を見て納得したように頷いた。

「悪い。俺が持ってちょうどいいのは駄目だな」

うん、駄目だね。

「ラットルアは料理が壊滅的だけど、セイゼルクも……まぁ、食べられるけど、うまくないからな」

そうなんだ。

ラットルアさんは知っているけど、セイゼルクさんもなんだ。

「俺の作った料理は、食えるだろう?」

「まぁ、食べられない事は無い」

セイゼルクさんの言葉に、シファルさんが呆れた表情をした。

そんな2人に笑ってしまう。

「ラットルアより、食べられると思うけどな」

セイゼルクさんが、納得がいかないという表情をする。

というか、ラットルアさんと比べている辺りで間違っている気がする。

「はい」

ラットルアさんがセイゼルクさんの代わりに、少し大きめのお鍋を持って来てくれた。

「ありがとうございます」

これでフライパンとお鍋が決まった。

あとは、包丁とまな板。

大きなボールも欲しいかな。

「これで良いか?」

ヌーガさんの言葉に視線を向けると、包丁を持っていた。

「はい。ありがとうございます」

ちょっと戸惑ったけど、ヌーガさんから包丁を受け取る。

「あれ? 軽い?」

持ち手も歯も大きいので少し重たいかな? と思ったけど、そんな事はなく軽い。

「長く使っても疲れない包丁らしい」

ヌーガさんの視線の先を見ると、確かに説明にそう書かれていた。

「なるほど。いいですね」

ヌーガさんが選んでくれた包丁と、同じ種類の包丁を大きさ違いで2個選ぶ。

「これで包丁はいいよね」

あと食器は……お父さんが選んでくれた。

持って来た食器を見ると、シンプルなデザインが多い。

「お父さん、ありがとう」

「前にアイビーが選んでいた食器と似ていたから選んだけど、問題ないか?」

「うん。大丈夫」

他に細々とした物はシファルさんと選んだ。

彼は、選ぶのがうまい。

ちなみに、お店の人と交渉するのもうまい。

そのお陰で、かなり安くしてもらえた。

セット価格なんて無いはずなのになぁ。

「ありがとうございます」

お店を出てから、皆にお礼を言う。

「それなら、今日は無理だろうから明日のお昼はごちそうして欲しいかな」

ラットルアさんの言葉に、シファルさんが肩を叩く。

「役に立たなかったラットルアが、それを言いうのはおかしい」

「くっ。少しは役に立った、はず? アイビー?」

ラットルアさんが情けない表情で私を見る。

「ふっ。はい、ありがとうございます」

ちょっと吹き出してしまったけど、なんとかお礼を言う。

そんな私にシファルさんが、首を横に振る。

「アイビーはラットルアを甘やかしすぎ。もっと厳しくいかないと」

そうかな?

別に甘くしている気がしないけど。

「あっ。まだここだったのか」

ジナルさんの声に視線を向けると、ウルさんとフィーシェさんの姿もあった。

ジナルさんとフィーシェさんは、マーチュ村を離れる事を自警団の団長さんや村の村長さんに報告しに行っていた。

「報告は無事にすんだのか?」

お父さんの言葉に、ジナルさんが頷く。

「あぁ、かなり感謝されたよ。あとセイゼルク達にも、お礼を言っておいてくれって。それより昼は食べたのか?」

ジナルさんの言葉に、全員が首を横に振る。

調理器具や食器を選ぶのに、かなり時間が掛ってしまったためだ。

今までは、少しずつ調理器具や食器を集めて行った。

と言うか、必要に応じて捨て場から拾っていた。

だから、必要な物を買うだけで、こんなに時間が掛るとは思わなかった。

実は、捨て場にお鍋やフライパンを拾いに行こうとしたら、止められた。

さすがに今回は、欲しい物が多すぎるためお店で買おうと。

それと今日は、捨て場を整理する日なので人の出入りが多く、邪魔になるという事だった。

ちょっと残念。

「それならちょうど良かった。屋台が、今日と明日は割引価格で買えるんだよ。お昼は屋台にしないか?」

ジナルさんが皆を見回すと、嬉しそうに頷く。

「賛成みたいだな。行こうか」

そうだろうな。

お店を出る時に、お腹が空いたと皆で言っていたから。

ジナルさんが先頭になり、大通りにある屋台に向かう。

「お父さんは何が食べたい?」

「そうだな」

聞いてみたけど、肉だろうな。

「肉だな」

やっぱり。

でも私も、今日はお肉をガッツリ食べたいかも。

前を見ると、ラットルアさんとシファルさんが楽しそうに話しているのが見えた。

その前には、ジナルさん達の姿もある。

そっと振り返ると、セイゼルクさんとヌーガさんが、食べる物の話で盛り上がっている。

「楽しいな」

お父さんを見ると、私を見て笑う。

「うん、楽しいね」