軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

81話 理解できない行動

ミーラさんとルイセリアさんは予定を立てると、断られる前に用事があると慌ただしく帰ってしまった。

そのあとを追うように、カルアさんも席を立つ。

何だか、その時の彼女の様子が少し気になった。

すごく不機嫌そうに友人である2人を睨み付けて……いや、少し違う。

カルアさんは、あまり表情が動かないような人に見えた。

その彼女が眉間にしわを寄せて、ミーラさんとルイセリアさんを見つめていた。

一見睨んでいるように見えたのだが、落ち着いて考えるとあれは戸惑っているような雰囲気だった気がする。

……友人と紹介された2人共が、組織の人間なのだろうか?

ミーラさんは間違いないと判断されている。

ルイセリアさんも、ミーラさんとなんとなく同じ雰囲気を感じた。

でもカルアさんはどうも違うような気がする。

「大丈夫?」

ラットルアさんが新しいお茶を入れてくれた。

「ありがとうございます。あの~おかしくないですか?」

「うん。おかしい」

「ですよね。聞いていた組織は用意周到で証拠も残さないって。でも、ミーラさんとルイセリアさんの行動ってそんな印象を受けません。私たちが、疑っているってばれているのでしょうか?」

「そうかもしれない。でも、ばれているならもっと違う行動にでると思う。もしかしたらこれも全て罠とか?」

あっ、そうか。

全てが罠という事もあるのか。

……でも、これってどんな罠になるんだろう?

とりあえず、3人に疑惑を分散させるとかって、これは意味がないな。

本当にただの友人で、ミーラさんから目を逸らさせるためというのはあるかもしれない。

そう言えば、さっきの話では『ママロコ』という店に何かあるぞって言っているようなモノだったな。

そんなわかりやすい行動をするのかな?

「『ママロコ』というお店はどういうお店なのですか?」

「老舗の甘味屋だよ。団子を使ったお菓子がある」

団子……いろいろ思い浮かんだけど、これは全て前の私の知識だろうな。

って、名前が分からないけど黒い土に覆われている物もある。

あれってなんだろう、『あんこ?』。

すごい見た目だな。

「どうした? 眉間のしわがすごいけど」

「えっ、いえ。何でもないです」

危ない、前の知識の事で怪しまれてしまった。

気を付けないと。

えっと……。

「『フロフロ』と『アマロカル』はどんなお店ですか?」

「この2つは、俺が信用している元冒険者の人がやっているお店なんだ。『フロフロ』はミルパに近いけどもっとふわっとしたお菓子を出しているんだ。『アマロカル』はサクッとしたお菓子を出している」

えっと、何とも抽象的な説明だな。

ミルパに似たふわっとしたお菓子? と、サクッとしたお菓子?

頭に色々と浮かびそうになるのを、無理やり押さえつける。

よし、落ち着け。

「明日が、楽しみです」

「俺も、久々に甘味三昧」

そう言えば、ラットルアさんはお酒はあまり飲まないって言っていたな。

その代わり、甘味に目が無いのか。

ラットルアさんは、なんとなく可愛いと感じてしまう性格をしているな。

忘れていた洗濯物を干して、夕飯に取り掛かる。

何故か昨日以上に食材が増えている。

誰が増やしたのか分からな……いや、これはきっとヌーガさんだ。

マジックアイテムには食材の鮮度を保ってくれる物がある。

その中に大量に詰め込まれた肉。

確かめたら、種類の違う肉の塊が6個。

たぶん食べたいのだろうな。

そしてもう1つには……シファルさんかな。

スープに入れると美味しいと聞いた食材が、詰め込まれていた。

セイゼルクさんには調味料をもらったし、頑張って作ろう。

「悪いな、アイビー。なんだかすごい事になっているな」

食材の山を見てラットルアさんがちょっと呆れた顔をしている。

「大丈夫です。料理を作るのは好きなので」

食べた時の皆の笑顔を思い出すと、やる気が出る。

良し!

とりあえず、お肉に隠し包丁を入れて味を染み込ませて……。

後は、スープ。

そう言えば、ボロルダさんがミルクを貰って来ていたな。

自由に使っていいと言われているので、ミルクのスープにしよう。

旨味の強いお肉があるから、それと一緒に煮込もう。

そろそろお肉を焼こうと思っていると、ヌーガさんが戻って来た。

……何かセンサーでもついているんだろうか?

「お帰りなさい。お肉ありがとうございます」

「あぁ……使った?」

「はい」

甘味のあるたれを作って漬け込んでみた。

何だろう……お肉を凝視している。

えっと、焼いていいのかな?

そっとお肉を移動すると、ヌーガさんの方からグ~っと、結構な大きさの音が聞こえてきた。

「……すまん。あ~、皿とか用意するかな」

ちょっと顔を赤くして離れて行くヌーガさん。

期待してくれているのだろうか?

だったら、うれしい。

「ただいま。ちょうどいい時に戻って来たみたいだな。アイビーご苦労様」

「いえ、野菜ありがとうございます」

シファルさんとロークリークさん、マールリークさんが戻って来たようだ。

少し離れた場所で、セイゼルクさんとボロルダさん、ラットルアさんが話している姿が見える。

ミーラさん達の事を話しているのかな?

「野菜って何?」

「えっ?……あの、食材が……あれ?」

シファルさんは不思議そうに、山になっている食材を見ている。

もしかして、使っては駄目な物だった?

「あ~、それ俺!」

リックベルトさんが声をあげる。

驚いた。

いつ戻って来ていたんだろう、気が付かなかった。

「リックベルトさん、ありがとうございます」

「気にしないで……それで……」

「そうだぞ、気にする必要は全くない」

マールリークさんが、呆れた表情をリックベルトさんに向けている。

シファルさんも、戻って来たヌーガさんもだ。

えっと……何が起こったのだろう?

「アイビー、リックベルトはこれをエサにソラに会わせてって言いたいんだよ」

マールリークさんの言葉に、リックベルトさんが視線をそらしたのでどうやら本当らしい。

「ソラ……シファルさん協力をお願いします」

「了解!」

「えぇ~、ちょっとアイビーそれは無い!」

「野菜のお礼にソラには会わせます。シファルさんも一緒です」

「任せてアイビー。リックベルト、よ・ろ・し・く!」

ものすごくショックを受けた顔のリックベルトさん。

悪いかな~とは思うけど、ソラの精神衛生上仕方なし!

だって、ソラが本気で嫌がるまで止めないんだもん。

あれは無い。

全員が集まって食事が始まる。

食べながら話していたはずが、途中から全員が食べることに集中してしまった。

好みの味だったようでうれしいが、ヌーガさんがいつのまにか確保した肉の量で言い合いが……本気の目が怖い。

ボロルダさんはミルクの使い方にちょっと驚いていた。

ミルク煮ってあるよね。

……あれ? あったはず。

食事も終わりお茶で一息。

「食事中にいろいろ話そうと思っていたけど、無理だったな」

「そうだね。それにしてもあの漬け込んだお肉は美味かった」

「ありがとうございます」

セイゼルクさんとマールリークさんの感想に笑顔になる。

「そろそろ話そうか」

ボロルダさんの声に、少し緊張感が戻る。

「ラットルアから聞いた。ミーラ達が来たと、誰だっけ……ルイセリアとカルアか」

「その2人は確か、別々の冒険者チームだったと記憶している。仲がいい印象は無かったがな」

「今日、ここに来た理由が掴めないな」

「罠にしてはお粗末すぎる」

皆もこれといった意見が出ず、やはり困った感じだ。

やはり3人の行動は、かなり違和感がある。

「結論が出ないな。他に話すことがある奴は?」

ミーラさんの行動についてはとりあえず保留となった。

「トルトとマルマが明日森で特訓をするらしいので、確かめてくる」

マールリークさんとロークリークさん。

それにセイゼルクさんがその調査に加わるようだ。

シファルさんとヌーガさんは、今日は商人の行動を監視。

明日は接触した人物の調査に入るらしい。

私とラットルアさんは話し合った結果、3人に付き合う事になった。

ラットルアさんが探りを入れるそうだ。

私はいつも通りでいいと言われたが、すでに緊張している。