軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

674話 ドロップは多いけど

「35匹倒して18個の魔石は、多いの? 少ないの?」

リーリアさんの言葉に、全員の視線がお父さんに向く。

「多い方だな」

「そうなんだ」

リーリアさんが集めた魔石を1つ手に取って見つめる。

「レベルは、10か9……いや、全部10かな」

「10だろ。これは」

アリラスさんも、魔石を見て頷いている。

まぁ、9でも10でも魔石なら商品券になるからね。

「町や村に近い洞窟は、3匹から5匹を倒して1個か2個の魔石かマジックアイテムをドロップするのが普通だ。森の奥だと1匹で必ず1個のマジックアイテムをドロップする場所もあるけど。それは、かなり珍しい洞窟だ」

お父さんの説明に、タンラスさんが不思議そうな表情をする。

「それならここは、かなり珍しい洞窟になるのか?」

「あぁ、そうだ。前に入った洞窟もドロップする数が多かったから、この村の初心者用の洞窟はドロップ率がいいのかもな。とはいえ、どっちの洞窟もレベル10の魔石だからな」

お父さんの答えに苦笑するタンラスさん。

レベル10は、価値がほとんどない魔石だから、たとえ多く手に入ったとしてもこの村以外では喜ばれないだろうね。

この村では、レベル関係なく商品券になるから、多く手に入ったら嬉しいけど。

やっぱりこの村は若い冒険者にかなり優しいね。

「魔石も全部集まったし、奥へ行こうか」

お父さんの言葉に、タンラスさんが頷いて前を歩き出す。

さっきみたいに、一気に魔物が襲ってくることもあるみたいだから、気を引き締めよう。

「今度は……2匹か?」

タンラスさんが剣を構えると、洞窟の奥から魔物がこちらに向かって来ているのが見えた。

「他には、いないみたいよ」

タンラスさんはリーリアさんの言葉に頷くと、襲って来た2匹の魔物を倒した。

「あっ、2匹とも魔石を落としてくれたみたい。ありがたいね」

魔物が倒れた場所に2個の魔石が落ちていたのか、リーリアさんが嬉しそうに魔石を拾う。

「俺に声を掛ける前に、魔石を拾うか?」

あっ、私もそれはちょっと思った。

「えっ、だって余裕だったじゃない。それにお昼になるのよ、これ」

まぁ、そうだね。

そうだけど……ほらっ、タンラスさんが落ち込んじゃったから。

「ほらっ、次に行くわよ。もう少し魔石が欲しいわ」

「……はぁ。行くぞ」

リーリアさんは容赦がないな。

「ぷっくくく」

後ろを振り返ると、アリラスさんが楽しそうに笑っている。

声を抑えているが、洞窟なので響いてしまっている。

タンラスさんがチラリとアリラスさんを見たが、諦めたようにため息を吐くと前を向いた。

「ん? 次は……魔物の数が多いみたいだ」

タンラスさんの言葉に、それまであった穏やかな空気が一気に緊張をはらむ。

前方からは、また複数の魔物の気配がする。

しかも、さっきと同じように魔物の数が掴めない。

「ドルイドさん、魔物の気配が読みにくいのはなぜですか?」

アリラスさんが、私を守るような位置に来るとお父さんをちらりと窺う。

「襲って来た魔物の中に気配に影響を及ぼすものはいなかった。おそらく、この洞窟の特徴だと思う」

洞窟の特徴なら、魔物の数を調べるのは無理か。

そういえば洞窟の中には、魔物の気配を完全に消してしまう特徴を持つ洞窟もあるらしい。

この洞窟が、その特徴で無くてよかった。

それにしても余裕が無いな、私。

魔物の数が読めない原因を聞こうと思っていたのに、今まですっかり忘れていた。

「来るぞ」

タンラスさんの言葉に雷球をぐっと握る。

とりあえず、自分が倒す魔物の種類はちゃんと見よう。

さっきは雷球をぶつける事に集中し過ぎて、倒した魔物の種類さえ見ていなかった。

もっと余裕を持たなきゃ。

「……あれ?」

襲って来た魔物の数は全部で12匹。

タンラスさんとリーリアさんが2人で8匹。

アリラスさんが4匹。

さっきより襲って来た魔物の数は少ないけど、3人の動きがなんだか違った。

「凄いな」

お父さんの声が聞こえた。

隣を見ると、3人を楽しげに見ている。

「3人の連携が上手く機能しだしたな」

あっそれで、3人の動きが変わったように見えたのか。

なるほどね。

「お父さん、魔物の種類は4種類だった?」

襲って来た魔物の種類と特徴を覚えたけど、あっているかな?

「長い尻尾を攻撃に使う魔物と、前脚に鋭い爪を持った魔物。あと目が赤い魔物がいたよね? その魔物の動きが一番速く見えたかな。あとタンラスさんの攻撃を受けても、傷が付かない体を持っていた魔物がいたはず。どう?」

あっている?

「惜しい。さっき襲って来た魔物は全部で5種類だ。赤い目の魔物が2種類いたんだけど、気付かなかったか? 耳と尻尾の長さが違ったんだけど」

えっ、赤い目の魔物が2種類もいたの?

耳と尻尾?

……駄目だ、全く思い出せないや。

「魔物を気にする余裕が出来たな?」

「ほんの少しだけね。しかも自分が戦ってない時だけ」

これでは駄目なんだけどね。

「そうか。まぁ、シエルに守られずに洞窟に挑戦するのは、今日で2回目だからな。雷球を全部ぶつけられているだけでも凄いよ」

そうかな?

かなり不安だけど。

「さてと、そろそろ洞窟の奥に辿り着くんじゃないか?」

お父さんのいう通り、魔石を拾って奥に進むとすぐに洞窟の最奥に着いた。

洞窟の壁に書かれている通りに歩いて、外へ向かう。

帰りは、魔物が一気に攻めてくる事もなくバラバラで襲って来たので、全てタンラスさんとリーリアさんが倒してしまった。

「最後も狭い空間を通って外に出るのね」

入る時よりちょっと狭い空間を見て、リーリアさんが嫌そうな表情を見せる。

「この穴から出られない時はどうするの?」

「入って来た出入り口を使うだけだな」

お父さんの答えに、ちょっと頬が熱くなる。

当たり前の事に、気付かなかった自分が恥ずかしい。

「でも、入る時に自警団員が全員の体型を調べていたから、問題なく此処から出られると思うぞ」

そうなんだ。

それなら大丈夫だね。

「そうだ、1つ注意しておくな。この洞窟のように管理されているところは別だが、普通の洞窟の場合は、出入り口が狭いと感じたら挑戦を止めた方が良い。洞窟の中で上位魔物と遭遇した時、逃げられない場合があるから。洞窟に挑戦する時は、必ず逃げる方法と安全を最優先させる事。洞窟の中にどんな魔物がいるのか、外からでは分からないからな」

そうか、ここは管理されているから出入り口が狭くても大丈夫なんだ。

洞窟に出る、魔物の強さも把握しているから。

まあ、前回のような事もあるから絶対とは言えないだろうけど。

「それじゃ、順番に出るか。最初はタンラスからか?」

お父さんの言葉に、タンラスさんが外に出る狭い穴を見てため息を吐く。

「服が破れるかも」

タンラスさんが、持っていた剣をバッグに入れると、腹ばいになって穴に入って行く。

少し時間が経つと、タンラスさんの声が聞こえた。

「次、良いぞ。あと、外に向かうほど穴は大きくなるみたいだ」

「そうなの? 良かった」

タンラスさんの言葉に、ちょっとだけ嬉しそうな表情をしたリーリアさんが穴に入って行く。

次に私の番。

タンラスさんが通れたので、彼より体が小さい私は余裕だ。

「お父さんどうぞ」

外に出たら、すぐに中に声を掛ける。

出てくる人の邪魔にならない場所まで移動すると、タンラスさんに視線を向けた。

全身を見るが、服は何とか破けずに済んだようだ。

「ん? どうした?」

「いえ。服は大丈夫だったのか気になってしまって」

私の言葉に、タンラスさんが笑う。

「かなり気を付けたから、破けずに済んだよ」

嬉しそうに笑うタンラスさんに、つられて笑ってしまう。

あっ、お父さんとアリラスさんも無事に洞窟から出られたみたい。

これで2ヶ所目の洞窟は終わりだね。

無事に戻って来られてよかったぁ。