軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

402話 フレムのポーション

「あ~、つまりそのフレムの作ったポーションを試したいんだな?」

「はい」

なぜかジナルさんたちもナルガスさんたちも、フレムの説明をし終えると疲れた表情をしている。

確かフレムのポーションって疲れにも効いたよね。

後で試してもらおうかな?

「悪いな。話すのを忘れて突っ走ってしまった。で、団長の家に押しかけようと思うがどう思う?」

お父さんの言葉に恨めしそうな表情のジナルさんたち。

「少し、待て」

ガリットさんが諦めた表情でお父さんを止める。

団長さんの家に押しかける方法は駄目なのだろうか?

「はぁ、何か秘密があるのだろうとは思っていたが、どうしてこうやばい情報ばかりなんだ!」

やばい情報?

「まぁ、そうですね」

確かにソラとフレムの存在は、世間に知られたら大変な事になりそうだよね。

「出会ったのが、ジナルさんたちやナルガスさんたちでよかったです」

「もうヤダこの子可愛い!……って駄目だ。アイビー! いいか、むやみやたらに人を信じたら駄目だぞ。特に俺とは今日が初めてだからな! 分かってるか? 他人を信じると痛い目に遭うからな!」

ピアルさんにちょこんと頭を小突かれる。

やっぱり彼らでよかったと笑うと、怒られた。

「アイビー、本当に警戒してくれ。心配になる。ドルイドさんも止めてくれ」

「まぁ、君たちは俺も大丈夫だと判断したし、ソラも問題ないと判断したからな」

ナルガスさんの言葉にお父さんが返答すると、何人かが首を横に振った。

「それ以上詳しく話す必要はない。なんだかまた余計な情報が聞こえてきそうだ」

余計な情報?

不思議に思い皆を見るが、苦笑いされた。

「それより確かめたいことがある」

アーリーさんのちょっと真剣な声に、全員が視線を向ける。

「その団長に使ってくれるポーションの値段は?」

値段?

「無料」

「………………無料?」

あれ?

アーリーさんの顔が怖い!

「いいかいアイビー」

「はい」

少し低くなった声に背筋が伸びる。

お父さんをそっと窺うと、苦笑している。

何が駄目だったの?

「団長は重病なんだ。どんなポーションも効果が出なかった」

そうなんだ。

フレムのポーションで治るかな?

不安になってきた。

「治らなかったら、すみません」

「いや、それが問題ではなくて。どうして無料なんだ? 普通はお金を取るだろう? もし治ったら、それこそ団長の資産を根こそぎ貰ってもいいぐらいだぞ」

資産を根こそぎ?

「いやいやいや、なんですかそれ。怖いです」

「それが普通だから」

普通なの?

そう言えば、ソラのポーションとフレムの魔石が金板になったな。

余裕があればもっととか……。

でも、今回はまだ効果があるのか不明だし。

実験的ともいえる投与だし。

「今回はフレムのポーションの効果を試したいという意味もあるので、無料でいいですよ。お父さんもいい?」

「アイビーのしたいようにしたらいいよ」

「ドルイドさん……はぁ、では今回は無料で提供していただくという事で」

アーリーさんは真面目だね。

「……アイビーって本当にいい子だよね。ドルイドさん、アイビーを頂戴?」

「くたばれ」

な、なんの話?

なんでお父さんとピアルさんが、いきなり喧嘩になるの?

と言うか、お父さんの目が怖い。

「話を戻すぞ」

ガリットさんの言葉にお父さんがピアルさんから視線を外す。

それにしても頂戴って、私は物ではないのだけどな。

「とりあえず、団長の家に向かうのはナルガスたちとドルイドとアイビー。ナルガス、アイビーを守れよ」

「分かった」

私?

まぁ、弱いからね。

「お世話になります」

頭を下げるとポンとガリットさんに頭を撫でられる。

「世話になっているのはこっちだけどな」

そうかな?

「あれ? ドルイドたちは冒険者ギルドに登録してないよな」

「あぁ、それがどうした」

フィーシェさんがお父さんと私を見る。

「冒険者ギルドに魔法陣があるなら、ドルイドたちはどこで術に掛かったんだ? 冒険者ギルドに行った事があるのか?」

そういえば、どうだったかな?

「行ってないな。俺たちが行ったのは商業ギルドの方だ」

「商業ギルドももう一度調べる必要がありそうだな」

ジナルさんたちが、調べる箇所をもう一度洗い直している。

ナルガスさんたちは、団長の家に向かうための準備に取り掛かった。

「暇だね」

その様子をお茶を飲んで眺めるお父さんと私。

ソラたちは楽しそうに家の中を飛び跳ねている。

「そうだな。フレムのポーションが効いたら、まずは目標達成。次はギルマスか?」

「副団長の方が簡単そうじゃない? 団長に呼び出してもらえばいいんだし」

「それもそうだな」

準備を終えたピアルさんが、ちょっと呆れた顔をしてこちらに来る。

「ドルイドたちを見ていると、なんだか力が抜けるよ」

「そうか?」

「あぁ」

私の隣の椅子に座るピアルさん。

部屋の中を見渡して、あるものを見て笑った。

視線を追うと、ジナルさんとナルガスさんが顔を突き合わせて話をしている。

「ありがとう。ナルガスの背中を押してくれて」

ピアルさんの言葉に首を傾げる。

そんな事をした記憶はない。

「あいつはずっと素直になれなかったからさ。ジナルさんの事を尊敬しているくせに」

ピアルさんを見ると、嬉しそうに笑っている。

ナルガスさんもジナルさんと何か楽しい事でも話したのか、隠しているが楽しそうだ。

「そういえば、ポーションはどこにあるんだ? 持ってるのか?」

あっ、広場にあるテントに取りに行かないと。

でも、ナルガスさんたちの家からだと少し遠いな、団長の家は広場とは反対側にあると聞いたし。

そう言えば、さっきポーションの空瓶を見たな。

「フレム、ちょっとお願いがあるの」

「てっりゅ?」

「重病の人がいるからフレムのポーションが欲しいの。作ってくれる?」

「てっりゅりゅ~」

「空のポーション瓶ありますか? あと、捨てる予定の赤と青のポーションがあったら欲しいです」

「作る? えっここで?」

「ピアル、ポーションと瓶だ」

ピアルさんが小声で何か言っているが、聞き取りづらい。

「はぁ、分かった。持ってくるよ。空瓶は何本だ?」

「1本でいいですよ」

これでここからすぐに団長さんの家に行ける。

「はい。こっちの変色したポーションはどうするんだ?」

ピアルさんから、変色した赤のポーションを11本貰う。

思ったより多かったな。

「フレムの食事です」

それをフレムの前に並べると、さっそく食事を始める。

「てっりゅりゅ〜~」

気付けばソラも傍に寄ってきていたので、貰った青のポーション9本をソラの前に並べる。

「ぷっぷぷ~」

嬉しそうな声を上げて、ポーションを食べだすソラ。

最近バタバタして、捨て場に行けてないもんね。

と言うか門が閉まっているため、捨て場に行けない。

まだ少し余裕はあるけど、捨て場でポーション集めたいな。

ソルのマジックアイテムも必要だし。

「すごいな、瓶ごと食べるだなんて」

気付けばピアルさんだけでなく、準備を終えたジナルさんたちやナルガスさんたちもソラたちを見ている。

「てりゅ」

フレムの声に、空き瓶を目の前に置く。

するとフレムはその瓶をぱくりと食べるとじっと目を閉じた。

ソラはその間に食べ終えて、シエルたちのもとに遊びに行った。

「「「「「「「おぉ~」」」」」」」

フレムが赤いキラキラ光るポーションを出す。

何だか今日は特にキラキラしている気がする。

気のせいかな?

「ありがとう、フレム。団長さんに効くかな?」

「てっりゅりゅ~」

フレムは自信があるみたい。

なら、きっと大丈夫だな。

「さて、準備が終ったみたいなので団長さんの家に行きましょう」

何だか周りがざわざわ煩いけど、まずは団長さんをこちら側に引き込まないとな。