軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

401話 次は何をする?

「で、これからどうするつもりだ?」

お父さんが、ジナルさんたちとナルガスさんたちに訊く。

現状はとても悪い。

ジナルさんたちが確認したところ、ほぼすべての冒険者たちが術にかかっている状態らしい。

そして元凶となる魔法陣のありかは不明。

ギルマスも術の影響下にあるため当てにならず、しかも敵が近くにいる可能性がある。

自警団の団長は病気のため、家で療養中。

副団長も確認したところ術にかかっている事が分かった。

「見事ですね」

ちょっと感動してしまった。

ここまで敵ばかりだと手も足も出ない。

八方塞がりというやつだよね。

「褒めている場合ではないんだけど、さすがだと思うよ」

名前の分からなかった最後の1人。

彼はアーリーさんと言って、4人の中で一番年上の30歳。

真っ赤な長髪が特徴的。

「とりあえず、二手に分かれて情報収集か?」

フィーシェさんの提案にそれぞれが考えてから頷く。

確かに情報が少ないんだもんね。

そう言えば、

「あの、冒険者の人たちが術にかかっているのは分かったんですが、村の人たちはどうなんですか?」

村のすぐ傍まで魔物が来ているのに、緊張感がない。

やはり術にかかっていると言えるのだろうか?

「それは不明だな。村の人たちの様子は情報、というより冒険者の態度で変わる。冒険者が悠然と構えているから危機を感じ取れていない可能性が高い」

そうなんだ。

確かに冒険者たちがどっしり構えていたら、対応できるからだと思うよね。

そう言えば調査隊が戻ってきた時は、村の人たちも少し緊張してたよね。

これからどうなるのかって。

あの後、冒険者たちが通常の生活に戻ったため安全だと判断したという事か。

あれ?

門番さんたちは、冒険者が襲われた時すぐに警戒態勢を整えたよね。

術に掛かっていたら、放置するのでは?

「門番さんたちも術に掛かっていますか?」

「門番? もしかして冒険者が襲われた後の態勢の事か?」

ガリットさんが私たちと出会った時の事を思い出してくれたようだ。

「はい。術に掛かっていたら放置しそうだなって思って」

「あれは規律に従っただけだろうが、確かに調べておく必要があるかもな」

ジナルさんも気付いたのか賛同してくれた。

良かった。

「他に気になる事はあるか?」

フィーシェさんが、全員に訊く。

「気になる事はあるが、こんな状況では身動きできないな」

ナルガスさんがため息を吐く。

他の『蒼』のメンバーたちも神妙に頷いている。

「魔法陣がどこにあるのか、これが重要だよな」

フィーシェさんの言葉に頷く。

元凶をどうにかしないと術を解いてもまた掛かる可能性がある。

でも、何処にあるんだろう?

ジナルさんたちの調べだと、冒険者たちはほぼ全員が術に掛かっていると言っていた。

という事は冒険者たちが必ず立ち寄る場所に設置することが重要になる。

彼らが必ず通る場所は、門、大通り、宿?

広場があるから全員では無いな。

広場と宿のどちらにも魔法陣を設置したとか?

でも、誰かに気付かれそうだよね。

そう言えば、隣のテントの家族はどうして子供たちだけ術に掛からなかったのだろう?

何か思い出すことは無いかな?

色々聞こえてきたけど。

何だろう、何か聞いた気がする……あっ、そうだ。

確か子供たちが父親に「僕たちも冒険者ギルドに行ってみたい」とお願いしていたんだった。

確か、朝ごはんを食べている最中に。

でも、両親のどちらもなぜか首を縦に振らなくて、しばらくしたら不貞腐れながら留守番をしていたな。

もし、これが術に掛かっている人と掛かっていない人を作ったのなら、元凶は冒険者ギルドになるのでは?

でも、ジナルさんたちの事だから調べたよね。

「どうした? 気になることがあるなら何でもいい、話してくれ」

ジナルさんが真剣に訊いてくる。

何が突破口になるか分からないし、言うだけ言っておこう。

「冒険者ギルドは調べましたか?」

「冒険者ギルド? あの場所は最初に調べた。俺たちの中でも一番怪しい場所だったからな。だが、何も出なかった。アイビーが、冒険者ギルドが怪しいと思った理由はなんだ?」

ジナルさんが神妙な表情で訊いてくる。

もしかして気分を害してしまったかな。

でも、口から出た言葉は取り消せないし、とりあえずお隣の子供たちの事を話しておこう。

「確かに、親が術にかかって子供がかかっていないとなると、アイビーの話は重要だな」

アーリーさんには、納得してもらえたようだ。

良かった。

「だが、冒険者ギルド内は調べたぞ」

ジナルさんが一緒に調べたのだろう、ガリットさんに賛同を求める。

ガリットさんがジナルさんの言葉に頷く。

「だが詳しくは、調べられていないだろう?」

「まぁな。マジックアイテムを使ったが、あれにも限界がある」

ナルガスさんの言葉にガリットさんが頷く。

魔法陣を探すマジックアイテムがあるんだ。

知らなかったな。

「俺たちでも無理だろう」

この村で上位冒険者のジャッギさんたちも無理なのか。

ん~、やはり権力のある人を味方にしたい。

やはりギルマスさんかな?

いや、病気で療養している団長さんの方が都合がいいかもしれない。

確か自宅で療養中だと言っていた。

「団長の家に押しかけるか」

お父さんの言葉に、私以外の全員がぎょっとした表情をする。

「お父さん、私もそれを考えてたの。ギルマスさんより団長さんの方が楽だよね」

「あぁ。家は村の中心からは随分と離れた場所にあるらしい」

「そうなの?」

「調べておいた」

「さすが!」

中心から少し離れた家なら、押しかけやすいよね。

家に誰かがいたとしても、ジナルさんたちならどうにかしてくれそうだし。

その隙を狙って、団長さんにフレムのポーションを飲ませればいい。

ただ、心配なのは病気が何かを知らない事だよね。

フレムのポーションでどうにかできればいいんだけど。

「待った! いったいどうしてそんな話になるんだ?」

お父さんと私が首を傾げる。

「どうしてって、人を動かせる権力を持った者を味方にした方が動きやすいだろう。違うか?」

お父さんが当然というように言う。

彼らが大きなため息を吐く。

何か間違ったのだろうか?

「それはそうだ。だが団長は病気だ。病気で療養中。重い病気なんだよ!」

ジャッギさんが苛立ちながら話す。

「知っているが問題ないだろう。病気は治せばいいのだから」

「「「「「「「はっ?」」」」」」」

なぜか全員がすごい面白い表情をした。

お父さんと私は首を傾げる。

「何を驚いているんだ? 病気のままでは動けないだろう」

お父さんが眉間に皺を寄せる。

「いや、だから団長は重い病気なんだよ。医者も『手の施しようがない』と言っていた!」

ジャッギさんが椅子から立ち上がって怒鳴る。

怒らせてしまったようだけど、どうして怒るの?

病気ならフレムの……、

「「…………あっ!」」

もしかしてフレムの事を話してない?

あれ?

話さなかったっけ?

どうだっけ?

でも、彼らの様子から話してないよね。

「あのですね、お話ししていない事がありまして」

「なんだろう。なんだか聞くのが怖い気がする」

少し前に新たに契約した1人、ピアルさんがなんだか警戒をあらわにする。

「一度も怖い話などしていませんが?」

いったい何のこと?

「あはははは」

何だか疲れたような笑いを返された。

まぁ、いいや。

とりあえずフレムの事を紹介しておこう。

「フレム~。ちょっと来て」

私の言葉に家の中で遊び回っていたフレムが足元に飛び跳ねてくる。

それを抱き上げて太ももに乗せる。

「この子は病気を治すポーションを作ることが出来ます。なので試してみましょう」

「やっぱり」

ピアルさんが大きなため息をつきながら頭を抱えた。