軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

324話 目がちかちか

「う~、目が疲れた~」

座っていた状態から後ろに倒れる。

黒い岩の洞窟なので、灯りをつけても天井あたりは薄暗い。

なのに、その薄暗い中にキラキラ光る宝石が無数に見える。

「本当にこの洞窟って、ダイヤモンドが全面に埋まってるよね。すごい宝石だと教えてもらっても、これだけあると価値が分からなくなりそう」

「確かにな。こんな洞窟があるなんて聞いたこと無いから、知られていないんだろうな」

「うん。知られたら冒険者が押し寄せるよ」

「そうだな。内緒だなって、そもそもここがどこか分からないんだった」

「アハハ、そうだった」

シエルに誘導されてきた森の中。

地図を見てもこの場所は特定できない。

「しかしこれだけあると選ぶのが大変だな」

ダイヤモンドは透明であればあるほど、高額で取引されるらしい。

なのである程度選んで採掘し、その中からいいモノだけを選んで持って行く事にしたのだが、選ぶのが大変だった。

ずっとダイヤモンドを見続けていると、どれも一緒のように見えてきて分からなくなる。

そして何より、目が痛い。

「まぁ、とりあえず30個。確保だな」

「うん。でも、最後の方に選んだの自信ないな」

最初はかなり頑張ったけど、最後の方はちょっと適当に選んでしまった。

なので透明ではあるけれど、いいモノかどうかは不安だ。

「まぁ、大丈夫だろう」

ドルイドさんが大きく伸びをする。

ほぼ1時間、2人でダイヤモンドを選んでいたので筋肉が固まっている。

寝っころがっていた状態から起き上がって、腕を伸ばす。

横を見ると尻尾をゆらゆらと揺らして、のんびりしているシエル。

「シエル、良い場所を教えてくれてありがとう」

そっと頭を撫でる。

「にゃうん」

目を細めて頭を掌にすりすりと擦りつける。

尻尾も嬉しそうに、でも加減して揺れている。

「さて、そろそろ行こうか」

ドルイドさんがダイヤモンドをマジックバッグへ仕舞う。

「うん。ソラ、フレム、ソルって」

3匹で楽しそうにダイヤモンドを転がして遊んでいる。

遊んでいるダイヤモンドも結構きれいだ。

「楽しそうだな、遊んでいる物がちょっといただけないが」

「うん。まぁ、ここでだけだから」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

3匹を呼ぶと、遊んでいたダイヤモンドを転がしながら近づいて来る。

これってもしかして、遊び道具として持って行くつもりなのかな?

「それ、持って行くの?」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

3匹は期待した目でじっと見つめてくる。

これは期待に応えたい。

でもダイヤモンドを転がして遊ぶスライム……見られたら色々やばいな。

「絶対に誰にも見られないように気を付けてね」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

大丈夫だと信じよう。

ソラからダイヤモンドを受け取る。

「すごい透明度」

「本当だ。かなりいいモノだな」

…………まぁ、いいか。

ソラたちが入るバッグへと入れておく。

知らなければ、ただのガラス玉に見えるはず。

だってまさか、ダイヤモンドを転がしているとは思わないだろうから。

洞窟を出ると既に太陽は真上。

お昼を過ぎた頃かな。

「シエル。ここからハタヒ村まで、えっと、5日以内に着く?」

「にゃうん」

「そっか。ありがとう」

ここから5日以内。

予定より早めにハタヒ村に着けそうだな。

「アイビー、果物だ」

「この時期に?」

まだ春だ。

冬が終わったばかりなのに果物?

1本の木の下へ行き上を見上げる。

確かに何かの実がなっている。

真っ赤な色をした実。

「これは食べられるの?」

「どうだろう? 俺も見たことがない実なんだ」

ドルイドさんが知らない果物か。

森の中には人に知られていない果物や木の実がまだまだある。

これもその内の1つなのかな。

「皆、これって食べられるかな?」

「ぷっぷぷ~」

「てっりゅりゅ~」

「ぺふっ」

「にゃうん」

一斉に返事をしてくれた。

食べられるらしい。

皆の返事を聞いて、ドルイドさんが真っ赤な実を1つもぎ取る。

「甘い匂いだな」

ドルイドさんが私の鼻先に果物を持って来てくれた。

すると、ふわりと甘い匂いが漂う。

「本当だ、甘い匂いがするね」

これは期待できそう。

小型のナイフを出して果物を切る。

甘い匂いが濃くなる。

「いい香り」

ひと口大に切った果物を口に入れると、ジュワっと果汁が口に広がる。

そして、甘味。

冬の間は果物を食べる機会はぐっと減る。

なので久々の果物の甘味が体に染み渡る。

「美味しい」

問題が無いようなので、ドルイドさんにもひと口大に切って渡す。

「普通は俺が先に食べて確かめないか?」

文句を言いながらも果物を食べるドルイドさん。

「確かに美味いな」

「ちょっと収穫していっても良いかな? 食後に食べたい」

「問題ないだろう。あっ、あれが使えるかも」

ドルイドさんがマジックバッグから、棒のようなモノを取り出す。

「何それ?」

「マジックアイテム、果物や木の実の収穫に役立つらしいから買ってみた」

買ってみたって……。

いつの間に買ったんだろう、まったく知らなかったな。

マジックアイテムを見るが、持ち手部分に1つボタンがあるただの棒に見える。

ドルイドさんがボタンを押すと、棒がスーッと伸びていき先端が網に変わった。

「ある程度の高さまでは自動で棒が伸びるらしい」

「すごいね、いつも諦めていた高いところの果物や木の実も収穫できそう」

ある程度の高さの果物は木に登って収穫しているけど、どうしても無理な場所がある。

気のせいかもしれないけど、届かない場所にあるモノの方が美味しそうに見えてしまうんだよね。

「前に言っていたよな。無理して怪我をした事があるって」

「うん」

枝が折れて落ちたんだよね。

シエルが助けてくれたけど、足を怪我してしまって。

あれは痛かったな。

「これがあったら怪我の予防にもなるだろう」

もしかしてだから買ってくれたのかな。

「ありがとう」

私がお礼を言うとドルイドさんがポンと頭を撫でてくれた。

「さっそく試すか」

ドルイドさんが真っ赤な実を網の中に入れる。

すると真っ赤な実が網の中にころりと落ちた。

「すごいね。どうやって木から切り離したんだろう?」

実が落ちたのは見えたが、どうやって切り離したのか全く見えなかった。

「風魔法かな? ここからだと良く分からないな」

網から実を取り出すと、本当に実には一切傷が無い。

枝に付いた切り口も、とても綺麗だ。

「安かった割には良いアイテムだな」

ドルイドさんが満足そうに何度も頷く。

「私も試して見ていい?」

「もちろん」

彼からマジックアイテムを受け取り、真っ赤な実を網の中に入れる。

すると、すぐにころりと網の中に実が落ちた。

「やっぱり、すごい! 切った時の衝撃もないし。重さも軽減されてるのかな? 軽いよね」

「想像した以上のアイテムだったようだな」

「うん。ありがとうドルイドさん」

アイテムを駆使して果物を収穫していく。

高いところも、木に登ること無く収穫できるので助かる。

「何個になった?」

「23個」

「こんなモノかな?」

木にはまだ果物があるが、どれも少し色が悪い。

真っ赤な実だけを選んで収穫できるのも、いいな。

「そろそろ行こうか」

「はい」

夕飯の後に食べようかな。

楽しみだな。