軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

275話 いつもの冬?

ようやく、サーペントさんが落ち着く頃にはなんというかまぁ、3回ほど濡れた布で顔全体を拭かなければならない状態になっていた。

そして、髪に付いたよだれは拭きにくい。

大きなサーペントさんの舌は大きいです。

「サーペントさん、この魔法陣が何か知ってる?」

私の言葉に、サーペントさんが地面をじっと見つめる。

そして私の方を見て、体を少し持ち上げてから顔だけを横に傾けて、

「くるっ」

えっと、『知らない』と言っているのかな?

それにしても少し体を持ち上げただけなのに、私より高い位置に顔がある。

本当に大きいな。

「知らないって言ってるの?」

頷くサーペントさん。

当たってたみたい。

「シエルたちで慣れたけど、さすがアイビーだよな。何の違和感もなく会話始めるんだから」

ドルイドさんが、何かぼそっと言っている声が聞こえたので視線を向けるが首を横に振られた。

気にしなくていい事らしい。

「体はもう大丈夫? そう言えば、フレムが作った魔石はどうしたの?」

あっ、しまった。

矢継ぎ早に質問してしまった。

「くるっる」

サーペントさんは鳴くと、ぐっと顔を私の目線になるまで下ろしてきて舌を出す。

また、舐めにきたのかと焦ったが今回は違ったようで、舌の上に灰色の石が乗っていた。

石を舌の上から貰い受け、じっと見つめる。

最近よく目にする石に似ている。

「これってもしかして魔石?」

「くるっる」

1回頷いてから鳴くサーペントさんに、正解だと知る。

あの綺麗だった魔石は、魔力を使い切ってしまったようだ。

残念。

しかもこの元魔石、何故か2つにわれてしまっている。

「どうした?」

ドルイドさんが隣にきて私の手元を覗きに来る。

「魔石が割れてる」

「そうか、どんな魔石なのか不明だから何とも言えないが、魔力を引き出すのに負荷が掛かり過ぎたんだろう」

「負荷?」

「あぁ、魔石の力を無理やり発動させたり、急激に引き出したりすると魔石がその強さに耐えられず割れる事があるんだ」

「そんな事があるんだ。知らなかった」

「くるっ」

「にゃうん」

「ぷっぷぷ~」

「てりゅ? てっりゅりゅ~」

ドルイドさんと2つにわれた魔石を見ていると、楽しそうな声が聞こえた。

そちらに視線を向けると、サーペントさんとソラたちに黒の球体たちが楽しそうに戯れている。

「随分、楽しそうだな」

「うん」

あれ?

そう言えば、雨の音が聞こえない。

「ドルイドさん、雨の音がきこえない気がする」

「ん? そう言えばそうだな。止んだのか? だったら、その間に村に戻りたいのだが」

ソラたちに声をかけて、洞窟の入り口へ向かう。

「まだ少しふらついているな」

ドルイドさんが私の背中を支えるように手を置いてくれる。

確かに歩くことは出来るが、まだ先ほどの影響なのか足下がふらついてしまう。

「仕方ないです。でも、少しずつ元に戻っているはずなので」

「はずって。大丈夫か?」

「だって、こんな事になったこと無いから」

あれ程の魔力を浴びた経験はない。

森の中で、本に載っていた上位魔物と遭遇した時もあんな強い魔力は感じなかった。

「経験したことがないので、どれぐらいで元に戻るのか分からないし」

歩き出して気が付いたが、両足に痺れ? のようなモノを感じる。

ただ、歩くのに支障があるわけではないので大丈夫だとは思うけど。

ん~、強い魔力って影響力が大きいんだな。

「ドルイドさんは大丈夫?」

「ん? あぁ、確かに魔力に拒絶反応は起こしたけど何とかなったみたいだ」

「そっか」

これは経験の差なのだろうか?

それとも私の魔力が低すぎるせいかな?

確かドルイドさんは魔力は高めだと聞いたような気がする。

「あっ、雪だ」

ドルイドさんの言葉に、こけないように慎重に下を向いて歩いていた視線がパッと前を向く。

目に入ったのは、洞窟の外に見えた白い雪。

「えっ本当だ! 雪ですね。あっ、寒さも落ちついてるのかな?」

良かった、何があったかは不明だけど、雪になってる。

これでいつも通りの冬になるのかな?

それとも一時のことなのかな。

まだ不安要素はあるけど、とりあえず今は雪に変わった事を喜んでおこう。

「あの魔法陣が何か関係してたりするのか?」

ドルイドさんの言葉に、背中に冷たいものを感じた。

……ありえそう。

そして、もしかしてまた問題の真ん中にいるのかな私。

って、気付くのが遅すぎる。

「どうした?」

「いえ、何でこう巻き込まれる体質なんだろうなって」

「えっ…………あぁ、なるほど。確かに」

不本意だけど、ものすごく納得された。

「ぷっぷぷ~」

あれ?

ソラの声?

後ろを振り向くと、にょきっと巨大な影が。

「ぎゃっ!」

カチャッ

「……サーペントさん、音もなく後ろに来るのは止めてほしい」

驚きすぎて、凄い叫び声をあげてしまった。

恥ずかしい。

「くるるる?」

巨大な影は、皆を背中に乗せたサーペントさんだった。

気配も音もなく、真後ろにいるものだからドルイドさんもかなり驚いている。

なんせ、とっさに剣に手をかけるほど。

良かった、抜かなくて。

「ふ~、とりあえずアイビー、村に戻って報告して来よう。少し寒さも落ち着いているし、またいつあの寒さと雨が戻って来るか分からないからな」

「うん。サーペントさん、ここに冒険者たちが来るかもしれないから気を付けてね」

「くるっ?」

首を傾げたということは理解できなかった?

「冒険者の人たちがさっきの魔法陣を見に来るから、姿を見られたくないと思ったら隠れていた方がいいよ」

「くるっる」

この鳴き方は『分かった』の方だから、理解してくれたみたいだ。

それにしてもサーペントさんは頭が良いな。

「ここで冒険者たちを待ってる?」

「くるっ」

先ほどとは鳴き方が違うな『いいえ』かな?

となると、戻って来た時にはいないのか。

また会えるかな?

「また、会おうね?」

「くるっる」

良かった。

「シエル、スライムになってもらっていい?」

私の言葉にすぐさまスライムになるシエル。

うん、相変わらず速い変化だな。

皆をバッグに入れて、雪で濡れないようにしっかりと蓋を閉める。

「サーペントさん、気を付けてね」

「くるっる」

「サーペント、何者かが狙っているのは間違いないから気を付けろよ」

「くるっる」

手を振って、洞窟の外に出る。

寒さが落ち着いたとはいえ、寒い。

足早に村に向かう。

「アイビー、足は大丈夫か?」

「えっ。あっ、大丈夫です!」

気付かないうちに痺れも消えている。

良かった。

治らないんじゃないかと不安だったんだよね。

本当によかった。