軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

169話 制限?

ドルイドさんが持ってきた剣を次々と食べていくソラ。

正直その勢いにちょっと引いてしまう。

今、食べ終わったので18本目だ。

「すごいな。全ての種類を食べるなんて」

ドルイドさんは別の事で感心しているようだ。

剣の違いが良く分かっていないので、その辺りの事は理解が出来ないがたぶんすごい事なんだろうな。

そして最後の1本。

今までの剣とは少し違う作りだと分かる。

真剣は、切る部分にとても綺麗な輝きを持っている。

「真剣を捨てる人がいるんですね?」

鍛冶師に鍛えてもらうという事は、かなりお金を出しているはず。

なのに、捨てるなんて。

「手入れの悪さで欠けたりすると、再度鍛え直してもらうんだが最初よりお金がかかるんだ。だから新しい剣を作るか、ドロップ品を鍛え直してもらう奴の方が多いかな。まぁ、金出して鍛えてもらったんだから、しっかり手入れしろよって話なんだがな」

ドルイドさんがちょっと呆れている。

確かにお金を出しているのに、もったいない。

私だったら、間違いなく1本をこれでもかと手入れして大切にするな。

お金は大切です!

「なんか、ソラの勢いを見ていると試したくなくなるな」

ソラを見る。

大量の剣を食べて、かなり機嫌がいい。

しかも、既にドルイドさんが持っている最後の剣をじっと見つめている。

……試す前に、答えが出ているような気がする。

「でもあげなかったら、ソラに襲われそうですよね」

「確かに、すごい見つめているからな」

ドルイドさんと顔を見合わせて苦笑いする。

そして最後の1本を差し出すと。

きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~、きゅしゅわ~、きゅしゅわわ~。

「……真剣を食べるスライムか~、しかもこの速さ。レアの上って何だろうな?」

遠い目をするドルイドさんを見て、笑ってしまう。

その間にもどんどん剣は消化されていき、消えていった。

「ぷっぷぷ~、ぷぷっぷぷ~」

相当機嫌がいいな。

ソラがピョンピョンと飛び跳ねてシエルのもとへ向かう。

そしてそのままお腹の辺りに飛び込みプルプルと揺れている。

なんだかシエルに喜びを報告しているみたいだ。

あの風景は可愛いし癒されるのだけど、真剣も食べた後だからそれも半減してしまいそうだ。

そう言えば、前の私からの感覚だとずっと違和感を覚えることがある。

ちょうどいいから、聞いてみようかな?

「あの、ちょっと聞いて良いですか?」

「あぁ、どうしたんだ?」

「ビンとかお皿とか再生させないんですか?」

「している町もあるぞ」

「えっ! そうなんですか?」

「あぁ、でも再生させるには、一度解体スキル持ちが物を解体させて材料に戻す必要があって手間がかかるんだ」

はっ?

わざわざ解体スキルが必要なの?

「で、解体された各材料を商品にするには木工、石工、硝子工などの作成スキル持ち、しかも星が3つ以上ないと再生できないんだ」

手間以上に星が3つ以上のスキル持ちを探す方が大変だ。

それにしても何だろうその制限。

解体スキル持ちに星が3つ以上なんて。

誰かが、再生させたくないから編み出した方法みたいだ。

「それに、魔物からいくらでも材料はドロップされるし、ドロップした材料だったら星が2つで作れるからな、壊れたらすぐに捨てる文化が根付いてしまったんだよ」

「でも、捨て場がどんどん大きくなっているって問題になってますよね」

「あぁ、スライムの処理が追いついていないからな。王都では再生利用するようにとお達しが来るが、解体スキル持ちと、それを利用して物を作れる星3つ以上なんてそうそう集められない。だからどうしても捨て場が広がってしまうんだ」

なるほど。

「解体スキルの人以外が解体するとどうなるんですか?」

「小さなゴミがいっぱい出来るだけだな。細かくなりすぎると解体スキル持ちも手に負えないらしい。王都では研究が色々されているらしいが、あまりいい結果にはなっていないんだろうな。何も伝わってこないから」

そうなんだ。

「そういえば王都では以前、スキルを持っていない者たちにビンを作らせた事があったらしい」

「えっ、作れるんですか?」

「作ることは出来たらしい。だが1週間もしないうちに作った全てのビンにヒビが入るなどして、使い物にならなかったと聞いたな」

色々と研究はされているのか。

「まぁ、箪笥などの木で出来た物は解体スキルは必要ないけどな。使えなくなったら壊して冬場の焚火の材料だ」

確かに、時々捨てられているのは魔法が付与されている物だ。

「だったらお皿のヒビも、解体せずにヒビを埋める方法があるのではないですか?」

「ん? それは既にやっているぞ?」

えっ?

でも、捨て場で時々見かけるけど。

「まぁ、金を持っている奴は捨てたりするがな」

なるほどお金持ちが捨てていたのか。

「ソラみたいな子がいっぱいいたら、問題が解決なんだけどな」

確かに、ソラみたいな子は活躍しそうだ。

ソラ1匹でも、これからは行くところ、行くところで剣のゴミは食べつくしそうだし。

「修理スキルとかないんですか?」

「修理スキル? 魔道具を直すことが出来るスキルの事か?」

魔道具を直す?

「それは知りませんが、そのスキルでは修理できないんですか?」

「ん~、聞いたことがないが。修理スキル持ちは珍しいからな」

あぁ、珍しいのか。

だったら、駄目だな。

それにしても。

「スキルに頼りすぎ!」

「えっ? アイビー?」

えっと、今何か叫んだな。

……前の私かな?

こんな事、今まで無かったから驚いた。

「えっと、前の私がいきなり叫んだみたいです」

「……そうなんだ」

「はい、初めてのことなので驚きました」

「初めて?」

「はい。今まで頭の中に声が浮かんだことはありますが、口から飛び出した事はなかったので」

なかったよね?

えっと……たぶん、無いはずだ。

「スキルに頼りすぎか。なんだか面白い言葉だな」

面白いか。

私は2つの世界を知っているから、何とも言えないな。

前の私が、このスキルで仕事が決まってしまう世界を見ると違和感を覚える。

なんだか生まれた時から、決められた道を無理やり歩かされているみたいだと。

でも、今の私が前の私の世界を感じとると、それにも違和感を覚えるのだ。

何も決められていないことに。

それで、その世界にいる全ての人が仕事にありつけるのだろうかと。

今の世界では、スキルに合う仕事が絶対にある。

なので、全員が仕事につけるようになっている。

ときどき、人数が多すぎて町や村を移動することをお願いされる事はあるが、仕事にはありつける。

そしてそれがこの世界の常識なので、違和感を覚える人はいない。

そう、常識なのだ。

前の私から見て、ものすごく違和感があったとしても。

そして今の私が前の私の世界に感じる違和感も、あちらの世界では常識なのだろう。

「さてと、ソラの重要度も上がった事だし、どうしようか?」

……そうだった、ソラは真剣を食べてしまったんだった。

「どうしましょう?」

「そうだな、とりあえず秘密だな」

そうだろうな。

話を聞く限り、気軽に話せる内容ではないな。

「ソラの秘密が増えていきます」

「そうだな。まぁ、俺も隠すのを手伝うよ」

ドルイドさんの言葉に、頭を下げる。

「ありがとうございます」

彼が居なかったら真剣と多剣なんて知らなかったからな。

ソラを見る。

……どうして、捨て場を見つめているんだろう。

まさか、まだ食べ足りないとか?

「一回、何本ぐらい食べるのか試したくなるな」

ドルイドさんの言葉に即座に

「なりません!」

と、答えてしまった。

だってなんだか、恐ろしい結果を招きそうなんだもん。