軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日談159話、目当てのモノを探しにきたけれど……

ソウヤとフォルスは大地竜の島を離れ、南へと飛んだ。

海の上を飛んでいる間、フォルスはしきりにソウヤの調子を心配していた。

精神の集中、大地への語りかけ――いまいち理解できないが、それでソウヤの様子がおかしくなったからだ。

飛行しながら、新たな大地竜は考え事をしているように視線が、ここではないどこかに向くことがしばしばあった。

やがて、南海の孤島に二人のドラゴンは降りた。木々が生い茂るその島は、同じく孤島ながら大地竜の島とはまた雰囲気がかなり違う。

「南国の植物なんだよなぁ」

ソウヤは人型になり、真っ白な砂浜を見渡す。森の中からは鳥の鳴き声が聞こえた。

「それで、ソウヤさん」

フォルスもまた人型形態、若者冒険者風の姿になる。

「ここにバァ金属というのが、あるんですか?」

「……」

「ソウヤさん?」

「あるよ。ちょっと地下になるけどな。洞窟がある。そこまで行こう」

ソウヤは促しながら苦笑する。

「フォルス、お前背伸びしていないか?」

「え、何です?」

キョトンとするフォルス。背伸びなどしただろうか?

「お前のその喋り方、大人アピールかしらんが、どうも落ち着かないな。普通に話せばいいのに妙に改まったりしてさ」

「そう……ですか?」

首をかしげるフォルスである。

「変……かな?」

「突然変わるから、何つーか、違和感があるっていうか。アクアドラゴンほどじゃないけど……。あれは見習ったらダメな例だぞ」

もしかしたら、アクアドラゴンの影響かもしれないとソウヤは思った。もともとドラゴンが人間のフリをすれば、そういうこともあるのかもしれない。ドラゴンの時こそ本性。子供向けの昔話やお話で、たぬきが化けると何故か尻尾が生えていてバレバレだったりするアレに近いかもしれない。

「お前、冒険者として人間と活動したことあるんだろう? 他の冒険者からツッコまれたことない?」

「ないです。……そんなにおかしいかなぁ?」

「まあ、いいさ。人間と接していれば、よりわかってくるだろうさ」

そうこう雑談しているうちに、森を進み、地下へと下っていくタイプの洞窟に到着する。入り口はかなり大きく、ドラゴンの姿であっても楽に通れる大きさがあった。

フォルスは辺りを見回す。

「この島の獣は、だいぶ大人しいね」

「オレたちがドラゴンだってわかってる……かどうかは知らんが、手を出したらヤバいって本能が理解しているんだろうな」

最強種であるドラゴンを前にすれば、大抵の動物は避ける。二人は洞窟に入った。

「大きい……」

「これ、ただの洞窟じゃないな」

「どういうこと?」

「おそらくだけど、何か大きなものが空から斜めに突っ込んできて、大地を抉った感じ」

つまりこの洞窟のような穴は、その何かが通った跡ではないか。

「そうなの?」

「オレが見た形も、もしかしたらそれを物語っているのかもしれない」

やがて、奥に辿り着いた。フォルスは口を開ける。

「これ、飛空艇?」

明らかに人工物が鎮座、いや地面に突き刺さっていた。本物の空洞にまで突っ込み、そこでようやく止まったという風だ。

これで爆発でもしていたら、洞窟ではなくクレーターになっていたかもしれないが、幸いなのか、この人工物が爆発することはなかったと思われる。

「飛空艇とも違うな」

ソウヤはしげしげとその物体を眺める。

「宇宙船かもしれないな。だが……この船体を構成しているのはバァ金属だと思う」

「これが、その探していたバァ金属?」

フォルスは、その黒い金属を軽く叩く。

「見つけたことは見つけたけど……これ」

「ああ、ちょっと、というかかなり思ってたのと違うよな」

大地竜の島での瞑想でも、おぼろけながら形はつかんでいた。まさかと思って実際に見てみたら、すでに加工済みのものだったとは。

「これは、もう一人の頼れる爺さんに聞いてみるしかないな」

・ ・ ・

もう一人の爺さん――ことジンは、南海の孤島へと飛空艇でやってくると、ソウヤたちの見つけた人工物をさっそく調べた。

「宇宙船ではないな」

老魔術師がきっぱりと言うと、フォルスが声を弾ませた。

「じゃあ、飛空艇?」

「まあ、それが一番近いかな。これは異世界で作られた空中船だね」

「異世界?」

ソウヤは目を剥いた。

「どういうことだ?」

「私も万能ではないのでね。ただ、この船に刻まれた文字には見覚えがある。私が……最初にいた世界の、それも古代文明時代のものだろう。私が最初にブァイナ金属と遭遇した文明の、ね」

「それが何でこの世界に?」

「さあ、それはわからない。……ソウヤ、ここ中への扉がある。開けてくれ」

ジンに促され、ソウヤは自慢の力でハッチをこじ開けた。近未来的な内装の船内は真っ暗だった。地面に突き刺さったようだが、特に壊れた様子はない。

「動力が死んでいるせいだろう」

ジンは言った。ソウヤは道なりに船内を進むと操縦席のあるブリッジに出た。人の姿はなかった。

「爺さん」

「外装がブァイナ金属だからね。そうでなければここも潰れていただろう」

早速調べ始めるジン。ソウヤはフォルスと顔を見合わせる。

「金属を探しにきたら、まさかこんなものに出くわすなんてな」

「ねー。想像してなかった」

フォルスも認めた。