軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日談54話、ドラゴンによる報復会議

浮遊島のドックに、ゴールデンウィング二世号が停泊する。

「ちょっとした様子見にしては時間が掛かったようじゃの」

アースドラゴンは、その仙人じみた姿でのんびりした調子だった。

「連れてこいとも言っておらんが」

「成り行きという奴です。オレの友人でした」

ソウヤは、視線を転じる。

ミスト、クラウドドラゴン、アクアドラゴンが、ライヤー、フィーア、コレル、フラッドと再会の挨拶を交わしている。

「――無事でよかった。心配してたんだぜ? セイジもソフィアも」

「ええ。元気そうでよかったわ、ライヤー。フィーアもね」

「どうも」

コクリ、とフィーアは、ミストにお辞儀した。フラッドが、アクアドラゴンに跪き、信仰する水のドラゴンを褒めちぎっている。対するアクアドラゴンは満足そうに胸を反らしていた。

――チョロいドラゴンだ。

ソウヤは思った。そこへジンがやってくる。

「ずいぶんと遅かったじゃないか」

「晩飯の時間までには帰ってきたつもりだけど。……それより、頼みたいことがある」

「薮から棒だね」

老魔術師は腕を組んだ。

「君が出かけて何も起こらないとは思っていなかったけど……」

「そう毎回何かあるもんか。ゴールデンウィング号を連れてきたのは、まあ――」

「そうだな。たまたま、だろうね」

で、何があった?――とジンの目が言っている。

「ひょっとしたら大したことはないかもしれないが、最悪の場合世界が滅びるかもしれないほどの大惨事の可能性」

「極端過ぎるな。存外大したことないことに期待したいね」

「オレもそうは思うけど。……それをはっきりさせるためにも力を貸してほしい」

「やれやれ。勇者殿は面倒事を引き当てるのがお上手で」

ジンはそこで前に出た。コレルとフラッドがやってきたからだ。

「元気そうでござるな、ジン殿。よくお戻りになられた」

「ありがとう、フラッド。コレルも元気そうだな」

「あんたもな。異世界に行ったって聞いたけど、どうやって帰ってきたんだ?」

コレルが挨拶するさまを見て、ソウヤは少し不思議な気分になる。銀の翼商会メンバーたちの中では、ソウヤに次いで中心メンバーだったジンであるが、元勇者パーティー組とは、さほど絡みを見た記憶がなかったからだ。もちろん、ソウヤとて、仲間たちの全てを見てきたわけではない。知らないところで交流していることもあるのだろう。

「おとーたん……」

「どうした、フラム。お疲れかー?」

少々おねむな様子のフラムが、ソウヤの体によじ登ってきた。

「今日はいっぱい遊んだからな」

仲間たちの再会を見守り、ソウヤは一人ほっこりする。いつまでもこんな気分に浸れればよかったのだが、あいにくと状況が許してくれない。ソウヤは、これから火山島であったことを、ジンやドラゴンたちに説明しなくてはならないのだ。

・ ・ ・

ジンに卵破壊の魔族の検死をしてもらっている間、ソウヤは、ミスト、アースドラゴン、クラウドドラゴン、アクアドラゴンに昼間の出来事を語った。

予想できたことだが、ミストの機嫌がすこぶる悪くなり、クラウドドラゴンはともかく、アクアドラゴン――水色髪ツインテール少女も、かすかな苛立ちをまとった。

「魔族が、ドラゴンの……特に火属性ドラゴンをこの世から抹殺しようとしている、と」

クラウドドラゴンは、いつもの表情に乏しいまま淡々と言った。

「先の魔王軍に対するファイアードラゴン一族への報復」

「矛先が向いているのは、火属性だけなのか、ソウヤよ」

尊大な調子のアクアドラゴン。

「あくまで、火属性だけへの報復か?」

「そういう風に言っていました。火属性ドラゴン狩りと」

ソウヤは視線を泳がせた。先ほどから黙っているが、ミストの圧が強い。火属性ドラゴンであるフラムを可愛がっている身であれば、不快に受け取って当然だ。

「ファイアードラゴンが巻いた種」

クラウドドラゴンはそっけない。

「我らの一族に手を出さぬというのなら、見て見ぬフリもある」

「火属性の一族だけで終わるかの」

アースドラゴンが長い顎髭を撫でた。

「ドラゴンというだけで、他の一族にも手を出す可能性は無きにしも非ず」

「アースドラゴンの言うとおりです。特に大地属性ドラゴンには、火属性と縁がある者もいます」

ソウヤは、先日の大地属性一族との挨拶まわりを思い出す。溶岩竜とか、一見火属性に見えるドラゴンもいた。

「放置しておけば、卵だけでは済まない。いずれはフラムも火属性ドラゴンというだけで狙われる……。それは見過ごしてはおけない」

「然り」

アースドラゴンは言った。

「我ら四大竜。火属性が欠けては、収まりが悪いわい」

「じじぃ……」

アクアドラゴンが、嫌そうな顔をした。

「まあ私も、魔族どもが、調子に乗らないうちに潰しておくべきと思うぞ。それでなくても魔族は、我がドラゴン族に対して挑発的だった。じじぃの言うとおり、火属性だけに留まらんだろうよ」

これまでもドラゴンを倒して素材を手に入れようとか、卵を奪おうとしたりと手を出してきた。ドラゴンたちの間での、魔族の評判は最悪に近い。

流れは報復阻止の方向に向かった。当然の如く、報復には報復で返すのがドラゴンの流儀だ。ソウヤは表情を引き締める。……問題はここからだ。

「ただし、相手は見定める必要があります。あくまで、ドラゴン狩りなどとふざけたことを抜かしている奴らのみに限定する必要があります」

「遠慮などいらんだろう」

アクアドラゴンが吐き捨てた。

「魔族を全部ぶっ潰せばよかろうなのだ」

「ドラゴン族が本気を出したら、世界が滅びます」

ソウヤは下から言った。

「さすがにそれは、よろしくないでしょう」