軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日談53話、実はかなり危ないのでは?

魔王軍の話とソウヤが聞いた時、ライヤーは少し考えて言った。

「あんまそういう話は聞かねえなあ。魔王との決戦で魔王軍もファイアードラゴンの眷属と共倒れして、その後は、組織だった動きはしてねえと思う。フラッド、あんたは知らないか?」

「某も、魔王軍や残党の話は聞いてはござらんな」

フラッドは舌をチロチロと覗かせた。

「が、気になる動きはあったのでござるよ。実はライヤーが島に来る前に――」

ソウヤたちが出くわした魔族の話をする。それを聞いて、ライヤーを目をくるりと回した。

「ひぇ……。国をやられた復讐に、ドラゴンの卵を割って回るとか、ヤベェじゃねぇか」

「まったくな。そもそもファイアードラゴンと眷属たちを火山島から解き放った原因は、魔族側の身内争いの結果だから、恨む相手が違う」

「確かに。……で、そいつは魔王軍の残党だったのか?」

「わからん。魔族なのは間違いないが」

「個人ではなさそうでござるよ」

フラッドが指摘した。

「倒した魔族は、国では、と持ち出したところからして、何らかの組織で動いている可能性は高いでござる。……魔王軍の生き残りという説も、あながち間違いではなさそうでござるよ」

「魔王軍の残党だったら、ヤバイんじゃないか?」

ライヤーは言った。

「旦那もさっさとリハビリを終えて、備えないと。プラタナム号も修理して、いつでも対応できるようにしねえと!」

確かに、とソウヤは思う。ただ、今回の火山島での卵荒らしは、単なる個人的、集落的な怨恨で、魔王軍と関係しているとも断定はできない。

「情報を集めないといけないな。とりあえず、爺さんに相談しておくか」

困った時のジン・クレイマン。あの老魔術師ならば、何か解決策が見いだせるかもしれない。

フラッドが口を開いた。

「ドラゴンの皆様には伝えるのでござるよな? 魔族がドラゴンの卵を狙って攻撃していると」

「……それ、言ってしまっていいんだろうか」

ドラゴンの生存権にかかわる問題で、当然、伝えるべきだと思うが、ソウヤは気が進まなかった。

「何か気掛かりでも?」

「ドラゴンってのは、やられたら必ず報復するもんだ」

ここでドラゴンの卵を狙って攻撃する事件があったと耳に入ったら、世界中のドラゴンが魔族を滅ぼすべく行動 に移すだろう。

未来の芽を摘み取る行為をされたのだから、逆にされても文句はあるまい――というのが、ドラゴンたちの考え。

自分たちはこの世界で最高の生き物と見下す傾向にあるから、魔族からの卵の攻撃は、宣戦布告に等しい。そしてドラゴンは、報復に全力を出す種だ。

世界各所のドラゴンたちが、魔族狩りを始めてしまうだろう。

「……いや、それってマズいか?」

ライヤーが懐疑的な顔になった。

「ドラゴンに喧嘩を売ったんだ。そりゃ報復もされるだろうよ。それで滅びるなら自業自得ってもんじゃないか?」

「魔王軍に限定してくれるなら」

ソウヤは考える。

「魔族だからとのべつ幕なしに攻撃は避けてほしい。魔族の中でも、全員が魔王軍だったわけではないし、話せばわかる奴もいたんだ」

それを言ってドラゴンたちが加減してくれるといいが、敵と見たら無差別にやる――というのがドラゴンの流儀。そこに無関係な人間がいようが構わず巻き添えにする。何せ、ドラゴンにとっては、人間も別種族で保護する理由がない。

「それに、こう一部の愚か者のせいで、まったく関係ない者まで巻き添えになるのはどうもな……。一族郎党とか、親族だからこれも同罪って決めつけるのは違うと思うんだ」

「ドラゴンの魔族狩りで、他種族が巻き添えの可能性は高いでござるな」

フラッドも腕を組む。

「それでいつの間にか、巻き添えの結果、魔族ではない種族がドラゴンと戦い、滅ぼされるなんてこともあり得るでござるよ。そうなったら目も当てられないでござる」

「うーん、魔族狩りから始まり、いつの間にか人類と戦争になっていて、ドラゴンに襲われるとか――嫌すぎる」

ライヤーは正直だった。

「どうする、旦那? 黙っているのかい?」

「大竜たちには話しておいたほうがいいとは思う」

ドラゴンの種族存続にかかわる問題に発展するかもしれない。それを知ってて言わないのは、それこそドラゴンの怒りを買う。

「ただ、相手をしっかり見定めた上で、行動すべきだと説明する必要はある」

「大竜たちというと……」

「アースドラゴン、クラウドドラゴン、アクアドラゴンだな」

ファイアードラゴンはいない。その後継であるフラムはまだ判断できない子供である。

「このメンツなら、話しても早まったことはしないと思う」

大地竜の後継に選ばれたソウヤであるが、それ以前から付き合いがあってよかった。もし初対面だったら、こちらの要望も通らなかっただろう。

「つくづく、ファイアードラゴンがいなくてよかったでござるな」

「それな!」

もしファイアードラゴンがいたら、先の魔王軍を追いかけて暗黒大陸を滅ぼした件の例を見るまでもなく、周囲も相手も構わず報復しただろう。

「でも旦那、犯人は魔族って聞いたけど、そいつのことわからないんだろう? どうやって調べるんだ?」

「一応、遺体はアイテムボックスに回収してあるから、爺さんにちょっと調べてもらう。……それでわかるかは自信ないけど、何もないよりはマシかな」

ソウヤが答えた時、頭の中に魔力を飛ばした念話が飛び込んできた。――相変わらず、ドラゴンは遠慮がない。

「どうしたんだ、旦那?」

「ミストから呼びかけ」

ゴールデンウィング二世号が、クレイマンの浮遊島に近づいているからお迎えの声というものだ。

「浮遊島の主であるジン・クレイマンも、ゴールデンウィング二世号の寄港を歓迎するとさ」