作品タイトル不明
第484話、食事の後は――
ホットプレート焼肉は大盛況だった。
ドラゴンは肉メインだが、基本何でも食べられる。炊飯魔道具で炊き上がったライスに、焼肉とタレを染みこませて掻き込む。
レーラやリアハ、メリンダには、この食べ方がイマイチの様子だったが、ドラゴン組はもっぱら好評のようで、お米の消費も早かった。
『卵も美味いぞ』
焼肉、タレ、卵、ライス。至高の組み合わせ。ミスト、フォルス、ヴィテス、影竜が揃ってお椀を掻き込む姿は、ある意味シュールでもあった。
さて、食事の後のまったりタイム。ソウヤは寝る時の部屋の割り振りを決めた後、風呂場を確認。ご丁寧に蛇口そばに赤と青で色分けされたハンドルがある。
説明など読まなくても、湯と水だ。浴槽が綺麗なのを確認して、ハンドルを捻るとしっかりお湯が出た。
「あ、これ自分で調整しないといけないヤツだ……」
湯加減を確認し、熱くなり過ぎるようなら水を入れたり、ぬるま湯がよければ水を多めにと調整するタイプである。
ドボドボと浴槽に湯を貯めていると、レーラとフォルスがやってきた。
「なにやってるのー」
「ひょっとして、これお風呂ですか、ソウヤ様」
「そうそう。折角あるんだから使おうかなって思ってさ。……焼肉のニオイがついてるし」
「そうですか?」
レーラがクンクンと衣服のニオイを嗅ぎ、フォルスは「お肉のにおーい!」とケタケタと笑った。
ということでお湯を張り終えた後、リビングに皆を集めてお話し合いの時間。
「風呂入る順番決めるぞー。オレは最後だから、皆は先だけど、どういう順に入るか話し合ってくれ」
「じゃあ、ワタシいちばーん!」
ミストが名乗りを上げた。レーラとリアハ、メリンダは顔を見合わせた。
「私は、どの順番でもいいですよ」
「私も」
「レーラ様、リアハ様はお先にどうぞ。私は後に入りますので」
女性陣が譲り合いを始めたので、ソウヤは我関せずという態度の影竜に向いた。
「で、お前はどうする?」
「ん、我は風呂など入らんぞー」
どうでもよさそうに影竜はソファーに横になって手を振った。風呂場に行こうとしたミストが意地の悪い顔になる。
「やだ、不潔ぅ」
「は? ドラゴンは、風呂など入らんだろう」
「えー、今まで水浴びとかしなかったのー? これはこれは、道理で臭いと思ったわ」
――どうしてコイツは同族をからかわないと気が済まないのか。
「ねえ、ソウヤ。不潔な女は抱きたくないわよねぇ?」
「お、おう……?」
いきなり飛び火した。レーラはさらりと流したが、リアハが何故か頬が赤くなった。ミストは勝ち誇った顔で影竜を見下ろした。
「あんたもソウヤに気があるならキレイキレイにしておきなさいよ。でないとぶっ飛ばす」
そう言い残して、ミストは風呂場へと消えた。
フォルスが手を挙げた。
「ソウヤー。おフロ入らないと嫌われちゃう?」
「まあ、あんまりよくないよな」
「じゃあ、おフロするー!」
キャッキャッと跳ねるフォルス。レーラが微笑んだ。
「じゃあ、フォルスちゃんは私とお風呂入りましょうか」
「「え?」」
ソウヤとメリンダの声がはもった。
「いや、さすがに子供っつても、男だぞ」
「そ、そうですよ、レーラ様。駄目です!」
幼児なら男の子でもお母さんと一緒に入るのはあるが、何か嫌だった。
「な、フォルス。風呂は、オレと一緒に入ろうな。なっ!」
「うん。ボク、ソウヤと入るー」
子供は素直だ。刷り込み効果か、ソウヤのことをパパのように慕っているフォルスである。思考が単純で助かった。
「むー……」
ムスッとした顔で影竜は起き上がった。
「仕方ない。風呂など入ったことないが、ソウヤ、我と一緒に入ってくれ」
「「え?」」
メリンダと、今度はリアハの声が重なった。人に化けていると長身美女で、出るところが出ている影竜である。
そんなものと一緒に入浴とか、ソウヤの精神が保たない。
「ばっか。同時に3人も入れないっつーの!」
「そうなのかー」
色気もなく、男女で一緒に風呂に入ることの意味について無自覚な様子の影竜。ソウヤは声を張り上げた。
「そもそも浴場の広さがあるから、順番決めようって話になってんの!」
・ ・ ・
結果的に、ミスト、リアハ、ヴィテス、影竜、レーラ、メリンダという順になり、最後はソウヤとフォルスとなった。
女性陣が先に入浴している間、ソウヤはジンから預かったメモを開き、工作の時間。
「何をやってるんですかー?」
レーラとフォルスが興味深げに、それを見ている。ソウヤの目の前には四足で翼を持った悪魔の石像がある。
「ガーゴイルだ。魔族の飛空艇がこのダンジョンに、夜の間に来た時とかに通報してくれる監視要員ってやつだ」
交代で見張りをするには人数が中途半端。しかもミスト以外のドラゴン勢は、ソウヤたちの監視を手伝うためにいるわけではない。
見張りの専門分野であるガーゴイルは、24時間365日の監視ができるので、いっそ任せてしまおうという魂胆だ。
「魔族がやってきたら、オレたちの出番。来るまではガーゴイルに見張らせる」
見事な役割分担だ。
「――で、頭に手を置いて、魔力を流しつつ呪文を唱えると、ガーゴイルが主と定め、命令に従いますっと」
説明書きを読みながら、ソウヤはガーゴイルを起動させる。ブン、と目が光ったのも一瞬、石像が動き出した。
「動いたー!」
大はしゃぎのフォルスである。新しい玩具を前にした子供のようだ。ソウヤはガーゴイルを隠れ家の外に連れ出す。
「――なになに、視野角の関係上、最低4体を配置することで全方位をカバー? あと3体いるってか」
面倒だと思うのもわずか、一度やってしまえば後は楽ができる。そう思うことでソウヤは作業を終わらせた。
なお、入浴はつつがなく進み、ソウヤはゆっくり風呂につかれると思ったが、フォルスの付き合いで休むどころではなかった。――子供って何でこんな元気なん