軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第43話、冒険者たちと合流

ヒュドラが頑張っているフロアを、セイジやガルモーニたちが無事通過した。

浮遊バイクに乗るソウヤは、巨大な魔獣の周りを跳んでいるミストの元へと駆ける。そのミストは、竜爪の槍でヒュドラの噛みつきを弾き、落下。その真下を抜けるソウヤのコメット号の後ろに見事着地を決めた。

「ドンピシャ! 掴まれ!」

ソウヤはバイクを横滑りさせながら方向転換、そして一気に加速した。ヒュドラが毒液や炎を口から吐いたが、コメット号の後ろへと流れていき、かすめもしない。

直線のスピードなら断然、浮遊バイクのほうが速い。そのままセイジたちが飛び込んだ通路へと滑り込む。

ヒュドラが追いかけられない通路で、バイクを止めるソウヤ。

「うーん、危機一髪って感じか!」

「楽勝でしょ」

ポンとソウヤの肩を叩き、ミストがバイクから降りた。

「ソウヤさん!」

先に着いていたセイジの切羽詰まった声が聞こえた。そこには多くの冒険者が横たわる、惨憺たる光景が広がっていた。

血の臭い。赤黒く染まった装備。戦士も、魔法使いも、ここに十人ほどいて、ほぼ負傷者だらけ。ギルド長とカエデも、そんな冒険者たちをみて応急手当をしている。

血相を変えたセイジがやってきた。

「あのポーションを使いましょう! 深手を負った人もいます」

「おう!」

人命優先。ソウヤはアイテムボックスから、霧竜の汗をブレンドした特製ポーションを出して、負傷者にどんどん与えていく。

「これは?」

ガルモーニの問いに、特別なポーションですとだけ答えて、セイジやカエデにも渡す。傷を負った冒険者たちに飲ませたり、あるいは傷口に直接かける。

比較的傷の浅い者の効果は劇的だった。

「痛みがひいた……?」

重傷で横になっていた者も、表情が和らぎ、呼吸も整っていく。

「楽になってきた……。ありがとう」

じわじわ効いてきてるようで何よりだと、ソウヤはホッとする。現状はこの特製ポーション頼みだから、効果がなければ手のほどこしようがないのだ。

「凄いポーションだ」

「効くだろう? うちの特製だ」

ソウヤは、またひとり回復した冒険者の肩を叩いた。

「あんたたちは……?」

「白銀の翼。またの名を銀の翼商会――」

「ソウヤさーん!!」

突然、女の子の声がして、次の瞬間、体当たり同然に抱きつかれた。

「うわーん、よく来てくれましたー!」

女魔術師――はて、この子は以前会ったぞ。

「ミア」

「そうです、ミアです! ミソスープ、美味しかったです!」

前にダンジョンを訪れた時に、スープを振る舞った冒険者だ。ということは――

「君のパーティーもいるの?」

「はい! シルスがソウヤさんとこのポーションで持ち直しました! ありがとうございますー!」

涙を流し、しかし喜んでいるのか泣き笑いのミア。――シルスって誰? パーティーメンバーにシーフとクレリックがいたから、どっちかだろう。

「クラウスは奥で魔族と戦ってます。正直、もうダメかと――」

「魔族だって!?」

こんなダンジョンに魔族が現れたと? 魔王の手先が何をしているというのか。

ガルモーニが生存者から、事実確認をとる。

ダンジョンを探索、魔物討伐をしていた複数の冒険者たちは、帰還ルートの途中に立ち塞がるヒュドラのせいで足踏みを強いられた。

Sランク相当の魔獣である。最上位がBランクしかいない冒険者では、束になっても勝てるか怪しい敵だ。

どうするか対策を立てていたら、ダンジョンの奥から魔族の武装集団が現れ、目下、交戦状態なのだという。

孤立した者同士で共闘するが、魔族の戦力もまた大きかった。負傷者が続出し、食料も回復手段も尽きかけ、戦える者も減った。あと半日もたずに全滅するところだった。

「魔族!」

事情を聞くや否や、ミストが奥へと走っていった。戦っているという冒険者たちを助ける……というか普通に魔族をぶちのめしたいのだろうと、ソウヤは思った。

「何にせよ……あんたたちには助けられたよ」

ポーションで回復した斧を持った冒険者が言った。――はて、この顔、見覚えがあるぞ。

ソウヤは少し考え、ポンと手を叩いた。

「あ、クリストフのとこの?」

「お、おう。あの時は美味い肉をありがとうよ」

街道で、初めて行商らしいことをした時の冒険者パーティーの戦士だった。

「無事そうでよかった」

「無事なもんか。おれは、普通だったらこうして立ってられない傷だったんだぜ?」

斧使いの男は苦笑した。

「あのポーションのおかげだな。おかげでザックも一命をとりとめたようだ」

特製ポーションを使い、しかし、まだ横たわっている者が何人かいた。ドラゴンの回復効果増進ポーションでも、すぐに復帰できない者もいるようだ。

万能薬にはなりえない、か。

ソウヤは眉をひそめる。これで即復活だったなら、アイテムボックスに収容している瀕死の者も手当てできたかもしれないが。

――あれー、何か動けない奴に見覚えがある奴がいる……。

確か、ロイという名前だ。弓使いのジムとその仲間たちのひとりである。女騎士シェーラをアイテムボックスに入れて搬送した時の戦士だった。

結構、顔見知りがいる――ソウヤは改めて思った。

その時、斧使いの男の腹が鳴った。

「……元気になったら腹が」

照れたように頭をかく斧使い。すると空腹の虫が別のところからも聞こえた。

「ソウヤさーん、食べるものありますー?」

ミアだった。ソウヤは顔をほころばせた。

「おう、腹が減っては戦はできぬって言うからな! 串焼き肉にミソスープ、たっぷりあるから好きなだけ食え!」

「やったーっ!」

銀の翼商会のお手軽メシの味を知っている冒険者から歓声が上がった。ソウヤはアイテムボックスから、作り置き――ただし湯気を立てる温かな料理を出して、冒険者たちに振る舞った。

するとミストと、奥で戦っていたという冒険者たちが戻ってきた。クリストフにクラウスが、料理にありつこうとしている冒険者と配膳するソウヤを見て、目を丸くする。

「なんでお前ら、みんな元気になってるわけ?」

返り血塗れで奮戦していた戦士たちは、少々不満げ。ソウヤはミソスープを椀によそって、彼らに渡す。

「おつかれさん。まずは一杯飲め」