軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第160話、石像と案山子と、ガーディアン

「すっごい!」

ソフィアが、ゴーレムのような石像が数百体が並んでいる光景に声を上げた。セイジも「凄いですね」と、階段から正面の開けた通路じみた隙間に踏み出して、左右の石像群を眺める。

ガルは警戒しつつ前を行き、ミストも怪訝そうに石像を睨みながら進んでいる。最後尾をいくのはソウヤとジンである。

「さすがにこれは想像していなかった」

「遺跡らしくはあるが――」

ジンの表情は険しい。

「これが単なる石像ではないだろう」

「やっぱ、ゴーレムか」

「おそらく。石像の胴に先ほどの巨大石像ほどではないが、宝玉がついている。あれが動力だろう」

「となると、この遺跡の正体は、ゴーレムの製造工場ってところか」

ソウヤの推測に、ジンは頷いた。

「その可能性は高いな。……できれば動いて欲しくないがね」

この数百体が一斉に動き出したら――その光景を脳裏に描いて、ソウヤは身震いした。襲われたら多勢に無勢だ。

「劣化で動かないに一票」

「その賭けは外れた時が洒落にならないからやらない」

ジンは乗らなかった。

ゴーレム型石像の間の通路をさらに進む。

するとガーディアンが現れた。騎士もどきが十数体、こちらの行く手を阻むように集まっている。

ミストが笑みをこぼした。

「どうやら、ここから先にあいつらが守る何かがあるようね!」

臨戦態勢の黒髪美少女は竜爪槍を構える。ガーディアンも剣や斧、槍を手に向かってきた。さすがに同時に迫られるのはまずい。

「ソフィア!」

「電撃! サンダーボルトっ!!」

ソフィアの掲げた魔法杖の先が激しくスパークし、ついで雷鳴と共に強烈な電撃が迸った。直撃を受けたガーディアンが複数体、一気に吹き飛ばされた。

「上出来!」

向かってくるガーディアンを、ミスト、ガル、そしてソウヤが迎え撃つ。ミストの槍がガーディアンを刺し、貫く。ガルのミスリルソードが的確に敵の首を刎ね、ソウヤの剛力がガーディアンを鎧ごとミンチに変えていく。

「こんなんじゃ、オレらは止められないぜ!」

斬鉄に装甲ごと変形させられたガーディアン。ソウヤのパワーの前に、屍が増えていく。掃討は間もなく済んだ。

「こういう時、僕は役に立てないな……」

前衛の三人をみて、ため息をこぼすセイジ。いやいや、とジンが少年の肩を叩いた。

「私たち後衛のそばに護衛がいてくれるのは心強いものだよ」

「そうよ、あんたが落ち込むことはないわ」

ソフィアがその長い髪を払いながら言った。

「あの三人が異常なのよ。あれと比べるなんて不毛だからやめなさい」

「……」

無言になるセイジ。彼は、あの三人みたいになりたいんじゃないかな、とジンは思ったが、それを指摘するのも可哀想なのでやめた。

「後ろ! 行くわよ!」

ミストが声をかける。向かってきたガーディアンは全滅し、ガルとソウヤは、売り物になりそうなガーディアンの装備を集めてから、探索を続行した。

次の部屋に入ると、今度もゴーレム的な何かがお出迎えした。

「……案山子みたいね」

率直なミストの感想。棒と箱を繋ぎ合わせて人型にした人形じみたものが十数体、並べられていた。

「どう思う、爺さん?」

「これもゴーレムだろうね」

胸のところに魔石があり、形は違えど、先ほどの数百体の石像ゴーレムと、基本部分は同じに見えた。

もっともその外見は、ヒョロヒョロの案山子のようで、一回り小さい。もし先ほどの石像と殴り合いになったら、一発で潰れてしまいそうな貧弱さだ。

「弱そう……」

ソフィアもまた正直だった。ジンは、案山子ゴーレムの背後について、何やら触れている。

「……面白い。これは魔法の領分だな。ソウヤ、これを全部回収してくれ」

「何だって? 全部!?」

ソウヤはビックリする。この部屋だけで、数十――五十体くらいありそうなのだが。

「君のアイテムボックスに入るだろう?」

「そりゃ入るけどさ……」

少々不満な顔になりつつ、ソウヤは一体ずつアイテムボックスに収納していく。触らないと送れないから、この数は中々面倒だった。

「ひょっとして、これ売り物になる?」

「売り物になるだろうし、人手が必要な時に役に立てると思うよ」

「何の役に立つかは知らないが、売り物になるってんならやるぞ」

こちとら商人だ。古代文明時代の遺物なら、そこそこ値もつくだろう。そうなると――

「表のあの石像ゴーレムも回収したほうがいいか?」

「いいんじゃないか」

何故か、ジンがニヤニヤしている。

「何だよ、爺さん?」

「いや、君からあの数百体の石像ゴーレムを回収したいと言うのを待っていたというかね。……提案したら、文句を垂れるかと思って」

「さすがに全部はな……。収納できるだろうが、あんまりやりたくないな」

ソウヤは認めた。人から言われたら、思い切り渋顔になったのは想像に難くない。

気を取り直して前進。

と、ここでこれまでと変わって、動くゴーレムが現れた。

表面は石なのだが、その造形は鎧をまとったロボットじみたスタイリッシュなもの。三角の頭部に魔物のような四つの目が黄色く輝いている。

高さは三メートルほど。外装が岩なので、生半可な刃が通用しないのは一目瞭然だった。

「どうやら、手強そうなのが出てきたな」

岩のゴーレムの腕に爪状の突起が生成される。ガーディアンの中の親玉、この遺跡の番人だろうか。

一歩を踏み出すと、頑丈そうなボディに反して積極的に、ソウヤたちに挑みかかってきた。