軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

20話 クラスメイトの変化と祝福

その日の放課後、俺と星良が一緒に教室を出ようとした時だった。

「えっと、ちょっといいかな大道君」

俺たちを引き留めたのはクラス数人の女子達、もちろん双葉のグループの連中ではない。

また今朝のように、俺が裏で星良を脅しているのかどうか問い詰める気かと身構えていたが、彼女達の取った対応は予想外のものだった。

「その、今朝はごめんなさい!」

先頭に立っていた女子が謝罪を述べてきたのだ。

それに倣って他の女子も次々と頭を下げだしたのだ。

「ちょ、いきなりどうした?」

言い返すつもりだった俺だったが、謝られるとは思っておらず声がどもる。

「その、今になって反省したの。事実無根の事で大道君を責めていたことに……」

「だからちゃんと謝らないとって……」

申し訳なさそうに謝る女子達に対し、何を虫のいい話をしているんだ……などと俺は思わなかった。

何故ならこの場の彼女達の姿勢は演技でない事が一目瞭然だからだ。誰もが本当に自分の行いに対し猛省し、心から俺に謝ってくれている。

まさか律儀に謝りに来るなんて思わなかった。どこぞの縁切りまでする事になった、今だに謝らない元幼馴染に見習わせたいぐらいだ。

ちなみにその元幼馴染はもう教室を出たのかどこにも見当たらない。

「許してくれるかな……」

先陣を切って謝罪をしてきた女子が不安げに俺を見つめていた。

どうやら俺が無言だったので、腸が煮え食ったままだと誤解されたらしい。

「もういいよ。こうしてちゃんと謝ってくれたならさ」

俺が口頭で許しを出すと、彼女達の表情に安堵の色が浮かぶ。

これで一件落着でいいのだが、最後に星良から彼女たちに付け足しがされた。

「これからはもう酷い偏見だけで人を追い込んだらダメだからね」

星良が頬を膨らませて言うと、彼女たちは素直に『は~い』と返事をする。

同じ年のはずなのにまるで母親の様な振る舞いに思わず吹き出してしまう。

そんな俺の反応を目ざとく気付いた星良が今度は俺に矛先を変えてきた。

「もうっ、どうして私が怒っているのに笑うの?」

「いやごめんごめん。なんかさ、大勢の娘を持つ母親みたいでつい……」

そう言うと彼女はポカポカと肩を叩いてくる。

そんなやり取りを見ていた女子達がこんなことを言ってきた。

「ふふ、こうして見ると確かに大道君と北條さんってお似合いなのかも」

「だね。私らの見る目がなかったのかも」

今日の朝には俺たちの関係を怪訝に見ていた彼女達の目が、今は微笑ましい視線を浴びせてて来る。

そして観賞に留まらず、彼女たちは次々と俺と星良に質問をぶつけだしてきた。

「ねえねえ、大道君って北條さんと幼馴染だったんだよね?」

「北條さんっていつから大道君を意識してたの~?」

「告白はどっちからしたの?」

瞳を輝かせながらグイグイと来る女子力に圧倒されてしまう。

だが星良は一切動じず、まるで機械の様に質問を次々と捌いていく。

「うん、小学生の頃から仲が良かったんだ」

「私が意識したのも小学生の頃からだよ」

「ふふ、そこはノーコメントで」

す、凄いな星良、まるでぶれる事なく答えて行っている。

なんだか度胸がついたと思っていた自分が情けない。下手をしたら俺よりも男らしさがあるんじゃ……。

このまま任せっぱなしでは不甲斐ないと思い、次に飛んできた質問は俺が答えた。

「実際二人はどこまで行ったの? キスとかもうしてたり……」

「ああそうだ。俺と星良はキスだってしてい……る……」

この時の俺は星良の様に受け答えしようと、完全に勢いだけに任せていた。

だから飛んできた質問の内容を吟味せず、馬鹿正直に答えてしまっていた。

あ……俺……まじでアホなんじゃないか? どこまで正直に答えてんだよ……。

質問に答えている途中に自分の間抜けっぷりに気が付くが、もうキスしました宣言を終えた後なので意味がない。

質問していた女子達の方も、まさか本気で返すとは思っていなかったのか目が点になっている。

そして隣で同じく無言となった星良はというと……。

「もう……バカ……」

顔を真っ赤に赤面化させつつ、俺に困り顔の笑みを向けていた。

「「「きゃーーーーッ♡!!」」」

普段ならば絶対に見れない星良のデレ顔に女子達は真っ赤になりつつ、それでいて全員が口元をにやけさせながら黄色い悲鳴を上げる。

そこからはもう大変だった。女子連中の叫び声を聞き他の残っていた生徒が男女問わず集まり、朝の俺への謝罪と共に星良との関係を根掘り葉掘り聞かれ続けた。その都度にクラスメイトからはテンション高くリアクションをされ、結局10分以上も質問は終わる事はなかった。

だがこの時間のお陰でこの日を境に、俺と星良の関係はクラスから祝福される事となったのだった。