軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第11話 暴走

――時間を『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』から、 カメーナエ(Camenae) 、邪神が脱出する前に戻す。

☆ ☆ ☆

カメーナエ(Camenae) 達から撤退してきたエリーとナズナと合流後、作戦会議をするため『奈落』最下層の執務室へと移動した。

僕は自席へと座り、目の前にメイ、アオユキ、エリー、ナズナが並ぶ。

カメーナエ(Camenae) は自身を『女神』と自称している。

故に『 神葬(しんそう) グングニール』――『神を葬る』というその名から、自称『神』である少女と邪神にダメージを与えられる可能性は非常に高い。

「とはいえ、相手も馬鹿じゃない。『 神葬(しんそう) グングニール』を解放した状態で突撃すれば絶対に警戒される。だけど、相手は『敵の攻撃は自分に効かない』と高をくくっているんだ。わざわざ自分から付け入る隙を作ってくれているんだ、そこを攻めない方が逆に失礼だからね」

「? そうなのか?」

僕がお茶目っぽく台詞を口にすると、ナズナがメイ達へと振り返り首を傾げた。

メイ、エリー、アオユキはナズナの問いに呆れた表情を浮かべる。

僕は微苦笑を漏らしつつ、話を続ける。

「『SUR 異界迷宮(アナザーワールド・ラビリンス) 』から出てきた所を、エリーとナズナが攻撃を仕掛ける。 カメーナエ(Camenae) は当然、二人を見下した態度で迎撃してくるだろう。その隙を狙い、第一限定解除した『 神葬(しんそう) グングニール』を手に転移。奇襲をしかけて殺害する――以上だ」

この作戦のポイントは『奇襲』だ。

カメーナエ(Camenae) は、どうやってかは分からないが通常の攻撃が一切効果ない。逆にいえば彼女自身、『自分を傷つけることは絶対に不可能』と信じ切っている。

故に、 創世級(ジェネシス・クラス) 、『EX 神葬グングニール』――なんて規格外な武器が存在するなんて夢にも思っていないだろう。

だからこそ、『神葬グングニール』×『転移』という奇襲が刺さる。

エリーの攻撃魔術で視界を奪い、ナズナの物量攻撃に意識を割かせ、迎撃のため攻撃した際の隙を突けば十分殺害可能だろう。

もし『奇襲』に失敗し、『神葬グングニール』の異常性を一目でも見たら、警戒して隙を出さなくなるかもしれないが。

その状態で カメーナエ(Camenae) を倒すのは難しくなるだろう。

(そう考えると僕の役目は重要だな……)

自分で作戦を提案してなんだが、一番重要な役目を担っていることにあらためて気付く。

この作戦にエリー、ナズナが手放しで褒めてくれる。

「さすがライト神様ですわ! 素晴らしい作戦ですの!」

「さすがご主人様だぜ! あたい、頑張ってあいつの気を引くぞ!」

「ありがとう、二人とも。この奇襲を成功させるために一緒に頑張ろうね。それとメイは僕達のバックアップとして港街に。アオユキは『奈落』最下層で待機でお願い」

「畏まりました」

「にゃ! にゃ! にゃぁぁ!」

メイは反対せず一礼、逆にアオユキが抗議の声をあげた。

『自分も皆と一緒に戦場に出て戦う』と言いたいのだろうが……。

「アオユキ……気持ちは嬉しいし、『奈落』最下層にレベル9999は一人念のため残って欲しいっていうのもあるけど、まだ以前のダメージは抜けきっていないでしょ? さすがにその状態で戦場に出すわけにはいかないよ」

「うにゃぁ~」

深海ダンジョンでゴウとセスタを倒すためにアオユキが、最後の切り札である『眷属徴収』を使用。

そのダメージは未だに抜けきっていない。

そんな状態の彼女を今回の戦闘に参加させるのは流石に無理だ。

気持ちは非常に嬉しいのだが。

僕の説得もあり、アオユキは素直に矛を収めた。

僕はアオユキに笑顔を向けつつ話をする。

「 カメーナエ(Camenae) を倒したら、すぐに『邪神』討伐に動く。あれは巨体だから、『神葬グングニール』でも倒すのに時間がかかるだろうけど……。その時のバックアップを頼むよ。またもし『神葬グングニール』でも カメーナエ(Camenae) を倒せなかったら即撤退。他に倒す方法がないか、遅滞戦術を使用しながら再度話し合いをしよう」

僕の言葉にメイ、アオユキ、エリー、ナズナがそれぞれ返事をした。

こうして対 カメーナエ(Camenae) &『邪神』討伐奇襲作戦が決定した。

☆ ☆ ☆

――そして、僕達の作戦は上手くはまり、『神葬グングニール』で無事に カメーナエ(Camenae) の首を切断!

『邪神』の上に驚愕の表情を作り出した カメーナエ(Camenae) の頭部が転がった。

胴体は首から血は吹き出さず、そのまま糸が切れた人形のように『邪神』の上に倒れ込む。

「素晴らしい奇襲でしたわ、完璧に作戦通りですの!」

「さすがご主人様! やっぱりご主人様が最強だぜ!」

気を引くため攻撃を仕掛けていたエリーとナズナがいち早く、 カメーナエ(Camenae) の首切断に気付き、僕を讃える言葉を上げた。

僕はその言葉に応えるより先に、念のため追撃をしかける!

(自称『女神』だ。首を切断しただけじゃ死んでいないかもしれない! 実際、血が一滴も出ていないし! 下手に復活されるより先に『神葬グングニール』で頭部と胴体をばらばらに切り刻む!)

実行しようとする内容は、無慈悲なようだが、相手は自称『女神』。

さらにエリーとナズナの攻撃が一切効かない化け物だ。

首を切断しただけで『死亡した』と考える方が愚かである。

『神葬グングニール』を見せた以上、復活されて対応策を考えられても困るため、僕は敵の頭部と胴体をばらばらに切り刻むため追撃を仕掛ける――が。

『ゴアァアアァァアァァアァァアァァアァァァ!』

「!?」

足場にしている『邪神』が主人を失ったせいか悲痛な雄叫びを上げ、暴れ出す。

『邪神』が暴れるせいで、 カメーナエ(Camenae) の頭部と胴体が地面へと落ちていく。

後は追いかけようとしたが発狂して叫び暴れる『邪神』の動きが激しすぎて無理だった。

さらに『邪神』がエリーに放った光線を滅茶苦茶に吐き出す!

一番大きい、頭部口から放たれた光線は、意図せず『巨塔』&『巨塔街』方面へと発射される。

僕は『邪神』から飛び上がりつつ、

「メイ!」

「お任せください!」

メイは僕の意図を100%汲み取り、行動した。

『 魔力糸(マジック・ストリング) 』で壁を作り傾斜を作り出す。

エリーでも防ぐのが辛かったと漏らす光線を、戦闘が得意ではない(他レベル9999と比べたら)彼女が正面から受け止めるのは不可能だ。

故に壁に傾斜をつけることで光線を受け流すつもりなのだろう。

「ぐぅっ――!!!」

メイが太い光線を防ぐために魔力を大量に持っていかれるのに耐える。

苦しげに声を漏らしたが、お陰で太い光線軌道を曲げて空へと逸らすことに成功!

(昔は『奈落』最下層から目を反らし、注目を集めさせるためのカモフラージュとして作った場所だけど……。今は多くの人種達が住んでいるから、『被害が出てもいい』なんて言えないよね)

僕はカードの力で空中に留まり、『巨塔』&『巨塔街』に被害が出なかったことに安堵した。

無事に守れたが、 カメーナエ(Camenae) の首と胴体は完全に見失ってしまう。

眼下では未だに『邪神』が暴走している。

そんな『邪神』に対して、僕は冷たい視線を向け命じる。

「作戦通り次は『邪神』を始末するぞ!」

僕のかけ声に答えて、メイ、エリー、ナズナが元気よく声をあげてくれたのだった。