軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第5話 エルフ女王国港街で

「 天雷(てんらい) 、ですわ」

『ギャアァァァアァ!』

海から港ヘ上がるとする海モンスター達が、悲鳴を上げ絶命した。

エルフ女王国港街。

その港にも海から大量のモンスターが進行していた。

他の港と比べても数、質共に多い。

とはいえ『巨塔の魔女』こと『SUR 禁忌の魔女エリー レベル9999』からすれば、たいした敵ではないが。

彼女は上空に魔術で滞空しつつ、ウルシュ同様、海のモンスターが相手のため、範囲攻撃で、効果が高い『天雷』を使用。

一撃で港ヘと上がってきた魚人型モンスターを一蹴した。

他にも両腕があり、下半身は魚の巨大な上半身人型の大型モンスターが、海中で『天雷』攻撃によって絶命。

海の底へと沈んでいく。

「魔女様!」

「『巨塔の魔女』さま、万歳!」

「魔女さまぁぁぁッ!」

『巨塔の魔女』本人がかけつけ、侵攻してきた海モンスター達を倒す。

絶望的だった状況を一転して覆す『巨塔の魔女』にエルフ種達が喜びの声をあげた。

つい最近まで『あのクソ魔女に敗北してから、おれ達の生活は悪くなるばかりだ』や『クソ魔女が人種奴隷を禁止したせいで、どうして自分達が汚れ仕事をしないといけないんだ』、『こんな仕事、クソ人種奴隷にやらせればいいだろう』、『あの魔女め……早く消えてしまえばいいのに』などと文句を言っていたのだが。

酒場、家、友人知人間で愚痴を漏らしていたが、さすがに地獄のような海モンスターの襲撃から自らの命を救ってくれた。

その事実を目の前にして、感極まり掌を返して賛美するのはしかたないことだろう。

「…………」

エリーはというと……。

ドラゴンから降りた完全武装の妖精メイドによって、安全地帯に誘導されたり、ポーションで怪我の治療、崩れた建物の下敷きからの救助などされつつ、自分に賛辞を送るエルフ種達の声を一切無視していた。

『SSR 認識阻害フードマント』の下で、綺麗な眉を寄せる。

(皆さんから、念話で報告を受けたというのもありますが……。実際、戦ってみて普通のモンスターの行動ではないことはすぐに分かりましたの。たしかにモンスターに命令、指揮する存在が居ますわね)

獣人連合国、ドワーフ王国、魔人国に派遣した者達から、エリーに対して念話が送られてきた。

内容はほぼ一緒で『モンスターを指揮、命令している存在がいる可能性が高い』というものだ。

なぜなら海のモンスターが徒党を組んで各国家の港を襲撃するなど、歴史上一度も無い。異常事態だ。

さらに『自分達では絶対に敵わない』と理解しつつも、海モンスターは逃げることなく向かってくる。

普通、勝てないのなら逃げるものだ。

しかし、一切そんなそぶりがないのだ。

そうなれば、考えられる可能性はそう多くない。

海モンスターを指揮する、命令する存在がいる。

この報告はすでに『奈落』最下層にいるライト達にも送られ済みだ。

(状況から考えて、『海モンスター』を指揮、命令している存在はいますわ。ですが――ライト神様以外にそんな規格外な存在が本当にいますの?)

たとえば、強いモンスターがいて、それより弱い者達を従えて港を襲撃しているとしよう。

だが、エリー達の攻撃を受け、『絶対に敵わない命の危機』に直面しても、海モンスター達は逃げないのだ。

いくら強いモンスターの命令だから港を襲撃しているといっても、死の恐怖を乗り越えるほどというのはありえるのか?

仮にライトの 恩恵(ギフト) 『無限ガチャ』なら、自身を産みだし世界に顕現させた神であるライトのため、忠誠心を捧げ、自分の命など惜しまず戦いに身を投じるだろう。

エリー自身、彼が望むなら、自分の死すら恐れない。

しかし――。

(海モンスター達に怯えも、主に対する忠誠心も感じませんわ……。ただ機械的に命令に従っているだけですの)

再びエリーが増援で港ヘと攻めてきた海モンスターに『天雷』を放つ。

攻撃魔術を使用しつつ、状況を分析していた。

(つまり、海モンスター側にもライト神様のような存在がいるということですの? それって所謂『神』と呼ばれる――)

エリーの思考が結論を出すより先に答えが、海から姿を現す。

「!? あれはなんですの!?」

最初に気付いたのは上空に滞空しているお陰で、港、海、地上を見下ろせるエリーだ。

『海が割れる』と錯覚するほど、巨大なものが海上に姿を現す。

空中にいるエリーだからこそ、一目で『巨大な生物』と理解することができた。

しかし、地上にエルフ種達は最初『なぜ海中から山が出てきたんだ』と誤解するほどだ。

それだけその生物が巨大だった。

巨大な目が二つあり、側面にも目が規則的に並んでいる。その下に開閉する口のようなものまで存在した。

一番大きい口は正面にある。

その口はとても大きく、山一つ飲み咀嚼できるほどだろう。

さらに特徴的なのは巨大口に乱杭歯がびっしりと並んでいる。見ているだけで、怖気を震うほどに。

そんな巨大生物の頭部に一人の少女らしき人物が立っている。

年齢は15歳前後。

髪は緩やかなパーマを描き、肩にやや触れる程度の長さのセミロングだ。

背中にマントをたなびかせ、短いスカートの下にはタイツを履いている。

少女が叫ぶ。

普通なら、どれだけ大声で叫んでも声など聞こえないのだが、魔術を使っているのか、その場にいる皆に彼女の声が届く。

『妾の名は「C」! カメーナエ(Camenae) ! この世界の創造した女神 カメーナエ(Camenae) ! 「巨塔の魔女」、そして黒髪の少年! 貴様達はこの世界を穢した罪人! 貴様達はこの世界のバグだ! 故に貴様達をこの世界から排除してくれる!』

海から怪物と自称『この世界の創造した女神』と名乗る少女が姿を現し、高々とライト達の排除、殺害を宣言したのだった。